表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

~消~ 3

「なんだって!まさか...」

ああ、また一つ国が潰れる。またあいつらだ。

姿を見て生きていたものは誰もいない。

影のように捕らえることができないことから、いつからか「影」と呼ばれるようになっていた。


そして、影という名前は、恐怖とともに広まっていった。

人から人へ、病気のように...。

そこで、影を討伐しようと言い出したのが、「世界中立平和機関」だった。


独立都市ロンファンを中心にして造られた、どの国にも属さず、ただ平和を守る、そんな機関だ。

そして、機関内部で作られたのが、特別隊の1~7だ。

俺は、その特別隊のトップだ。


今さっき届いたのは、影の情報だった。

影が、プロプス帝国を襲ったらしい。

プロプス帝国までは、列車で飛ばしても半日はかかる。

今から出発しても、着いた頃には死体の山が出迎えてくれるだけだ。

影はもう、どこかに姿をくらましているだろう。


諦めるしかないのか...。

そんな空気がどことなく広がっていた。


そんな空気を消し飛ばすようにして、7番隊の隊長が口を開いた。

「うちの隊が向かいます」

誰だって行きたがらないだろう、事件の後処理にいってくれると彼は言った。


「分かった。では、7番隊に任せよう」

俺がそう言うと、安堵の顔を浮かべる者もいた。そいつらの気持ちが、手に取るように感じられる。

俺は、心から隊長に感謝の言葉を述べた。


すると、隊長は思ってもないことをいった。

「生き残ったやつがいたら、うちの隊にいれてもいいですか?」

隊長の頭が本気でいかれたかと思った。

生き残りなんているはずない...。

俺の思いが表情にでていたのか、隊長は、

「いや、勘ってやつですかね。なんか得体の知れないヤツがいそうな気がするんです」

と、言う。


俺はため息をついて、

「勝手にしろ。ただし、報告はちゃんとするように」

と言って、部屋を後にした。



「隊長。一人でいってこいよ」

隊員のユーキが文句を言う。予想通りの反応だ。

「私はついて行きますぞ。隊長」

隊の中で唯一俺に敬語を使う(それが普通なんだが、)ジューオーは、ついてきてくれるようだ。


世界平和保護機関特別7番隊の隊員は、全部で5人。

隊としては小規模だが、一人一人が精鋭だ。

今は、俺含め3人しかいない。

他のやつらはバックれているのだろう。

だが、そんな事はどうでもいい。(よくないだろうが、)


俺は、ユーキに睨みをきかせる。

と、同時に殺気も飛ばす。

すると、ユーキはあきれたようにため息をつき、

「分かりましたぁ。行きますって」

と、嫌そうに返事をした。


今日中に向こうに着けるだろうか。

日は空の真上で爛々と輝いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