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夏の知らせを・・・ シリーズ

夏の知らせを・・・

作者: にぷる

あの日はなんとなく、遠まわりして帰りたい


気分だった


別にそのことに後悔してるんじゃないけど


―――あたしは……………


















ミーンミンミンミー


またこの季節がやってきた


これからもっと暑くなるだろう


あ、嫌いってわけじゃないよ


でも好きなわけでもない


ただ、この季節はいろいろ思いだす


ほんとにいろいろありすぎて、


楽しくて、 悲しくて・・・







なぁんてね! やだなぁ、もう


これだからあたしは


せっかくの夏休みたんだから


思いっきり遊ばないとッ!


宿題のことなんか忘れてさ


・・・・そうじゃなきゃアイツも寂しくなっ


ちゃうよ



夏、か・・・


「今日はとても暑くなるでしょう


熱中症.....」


テレビからそんな言葉が聞こえてきた


へぇ、そんなに暑いんだぁ


そういえばあの日もこんな感じの


暑い日だったような?



















――――――――三年前


あたしは間宮聖那まみや せいな


高校2年生


小さい時から音楽習ってたから


ほとんどの楽器はできると思う


自慢じゃないよ


あ、高校はけっこう良い方だけど


あたしの場合は音楽のおかげ


明華高校めいかこうこうって言うの



今日は終業式でお昼帰り







―――ミーンミンミンミー


あっつーい、 外ってこんなに暑かったっけ?


「 溶けそ~」



「平気でしょ、 てか聖那、長袖だからでしょ」


ッ!    ん?  なんだ、


誓か、ビックリした


「いいの、日焼け対策よ、もう、急に


でてこないでよ


心臓に悪いから」


彼女は卯先うさき ちか


あたしとちがって


頭良い、高校は同じ


まぁ誓は実力で入ったけど


「心臓なんか悪くないでしょ


むしろ元気すぎ」


そうかなぁ?


でもあんま風邪ひかないな、あたし


「んで、何しに来たの?」


あたし帰るけど


「帰るんでしょ?一緒に帰ろ?」


「いいわよ」




あれ? こんなところに


ケーキ屋さんがある~


「誓、見てみてぇあのケーキ屋さん


今日早いから寄ってかない?」


かわいいし おいしそーだし


「いいね♪ でも、よぉく見た方がいんじゃな

  

い?」


?なんで えぇっと、どれどれ――


『開店日 8/1


どれも美味しいケーキが揃っています。


是非来てください。』


なるほど、明後日か


えぇ!明後日までお預けなのぉ?


うーん…楽しみにしておくとしよう


「じゃあ明後日、誓も行くよね?」


「もちろん」


まぁ、せっかくだからこの店のまえ


通って行くかな



なんか新鮮、いつもと違う道


たまにはいいものね、遠まわりも


「ねぇ、誓、遠まわりっていうのも


悪くない……どうしたの?


そんな怖そうな顔して?」


「しっ! 危ない!」




ンツ!!


「きゃっ!」


んお? っとと、 ふう~


助かったぁ、ナイス誓


「全く、気を付けてよね?聖那


よそ見してるから」


いや~、もっともですな


あはははは…


「でもさっきの、自転車の方も


悪かったわね」


「そーだよ!


おーい、さっきの自転車!


危ないだロー!! 気を付けろイ!! 」


ふん! 全く、これだから最近の


若い者は…



「え、なんかいいましたか?」


………あれ?


聞こえてた、かな?


や、やばくね?


なんか感じ悪そうな人だし


「えぇっと


ちーかー、どうする?


何もなかったかのように


逃げる?」


どうにかしてください、誓様



「友達があなたにひかれそう


になったの!」


いや、あんまけんか売らない方が…




「慰謝料、ちゃんと払ってね♪」


おいーーー!!!


何言ってんの!!!


ヤバイでしょ!


「だ、大丈夫ですか?


慰謝料いくら?」


…真に受けたよ、この人


わりとバカなのかなぁ


じゃなくて


「あ、あの大丈夫です


すみません、あたしも


よそ見してたので」


「でも


じゃあ慰謝料は払いますよ


俺結構金あるんで」


えーっと、そーゆー問題じゃあ


ないと思う…


てか何、結構金あるって


自慢?!


なんなのよ!!


