埋めたもの。
*登場人物紹介*
○オレ・・・先輩に金をやるからついてこいと言われついてきた。実は怖がり。
○先輩・・・あるものを埋めに山の中に来ている。
趣味は宝探し。
「ところで先輩これなんなんですか?」
オレは横に置いてある黒いビニール袋を指差しながら先輩にそう言った。
「いいから黙って埋めるの手伝えよ。1万円やるから!口動かす前にスコップ動かせ!」
真夜中の森の中でオレと先輩の二人はあるものを埋めるためにひたすら地面を掘っていた。
「これ、見られたらヤバいものなんですか?」
「あぁ、ヤバい。見られたらかなりヤバい。だから急げ!」
先輩は急かすようにオレにそう言った。
「大丈夫ッスよ、先輩。こんな真夜中の山の中、オレら以外に誰が来るっていうんですか?」
「バカ、そんなことわかんねぇだろ。何回も言うが口を動かす暇があったら早く穴を掘れ」
「わかりましたよ…。終わったら約束の1万円くださいよ!」
オレは大声で先輩にそう言った。
どのくらいの時間がたったのだろうか。穴はかなりの大きさになった。
「よーし!このくらいでいいぞ。ありがとな。それじゃこの黒いビニール袋穴に投げ入れるぞ!重いから手ぇかしてくれ」
先輩は穴を掘れたことに満足したのか機嫌良くオレそう言った。
「ヨイショ…。エイ!」
2人の声が山奥に響く。それにしてもこのビニール袋かなり重たい。いったい何が入っているのだろうか…。
「ありがとな。あ~オレ車からちょっと道具取ってくるからそれまで1人で穴埋めてて」
そう言って先輩は車の方向に向かっていった。
「あ~しんど。早く帰りてぇ。穴埋めるのめんどくせぇ」
オレはブツブツ独り言を言っていた。
その時だ。
「ゴン!!」
鈍い音が辺りに響いた。
オレは穴の下に落ちた。
「恨むなよ。オマエを生かしてたら後で誰かにこの事を話すかもしれねぇ。じゃあな」
薄れ行く意識の中でオレは穴の下から先輩を睨み付けた
埋められた後の記憶はない。
「あれ、オレ先輩に騙されて穴に埋められたはずじゃあ…」
気がつくとオレは地面の上に立っていた。
いや、厳密には足だけない。
オレは亡霊になったのか…。なら、ちょうどいい…。先輩に仕返ししてやる!よくも穴に落としやがったな。許さねぇぞ!
オレは走り出した。