第二話
第二章
ごきげんよう。私はおじいさまの替わりに語りに参りました。会員ナンバー2番の鈴木優希と申します。享年20歳の不束者ですが、どうかよろしくお願い申します。さて、私が語らせてもらうのは、実は神崎様と野々宮様の出会い一つまり過去編というものですわ。なぜ知っているのかと?うふふ、秘密ですわ。
あれは、桜吹雪の4月でしたわ…
☆ ☆ ☆
「君!是否とも吾バスケ部のマネージャーに…」
「いや、我がサッカー部のマネージャーに」
「ちょっと男子共!かわいい女子には文芸部!」
「おほほほ、そんな地味な部活にこんなかわいい女の子が行くとでも?ぜひとも我が茶道部へ!」
「いいえ!手芸部に!」
「かわいいわ!水泳部のマスコットにならない!?」
「ちょっと!?」
「邪魔よ!」
「そっちこそ!」
「まあ待て、彼女に選ばせよじゃないか」
「ええ!望むところよ!」
「おう!」
『さあ、どうする!?』
「死ね」
あらぁ、化石してしまったわ…まあ無理もないわ。どう見ても可愛くて儚げな女の子にしか見えない神崎様の暴言。そぞかし驚かれたのでしょうね。
「ったく…」
化石してしまった人だかりからぬけだし、もう一つの人だかりに向かう神崎様。
そこにいるのは…
「ああ、千秋、救けてくれ」
そう!!この方正代正政様!!!肩まで伸ばした黒いつやのある髪!色白でなめらかな肌!切れ長な黒曜石のような目!むだな筋肉がない体!常に微笑されいて、とても素的なお方です!この方こそ、この方こそが!神崎様の禁断の愛の相手に違いありません!!!!
「正政様~この子だれ~まさか彼女~?」
「うそ~私ショック~」
真代様と神崎様の愛を邪魔する女など滅んでしまってかいませんわ!この世は美少年だけでよいのです!ああ、はあはあ、鼻血が…
「だまれブス共、この世のゴミのくせして俺の視界に入るんじゃねえ、俺の目がけがれる」
「なっ」
「その発情したメスブタの息、声、顔、存在すべてが気もちわるい。さっさと消えろ宇宙のゴキブリ以下のゴミ」
「ま、正政様っ」
「気持ち悪いね、うん」
「ひ、ひどいっ、ひどいわ―――」
ドップラー効果を響かせ走り去る女。そして向き合う神崎様と真代様、ダ、ダメですわ、ああ!
~優希劇場~
そして向き合う千秋と正政
「正政…何してんだよ」
ため息交じりに言う千秋
「あははは、ごめんめ、あれ、もしかしてやきもち?」
「なっ、そ、そんな訳ねーだろ」
そう言いながらも頬がほんのり赤くなる千秋
そんな様子を見逃す正政ではない
「あはは、大丈夫だよ、僕はあんなブスを見る訳ないって知ってるくせに」
「ふんっ」
「僕の心をつかんで離さないのは…千秋だろ?」
そういって千秋の白い頬を愛しそうになでる正政
「や、やめろよ!」
ますます赤くなる千秋
「僕は悲しいな…千秋のことは誰よりも愛しているのに、応えてもらえないなんて」
「ち、違っ」
「でもいいよ。千秋がいつか僕を見てくれるよう努力するよ…だれにも渡したくないんだ、千秋だけは…」
「正政…」
「千秋…好きだよ」
「お、俺もだ…」
「千秋…」
近づく二人の距離
『好き…』
0になる二人の距離―――
~優希劇場~
きゃああああ!ステキ!ステキですわ!!正政様は攻めでしたのね!
いえ!千秋様はあの見た目ですが、性格的にはきっと攻めに決まっておられます!今から想像…
「行くぞ正政」
「うん」
ちっ、これからがいい所でしたのに…
「あ、是否是否我が演劇部へ~」
「あ~この子達ちょー美少女!マスコット間違いなし!ぐふふ、これで我が部には美形が3人…」
「え、いえ…」
「あ!絵美ちゃん!」
「おお、いいところにきた!美咲!」
「はあ?」
「かわいいのにこんな声出しちゃダメだよ!?ほら、この人が我が校誇る1番の美少女!野々宮美咲ィ~!」
「絵美ちゃん!は、はずかしいよ…」
「なに言ってんの!ていうか女の子にまで人見知りしないでよ…」
「は?」
ああ、千秋様キレそう…
「え?この二人男の子だよ?」
『!』
あら、この方なかなかやりますわね…
「え~!うっそ~!?」
「よくわかったな、お前」
「へ!?お、お前?」
「あう~道理でこんなかわいいのにズボンはいてるのか…く、おのれ、私はあきらめないわよ!」
絵美様…良くわからない気迫ですわ。
「あ!え、えっと、え、えええ演劇部へよよよよようこそ!」
「まだ入ってないけどね」
「はうっじゃ入ってください!」
「入って入って入って入って入って!!!」
「僕はいいや」
『え~』
「…俺が入ってやる」
「ほんと!?」
「やった―やったわ―美少…年をゲット―♡」
「へえ…意外だな。千秋は演劇に興味あったのかな?」
「別に」
「ふぅ~ん」
「まあまあ、もうどうでもいいからはLet's go!!」
「うるせえババア」
「バ、ババア!?」
あらあ、絵美様…フリーズされているわ。
「おい」
「う、うん!?」
美咲様…後輩におびえていらしても…
「案内しろ」
「は、はいい!!」
美咲様…私はすこし悲しいわ。
☆ ☆ ☆
やっとのことで部屋にたどりつきましたわね。途中で千秋様に一目ぼれした先輩同級生に告白され、暴言を吐きフリーズさせ、美咲様に踏んで下さいと土下座する後輩、そのたびにおびえる美咲様、暴言を吐く千秋様…
本当に大変でしたわ。
「ったく…」
「うう、ごめんね…」
―ガチャ
部屋のドアを開ける美咲様
「あれ?だれもいないみたいだけど入って入って」
「……」
美咲様、無用心すぎますわ。いくら千秋様には正政がいても、健全な高校1年生男子が女の子と同じ部屋にいて邪な考えがないとでも…
いえ、美咲様はそこまで考えはいないのでしょうね。
「あ!!」
ドアをくぐろうとする千秋様を見て突然声をあげられた美咲様
「あわわわわ」
「なに?」
「これやれって言われてたんだ!」
??なんでしょうか
「ようこそ、我が演劇部へ」
そういって礼をした美咲様のほほえみはとてもきれいで、思わず見とれてしまいましたわ。
「!」
「?」
「べ、べつになんでもね―し、なんでもない、です」
あら、そういった千秋様の頬はほんのりと赤くなっており…
「あ、明日またくるし!」
「え!?あ!」
猛ダッシュで部屋から飛び出る千秋様。
そのままつっぱしり、図書室に飛び入る。
さいわいからんとしていますね。今の千秋様を見れば、男女かまわず飛びかかるに違いありありませんから。うるうるした大きな瞳は走っているときにごみが入ったから。服装が乱れているのは走ったから、ほんのりと赤くなった頬は…うふふ、なぜでしょう。
「なんだ…?この気持ち…」
動悸が激しくなる胸をおさえる千秋様。千秋様のいつもより速い心臓の音。きっと走ったということ以外にも理由はあるのでしょうね。
☆
そうして、千秋様は美咲様に恋をしたのです。
…すこし、残念ですけれども。