別にいいし、どーでもいいし


「…いりません!


もう失礼します!!


行こ、誓」


全く、あたしだってお金くらい


ありますよっつーの!


貯めてるし…去年から


「いいの?聖那」


「いいわよ!当たり前でしょ!」


もう、誓はホントに金ばっかりなんだから


「えーっと、結構金あるって


言ったけど人並みだよ?」

……はぁ?


「俺、そこでバイトしてんだ」

そこって


ケーキ屋さん?


「だから、何?」


「おまえ機嫌悪そうだから


おごってやるよ、オープンしたら」


え?!


「べべ別にいいし!


誓、友達といくから


それと機嫌悪くないし!!」


何よ、いきなり


「ふ~ん いいじゃない


私も行きたい」


なぬ!?


「うん、じゃあ決定だな


あ、俺もダチ連れてくな」


ちょっと~!


勝手に話進めないでよ~!


~~ん


「わかったよ~!


おごってくれるんでしょ?


人並みのお金で」


それってどーせバイト代でしょ?


底尽きるくらいたべてやるんだから!!


「明後日そうだな


13:00にここな」


「OK」









あ~ぁ…


変な約束しちゃったな


でも誓楽しそうにしてたしなぁ


あ( ̄▽ ̄;)!


そーいえば聞きわすれたな、名前


いいか明後日会えるんだし




何て思いながら明後日はすぐにやってきた









「よし、揃ったな」


あたしと誓と一昨日の人とその友人?の4人だ


「そんじゃまずは自己紹介といくか」


まぁ名前くらいは覚えてやるか


「俺は井上いのうえ 綺煌きらめ


私立 明星高校めいせいこうこう2年」


えーこの人私立校なの?!


しかも同い年!!


何か、意外だわ…


「じゃあ次はオレね☆


名前は水野みずの 正織まさおり


同じく明星校オレは3年、よろしく」


こっちは先輩かなぁ?


「次どうぞお二人さん♪」


んー…なんが好きじゃないな


この3年


「私は卯先うさき ちか


私達は公立 明華高校めいかこうこう2年


まぁ有名だから知ってると思うけど…」


そりゃね、この辺では1位2位を争うくらいの


名門高校だものね


じゃ次はあたしね


「あたしは間宮まみや 聖那せいな


以下誓の言った通りよ」


「もういいから早く食べましょう」


そうそう あ~お腹すいた~

















これがあたしとアイツ―――キラとの出会い


まさかちょっとした事故が


原因で出会うなんてね…


ホント、懐かしいわ








それからあたし達は時々会うようになった















「あれ~もう揃ってるの?


早いね~」


いつも決まって最後に来るのは


水野君だった


そして


「早くないわ


あなたが遅いだけよ!!」


…そして決まって誓に一喝される


あたしと井上はというと


苦笑い



「さて、行きますかね」


「どこ行くの?」


行くところは基本井上が決める


でも今日はあたしが決めた


理由は特にないけどあたしのきまぐれ




「ゲーセン」


「ふーん


珍しいわね 聖那そーゆー所


嫌いじゃなかったっけ??」




うん、嫌いよ


でも、だから誓、あたしに遠慮してたでしょ?


ずっと


「別に嫌いなわけじゃないよ~


昨日ママが宝くじで1万当てたの


だから少し貰っちゃった」


嘘、今日は気まぐれじゃない


今日は誓の日だから


あたしが遠慮するわ





そう、今日は誓の誕生日なのだ




もちろん2人には言ってある



「じゃあ行くか」



この町は田舎だからゲーセンといっても


やっぱショボい


「なんだよお前、入んねーの?」


…無理した、恐るべしゲーセン


「ん~(;>_<;)


ダメなの、雰囲気が


何かガラ悪い」


別に怖いわけじゃないけど


なんかね、ほらその


やっぱ入りずらいっていうか…


「はぁ~ しょうがねーなー


……来いよ 誓待ってんぞ」


そ、そーだよ


あたしが言ったんだ


あたしが行かないと


計画がバレてもとも子もない


でもなぁ


「あ~も~ マサ、誓と先行ってろ」


何で?井上も行けばいいのに


あたしも、そ、そのうち行くし


たぶん


「あいよ~


だってさウサギちゃん」


「!その呼び方やめてっていってるでしょ!!


