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「ルールは守るもの。だから、さよなら」

影は広場にいた、ほとんどの人間を殺した。

ただ一人を除き。

そのことを一人は知らない。



僕が進み始めてしばらくすると、影たちが喋り始めた。

「お前、何人殺した?」

「五万位」

「やった。俺七万!」

「いやぁ、二人とも凄いね。ボク、興奮しちゃうよ」

「その発言、とてつもなく気持ち悪いな」

「同意する」

「酷いよ... ...」

「気にするなよ」


笑い声が聞こえる。

とても和気あいあいとしていて、殺人を犯している者達とは思えなかった。

むしろ、子供の会話と言われた方が納得できる。


ちゃんとついてきているのだろうか。

心なしか足音が聞こえない。

ふっと後ろを振り返る。


振り返ると、すぐ後ろにいた。

足音なんて聞こえなかったのに。


「急いでくれ」

そう言われるまで動くことができなかった。

やはり、彼らは人殺しなのだ。

身体中を恐怖が支配した。


僕が動きだすと、彼らの会話も再開した。

目的地まであと、少しだ。

そう思った瞬間だった。


大きな腕が僕の首をしめつける。

気づいたら刃物を突きつけられていた。

「このガキの命が惜しかったら、すぐにこっちに来ることだな。安心しろ。殺しはしない。

金になってもらうだけだ」

男は下劣に笑いながら言った。


見たところこの国の鎧を着ているから、元兵士ってところか。

王権が崩壊しているから、正義など貫く意味がなくなったのだろう。

所詮兵士なんてこんなものか。


「本当なら助けなくてもいいんだけどな。

けど、約束したもんはしょうがない。お前には死んでもらうぜ」

影の一人が言った。

と、ほとんど同時に何かが落ちる音がした。


音のした方を見ると、男の首が落ちていた。

男の腕の力が抜け、そのまま男の体は倒れた。

僕が立ち尽くしていると、剣を持った影が近づいてきた。

影は僕に問うた。

「大丈夫か?」


僕の記憶はここで途切れた。

「こいつ、殺していいか?」

「だめ。約束をしてしまったから」

「じゃあ、だめだね」

声が聞こえる。

うっすら目を開けると、そこは例の隠れ場所の中だった。

数年ぶりの光景だ。

少女と『探険』とかいって入ったんだった。


国が言わずとも知れているこの場所。

前に入ったときと全く変わっていない。


「大丈夫?意識ちゃんとしてる?」

と、聞かれた。

不意に聞かれたので驚いたが、僕はゆっくり頷いた。


「どうしてここだと分かった?」

と、僕は聞く。

それもそのはず、僕は途中までしか案内していない。

「勘だ」

と、今度は違う奴が答える。


さすが、本物の勘は違うな。

でも、目的地には着いた。

僕の役目は終わりだ。

「約束。守ってくれるんでしょ。教えて」

僕がそういうと、一人の影が近づいてきた。

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