聖那、来なかったら今度は私が


無理矢理ここに連れてくるわよ!」


あははははは…バレたなこりゃ


参ったな(∩_∩;)P


さっさと遊んでおいたましますかね


「わかった、行く


ごめん、ありがと」


ありがと誓わかってて


バレてないふりしてるよね


「…大丈夫か?間宮」


なんだ、心配してくれてたんだ


「平気よ井上は優しいね」


「普通だろ お前一人


置いていけるかっつーの


しかもこんなところに」


そうね、ここ入り口だし


外見悪そうな人もいるしね







でも入ってみれば


みんなとゲームは


楽しかった


正直また来たいとも思った


何より


「何で~(;>_<;)


何で聖那このゲーム初めてなのに


全勝なのぉ~??」


誓…こんなゲーム弱いんだ…


「誓っ あたし割りと


手加減してた…かもよ?」


かもよ?じゃなくて


してましたよ?


「わ~ウサギちゃん全敗


すごいよ!!…逆に」


フォローになってねー…


バカだな水野君


「うるさいバカ水野!!


聖那が強いだけよ!!


あなたには負けないわよ!!」


いやたぶん誓が負けるよ


たぶんだよ?たぶんだからね


「うるさい聖那!


聞こえてるわよ!!」


「スイマセン…」


や~気を付けないとなぁ


「あっ!じゃあさぁ


キラとやってみたら?


こいつ何気弱いから」


へぇ~意外


まぁ見物ね


「弱くねーよ


余計なこと言ってんじゃねーよ


お前は…なんだその顔は」


え!?いや、別に~


あたし&水野君VS誓&井上


だったら秒殺かなぁ~?


『潰すわ(ゾ)!!』


ひぇー!! 聞こえてたぁー!!


「う、嘘、嘘だから、ね、ねー?」


わぁー誓怒らせたら怖いよォ~!!


「ハハハ(≡^∇^≡)いいね


面白そ~じゃん


やろ~よ ダブルス」


えー!マジか


「いいわよ!やってやろーじゃない!」


怒ってるよね?やけになってるよね?


こうなると後が怖いわ


「望むところだ!マサ、覚悟しろよ!」


えーこっちもォ~?


はぁ…こりゃあたしが何いっても


聞かないな


「じゃあ一勝負いきますかね


はぁ…」



ということで一勝負って言ったのに


十勝負になって


あたし&水野君ペアが全勝した


確かに井上は…弱かった




こうしてゲーセンは出て


本題へとはいった




「Happy birthday deer誓」



もうバレてるの知ってるけどね…


「はいはい、どうも」


あはははは 反応こまるよね~


「ウサギちゃんいくつになったの?


15歳くらい???」


「17でしょ!!


ホントにバカね!」


「ジョーダンだよ


こわいね~」


…なんか誓と水野君仲良いなぁ


まさか!できてるのか!


まさかねぇ~



あれ?そーいえば井上どこいったんだろ?







「…もしもし


はい、…わかった、…行く」



ん?なんだ、電話してたんだ


「井上ーそろそろ行こ


二次会はカラ…ってどしたの?


そんな深刻そうなか顔して」



「いや、別に、マサ仕事だ


手伝え」


別にじゃないよね?


仕事?なに?


「え~二次会は~?


…もしかしてみっちー達?」


え?なになに?みっちー?誰?


「そう」


「ねー、何?


それってあたし達も行って平気なの?」


「いや、お前らはカラオケ行ってくればいい」


なんで?


「じゃあ、またな」


え、え~と


どうしよう…


なぁんて考えるフリをしてみたりして


「ちーかー


もち、仕掛けたよね?」


はっはっはー、我が相棒をナメんなよ!!


学年首席ダゾ~!


「あら、確認するまでも


ないんじゃなぁい??」


んふ、さすがね


え~、なに話てるかって?


それはね、こーゆーこと♪













――――――――30分くらい後


「遅ーよ、キラ」


俺たちは電話で呼ばれてから


ダッシュで来た…はずだったのに


「折角来てやったのに


第一声がそれか!美光みつる


全く…


「よぉ~みっくん


みっちーは??」


相変わらず能天気なヤツだ


「ここだよ


急に呼んで悪い、キラ、マサ」


と小声で言って顔を出す


ん?上か?あそこは屋根裏だな


ったく、ホントだよ!


わかってんなら呼ぶなっつーの


「美光連れてきてくれ」


言われなくても入るよ


そーいえばあいつらは大丈夫だろうか


置いてきてしまったけど…













――――――同時刻


「見つけたぁ?」


かれこれ30分か


思ったより時間かかるな


「あともぅちょい


……あ、見つけた!!」


よし!でかした誓


「場所は?すぐ行こう」






前も言ったけどあたし達は名門高校の生徒


特に誓は学年首席


そしてその誓の得意教科は


化学、地学、物理、生物などの


まとめて理科!!


発信器を作るくらい参考書があればわけない


世間はきっとこれをズルいとか言う


でしょうけど、何とでも言え~!!!



「聖那、ここキラ達と会ったケーキ屋よ


バイト先に呼び出されたとかではなくて?」


あ~なるほど、そうなのかな?


「う~んでも行ってみようよ


なんか面白そうだから」


「カラオケは?」


あーえーっと、う~ん…


「はぁ、いいわ


明日にまわしてあげるわ


…朝から夜まで」


ひぇ~!!怖いわ~仕方ないか~


「おぅ」













――――――――ケーキ屋


「あっつ~い!


みっちークーラーはぁ?」


同感だな


「え?そうか?


おれはそうでもないけど」


…コイツ大丈夫なのか!?


病院行った方がいんじゃないか!?


まあいい


「で、何用だ?美満みちる


あぢー、溶けるー、茹でダコー


「あぁそうだ、アイツがまた消えてな」


なに!?またか!


どうやったらこう毎度毎度消えられるんだ!?


「で、場所は?…わかんねーな


宛はあんのか?」


これもねーな


「え~何なに?


クウちゃんまたどっか行っちゃったの?」


呑気だな、俺もだけど


「おいマサ、わかってんのかよ!


アイツが消えるとろくなことねーぞ!!」


まあ確かにな、美光の言う通りだ


どうすんだ全く


「というわけだからキラ、


探して来てくれないか」


ふざけんな、何で俺が


「嫌だ、美満が行け」


「まぁそう言わずにさ、


てかもちろんおれ達も行くけどさ


手伝ってくれよ」


面倒だ、警察に捜索願い出しとけ


「おい美満、今おれ達っつったけど


その中にオレも入ってたりしねーよな?」


「おぅそうかそうか、美光も行きたいのか


まぁそのつもりだから安心しろ(^^)v」


「はぁ~!!誰がンなこと言ったよ!?


行かねぇ、オレは行かねぇ!!」


じゃあ俺も美光と待っていよう♪


「じゃあ~、オレとみっちーとキラ


で行くっつーことで


帰りにカラオケでもよってくるかなぁ~」


お前行くのかよ


たか俺は強制かよ!


あー仕方ねー


「なんだよ!!マサ行くのかよ!!


つーかなんでカラオケなんだよ


意味わかんね!!!」


はいはい美光も行くのね


「はぁ、さっさと終わらせんぞ


とりあえず俺は北の方さがすから


美満は東、マサは西、美光は南な」


「随分大雑把で広範囲だな」


「キラ~それどこまで行くのぉ?


見つかるまでとか言うわけかい?」


「ちっ」


時間で区切るか


「1時間後ここに集合ってわけで」


カッタリー


あ~あ今度はどんなヤツに絡まれてんだ?

















――――――――とある路地裏


「…迷ったね」


「迷ったわね」


嘘でしょ!?どんだけ方向音痴なの!!


やっぱあたしが地図見れば良かった!!


「聖那、地理の成績は?」


「?平均並みだけど


それがどうしたの?」


「なら大丈夫ね


どうしても地図を読める自信があるなら


代わってかげてもいいわよ♪」


…素直に言えよ


もう無理だって


ったく、しょうがないなぁ


まさかあの誓かこんなにも方向音痴だったとは


「えーホント?


じゃあ代わってほしいなぁ」


↑棒読み







「…んだ!……ざけんな!…ったよ!」


「…でも…………あんた達…」








?今なんか聞こえたような?


「聖那、早く」


あ、ちょっと待って


「誓、今なんか聞こえた、こっち」


確かになにか聞こえた


自分で言うのもなんだけどあたし


耳だけはずば抜けていい


「え?何よ、私は聞こえなかったわよ?


ちょっと~聖那待ってよ~」


どこ?あたしが聞き取れた言葉が


正しければちょっとマズイな


だってさっきこう聞こえたんだ


「おい!何やってんだよ!


ふざけんな!誰がンなこと言ったよ!」


「え、でもこの箱ここに持ってこいって


あんた達が


大体これなんの仕事なんだよ?」


「こんな時間に持ってこい何て言ってねー!


見つかったらどーすんだよ!」


「は?何言ってんだ?


見つかったらヤバイの?」


「はぁ…お前もういい


そうだ、やべーモンだモストっつー最高な


気分になれる高価な薬だよ!」



ってね


…薬、モスト、最高な気分


間違えない麻薬だ


声からして話からして二人


一人は多分、恐らく雇われたんだ


「誓聞こえた?」


もう聞こえる距離に来ている


なんせ今目の前に見えたからだ


いくつかの箱と話してる二人が


「えぇ、にしても流石は聖那ね


あんな距離から聞こえたなんて」


まあね


でもそんなことより


これはマズイ


警察沙汰だよ


「誓どーする?


警察呼ぶ?てか、フツー呼ぶよね」


えーとたしかひゃくとうばんだから


「あ、ヤバ、若い方殴られたわ!」


え!?





――ガチャ!


はっ!しまった、携帯落とした!


「んぁ?誰かいんのか?出てこい!!」


ヤバ、気づかれた!!


「くっ、聖那、逃げて


私が行くわ」


はいぃぃ!?


何言ってんの!?


…でもここはこれが得策かな


二人ともつかまるよりはましだしね


まぁ、友達としては最低な行動だけど


誓なら大丈夫だ


「OK


あたしは町に出て警察に通報するわ


死ぬなよベスト4!!」


「当たり前!」


あたしは誓がとびたして見送って


から隙を見て逃げた


誓は大丈夫だ


あたしが言うんだから負けない


だってあたしは誓の特技を知ってるから


なんせ誓は剣道部新部長であり


全国ベスト4に入れる実力があるんだから








――――――――北の方へおよそ2キロ


暑い、とにかく暑い


全然見つかんねー


やっぱ警察に捜索願い出すか?


「ってあれ?交番ちけーな


やっぱ行けってことか?」


よし


俺は結局交番へと足を向けた



「こんにちはー(  ̄ー ̄)ノ


すみません…っておい」

















――――――現場から北東…に確か交番が


あーもー最悪


何で携帯壊れてんのよ


あんまり衝撃なかったじゃん!!


ついてないなぁ~もう!


……はぁはぁ、ヤバ


もう走れん!何やってんのよ


誓もヤバイのに


走る、走る、疲れる、走る


こんな長時間走ったのは中学のマラソン大会以来だ


はぁぁ~やっと着いたぁ~


「すみません


助けてください!!あの、ともだ…あ!」


「…おい間宮?」


…井上


何でこんなところに?バイト先では?


てか、それどころではない


「どうしました?


友達が何?」


そうだ


「友達が危険なヤツらに…


聞こえた話だと麻薬的な…」


言葉が作れない、疲れてるせいもあるけど


何よりあたしは国語が異常なくらい悪い


伝わったかな?


「何!?間宮、その友達は誓か?」


「そうよ」


「…まさかな、おい、オッサン


何でもねぇコイツの話は嘘だ


ゲームのしすぎだ」


はあ~!?


何それ?ゲームなんかしないし


麻薬とゲーム関係ないし!!


「はあ?どうした綺煌あとオッサン言うな!


ところでそっちの人は彼女か?」


おい待て断じて違うゾ!


え、てか何?知り合い?


「ちげーわ!邪魔したな


あぁ暇してたか、じゃあな


オヤジ」


なにぃ~!!オヤジ?お父さん?似てねー


てか井上


「どうしたの?顔赤いよ?


あのさ、何が何だかわからんのだけど???」


もうさっぱり


「赤くね~!!はぁ…行くぞ


その麻薬騒ぎどこだ?」


いやいや赤いね


「何よ、さっき嘘だとかいってたくせに!!


何でお父さん?連れてこないの?」


あたし達が行ってもどうにもなんないよ?


「オヤジは関係ねー


時に間宮、その中に幼そうな顔で


いかにも騙されています的なヤツ居なかったか?」


はあ?何それ?


殴られてた方の人かな?


「あそこは二人しかいなかったよ


若い方は殴られてたね」


「何!?急ぐぞ


…俺達は一体どこに向かってるんだ??」


あぁそういえばかなり時間かかるんだっけ?


「ここから南東に…


ものすごーく時間かかるよ?


さすがに疲れた」


足ガクガク


そして暑い、夕方だから尚更か


「タクシーつかまえるか」


そうだね、それがいいよ


…誓、今行くからね




















――――――――――――路地裏


聖那遅いわね


ザッと15分くらいたったかしら


これはまぁ、仕方ないことね


だってきっと聖那の携帯壊れてるもの


聖那のことだから知らないと思うけど


いくら防水機能付きの携帯でも


弱点はあるのよ


あのとき水溜まりに落ちて


拾うまでおよそ5秒


問題は水温と衝撃


こんな蒸し暑く地面はコンクリート


水温は多分30°くらいあるかしらね


そして衝撃、その両方が原因で


多少ひびが入ってもおかしくないわ


「にしても弱いわね


手応え全然感じられなかったわ」


実はもう片付いてたりして☆


そして聖那が来るまであと30分くらいでしょう


だってこんなに遅いってことは


直接交番とかに行くものね


生憎この辺りで一番近いところは


3~4キロ先


聖那の走るスピードを考えると


往復で約4.50分かかるわね


「…くそっ」


「あら何か??」


「…オレにこんなことしてタダですむと思うなよ」


敗者の言葉ね、もろ


「まぁ、それは楽しみだわ」










「………ぉーぃ、チッ


あの新人また失敗しやがったんだってよ!」







!!!


うそ!?


まだいたの!?


何人?何人いるの?


私1人じゃ大人数相手に勝てない…!


駄目だ、焦ってる、良案が思い付かない!!


何より、考えることを放棄してるような




「…ははっ…終わりだな、


オマエバカか!バレて黙ってるわけねーだろ!!」


……そうよ、どうして


何でこんな簡単なことが考えられなかったのよ…!


こんなこと…こーゆー状況…




「ぁん?何だてめぇ


!おい大丈夫か、…コイツにやられたのか!?」


…今からでも間に合って!


よく考えて!


相手は…10人、いや奥にもいるわね


20人か30人はいるかしら?


こんな多人数じゃ勝ち目はない


じゃあ逃げる?無理よ


今の状況で逃がしてくれるような連中じゃないわ!






どうする?どうする?どうする?どうする?


どうする?どうする?どうする?どうする?


考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!


考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!





……………………………


………………………………………


…………………………………………無理、よ



どうやっても決断は無理、しか出てこない…!!







「コイツホントにオマエ倒したんか??


随分弱そーだぜ?ぁん?」


…ビク!


触るなー!!!





!!!


動かない、あり得ない…






恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖


恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖




もう駄目だ……………

















「ウガ!」


「ワッ!」


「ンダ?テメー!」



………………!


な、な…んで!?


私は全身の力が抜けて私を持ち上げてた


男の手から地面に落ちた


驚いた、まだ助かっていないのに


安心してしまった




















「よぉ~


ウサギちゃん~」


…………


「…正織」


そのとき彼のことを名前で、


苗字ではなく名前で呼んでいたことに


そのときはまだ気付いていなかった



「…大丈夫?


ちょっと待ってて、すぐ


終わらせるからさ☆」


何よ、妙に優しくならないでよ!


水野の言葉で何でかわからないのだけど


できる、ような気がした


今ならできる


恐くない!!


「…私も」


「えぇ~


女の子を喧嘩に混ぜるわけには


いかないでしょ~?」


…ムカ!


「ナメないで!!!


こんなの…こーゆーことは


…昔っから慣れてるわよ!」


そう、こんなの日常茶飯事だったのよ


思い出したくない、でも思い出してしまうの



「…ウサギちゃん?


どうしたの?」


「よく、喋りながら余裕で…


いいえ、何でもないわ」


何でもないわ、早く片そう










…ごめんなさい聖那、


来ないで……














――――――――タクシーの中


…………


「何でだ!」


?電話、出ないのかな?


「おかしい、出ねぇ」


やっぱりか


何かあったとか…?


「間宮、後どのくらい?」


「タクシーだからね、後4.5分かなぁ


水野君、どうしたの?」


「さぁな、電話出ねぇんだ」


心配そうだね井上


あたしも誓が心配だ


嫌なこと聞いてしまったから


井上の話だとこーゆーことらしい





「え!何、お前20分間フルマラソン?」


何か違くね?


確かに20分でここまで走ってきたけど


「いいでしょ、別に


…いい加減教えてくれない?」


そう言ってタクシーに乗り込んだ


「あぁ、わかったよ」


……


「さっきダチに呼び出されたんだ


俺のバイト先のケーキ屋の息子なんだ


で、そいつのダチであり俺もまたそーなんだけど


そいつがまた厄介でな」


えーっと要は井上の友達だね


「誰に似たんだかしょっちゅうバイト紹介しろ


って俺んとこ来るんだよ」


それキミでしょ!


「…そいつな真面目だからどうも


騙されやすくてな


こいつぁ賭けたくねー賭けなんだが」


…どーゆーこと?


まさか変なヤツに騙されているとか言うわけ?


「お前の言う


ヤク連中に関わっているんじゃねぇかってな」


……………そんな!?


じゃあつまり、今までの話からして


「その、あたしが言った殴られてた方の若い人が


井上の友達?」


「かもって話だ」


「…そ、そう


それは別にいいけど


多分その人は無事だと思う」


「え!?なんで!?」


何故って?あ、そうかまだあたしも言ってなかった


「誓がいるから」


「はぁ!!なんだそれ


どーゆーことだ?」


「誓は剣道をやってるの


並みの強さじゃない


誓がたった二人相手に負けるはずがない!」


「二人…確かにそのときは


二人だったかもしれねぇがな


…そんなにあまくねぇ」



どーゆー…?



「仲間呼んでるかもな


マサが確かそっちに行ってるだろうから


連絡してみる」









ということだ


急いで!!


「もう着くぞ」


あぁホントだ


誓…………
















―――――――――――誓&マサ


はぁはぁ、はぁ…


正直限界


でもやっと終わったわ


私も水野も無事…だと思う


「あ、あの


えっとマサ、なんかまたゴメン」



あれ?知り合いだったの?


だから来てくれたのね



「った~くしょーがねーよな~


クウちゃん


ぁ~疲れた、さっさと出るぜぇ~」


「あ、うん


マサ大丈夫か?


あとウサギちゃん?っていうの?


あんたも悪かったな、巻き込んで」



はあ?何なのよ!


何この人、軽すぎ!!


誰に似たのかしら!!


「ホントよ!


…聖那、そろそろ来るわ」


今は会いたくない、会えない


きっと気遣うもの



今、どんな顔しているのだろう、私


下を向いているからどんな顔をしていても


みられることはないだろう


なのに



「じゃあ間宮ちゃんが来る前に


どっか行こうか~


さっきからずーっとキラから電話きてたから


多分キラも来るな」


そんなに私、わかりやすい、顔してた、の?


「じゃあクウちゃんまたな~


キラに言っとけよぉ~


俺疲れたから帰るわって」


………っ、……


「………私も、伝言お願い


心配されなくても、負けないわよ、って」


ごめんなさい、今は精一杯


聖那ならわかってしまうでしょうね

















「行こっか、ウサギちゃん」





「だから、その呼び方、やめてって、


言ってるでしょう」












こうして私達は路地裏を抜けて町の方へ出た


近くにあったカフェへ入っていった
















―――――――――――聖那&キラ


あたし達がここ、路地裏に着いたときには


もう終わっていた


キラの予想は当たっていて


友達は無事だった


そしてその周りには悪そうな男が大勢


倒れていた


全部キラの予想通りのことだった


「あー!キラ!


さっきね、マサが来てくれて…


えっと、彼女?デート中だった?」


…………………


何なのよさっきから!!


どうやったらそんな解釈ができるのぉ???


「あーもーいい、聞き飽きた


マサは?あと誓は?」


いやまだ二回しか聞いてないよね



そうだ、誓は?どこだ?



辺りを見回してもいない


大体水野君もどこへ?


「あぁ、マサね


なんか疲れたから帰るって


それとウサギちゃんって子が


心配されなくても、負けないわよって」


そう、ならよかった


きっと何かがきっかけで


あたしに会えない理由があるのだろう


ならそれで構わない


今はそれでいい


「あっそう、あのヤローわざと


着信拒否ってたな」


「時にキラぁ、これって


後始末、ボクらがやんの?」


後、始末?


この倒れてる人達?


ほっとくんじゃないのぉ?


「知らん、お前らでやっとけ


俺帰る」


「「はぁぁー!!!!ふざけんなぁー!!!」」


おっ!ハモった


そういえば、彼誰?


「あ~わかったわかったって


あー面倒くせ~、アイツ絶対面倒事残したよ」


そーいえばクウちゃんって言ってたな


確かに幼顔だ


「ちっ、じゃあフェアにじゃんけんで


負けたやつな


じゃーんけん…」




「やったー!あたし勝ち


てゆうか負けてもやんないけど


なんか巻き込まれたけど」


負けたお二人さん、


何するんだかわかんないけどとりあえず


「誓がどうやら無事らしいからあたし行くね」


帰ろうかな





「あー待って


えっと…名前!聞いときたいんだけど」


あ~そーね


言ってなかったね


「あたしは間宮まみや 聖那せいな


明華高校2年よ」


「へぇ、明華か!あの有名な


ボクは風松かざまつ 空耶くうや


キラ達と同じ明星高校ダヨ


ボクは1年だけど


よろしくね、聖那ちゃん☆」










「ほぅ、明華かそれは凄いな!


おれも行きたかったな」


!?


「だったらいけばよかっただろっ!


どうせテメーは行けんだからよ」


!?


「あはは、そんなに凄くないよおれは」


「早いな、まだ10分たってねーぞ」


ん?何なに?今度は誰?


「えっと…」


「初めまして、おれもキラや空耶と同じく


明星の2年の木野きの 美満みちる


で、こっちは弟の美光みつる



へぇ~友達かぁ


そっかさっき言ってたダチって


この人達のことか


「よろしく


弟?双子?」


ちと、疑問に思た


「おーよくわかったね


似てもいないのに」


まぁなんとなく



「そーいえばよ


キラ、なんで女なんか連れてんだ?


おぉっ!彼女か!?」


だ~か~ら~


「違うだろ、仮に彼女だったら


こんなところに連れてこないだろ」


おー!!!!


わかってくれる人がいるもんだね




「そろそろいいか?


今全員で5人いるからさっさと片付けよう」



……………………………はい?


「井上、それだとあたしも頭数入ってんだけど?」


まさかね~


あたしは関係無いものね~


「なんか今幻聴的なものが聞こえたような…


気のせいか」


ンフ


「殺すわよ♪」


冗談じゃない


大体何すんの?


転がってる人片付けるの?


どこに?どうやって?



「安心しろ邪魔にならないように


端に寄せとくだけだ」



ここ路地裏で目立たないから邪魔になんないんじゃ


ないのかな?



……もういいよ


わかったよ、言われた通りやりますよ!












――――――――――――19時くらい


片付け?はちょっと前に終わった


もう遅いからって


断ったのに


キラが家まで送ってくれた




いや~疲れたわ今日は


誓の誕生日で


犯罪巻き込まれそうになって


マラソンして


犯罪巻き込まれそうになって


…………


なんなんだホントに


てかほとんど井上達のせいだ


「ねぇ井上、あたしキミを訴えたいわ!」


「じゃあ俺はその前にどっか逃げるわ」


逃がさないよ!!




「あっここでいい


送ってくれてありがとう


それじゃまた、井上」


「そうかい、そんじゃな」








「あ、そうそう前から思ってたんだけどよ」


…?


「俺、キラ


あんまり苗字で呼ぶヤツいねー」


え、何いきなり?



それならあたしも


「じゃあ、あたしは聖那


うん、苗字で呼ばれるのは少し難いよね」


好きじゃない、苗字で呼ばれるのも呼ぶのも


なんか知らないけどあたしは


昔から名前で呼ばれてたんだ


だから学校で先生とかが苗字で呼ぶと


なんか嫌だったな


慣れってやつ?



井上も…キラもそうだったのかな?













「じゃあな、また今度 …聖那」






「じゃあね~ …キラ」

















―――――ミーンミンミンミー


もう夜になろうとしているのに


蝉の声は絶えず響いていた


























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