蜘蛛糸 前編
桜が落ちた部屋へ戻る二人、ドアを開け中へ入る。視界に入ったのは二つの扉と一人の死体。
「隊長・・・」
ルーカスは死体に近づいて、死体の無線機を手に取ると桜に渡した、そして簡単に使い方を説得した。
「無線機か、イヤホンタイプとは随分かっこいいじゃない」
「気に入ったか・・・」
部屋の奥の二つの扉、ヘリが迎えにくるまで残り約二日。
「施設は思ったよりも、この先は複雑だもう時間もあんまり無い二手に別れて、サンプルを見つけ方が連絡をしよう」
「了解、私は右に行くわ」
桜は右の扉の前に立つとドアノブに手をかける、そして引いた時、ルーカスが一声かけた。
「絶対死ぬなよ」
桜の動きが止まりルーカスを見る
「そっちこそね」
桜はドアを開け中に入り姿がやがて見えなくなった。ルーカスは左のドアに向かい立ち止まり無線機のダイヤルを変える。
「こちら、HQ」
「こちらルーカス・ハル、サンプルDまで残り少しだ、ヘリの用意を」
「了解した、もう二日目の明け方になる急げ。」
通信が終わるドアノブを引き扉を開く、中に踏み込んで少し経つと、戦時中に作られたとは思えない近未来的な機械に溢れたフロアに出た、生物を保管する大きな試験管や檻が無数にある所々血のような跡が付いている。ルーカスは銃をフロアの奥へ進む。
「このフロアの電力は止まってるな、ついてないぜエレベーターは使えないか。」
だがしばらく経つとフロアに起動音のような音が伝わりアナウンスが流れる。
「機能運転を開始します。」
アナウンスが流れまたしばらく経つと、エレベーターの電力が回復した。ルーカスはエレベーターの前でしばらく待つ最深部にはこれで直進できる。
「誰が電力を?桜か?」
無線機の呼び出し音がなる。
「あ、ルーカスなんか色々スイッチあったからいじったんだけど、変化ない?」
「変化ありだ、良い方向へな」
「そう、じゃ私は私で進むね」
無線機の通信が終わる、不意に後ろから羽が羽ばたく音。
「モスキートか・・・エレベーター到着まで待てないよな?」
モスキートが三体、ルーカスを見つめ舌を出し攻撃の体制になる、前の二本足はハサミ。
ルーカスは自分の足のホルスターからバンドガンを取り空中に放り投げる、片手でサブマシンガンを撃ちまくる最初から命中には期待をしてない撃ち方、だがその内の二体のモスキートの頭に銃弾が命中、倒す事に成功だが弾倉は空になる。残り一体はハサミを構えながらルーカスに羽ばたいて直進、だがルーカスはハサミをかわして、直進してきたモスキートの頭をジャンプ台にし飛び上がる。飛び上がった先には丁度最初に投げたバンドガンがまだ空中を舞っていた、それをキャッチし地面に着陸するとすぐに振り向き、モスキートの頭を銃弾で貫いた。
「・・・ふぅ」
エレベーターから到着のブザーが鳴る。
桜は電力フロアから階段を使い下に降りていた、階段は螺旋状になっていてかなり長い。下に降りるにつれなぜか蜘蛛の巣が多くなっていった、桜は息をのむ螺旋階段はだんだん幅広くなっていった。蜘蛛の巣をよけながら進む、そして一番下まで降り切ると薄暗い部屋に出た、中は蜘蛛の巣だらけでとても気味が悪い。
だが蜘蛛たちは全くいない、周りをよく見渡し桜は警戒する、ふと上を見上げると今までの大きさを遥かに凌ぐ大きさ蜘蛛がいた。蜘蛛たちのボス。
「・・・こっちにはきずいてない?そうか横糸を踏んでないから分からないんだ」
蜘蛛の巣というのは縦糸と横糸に別れ形成される、縦糸は自分の動く範囲として、横糸は獲物を捕らえる為にある。蜘蛛は昆虫の中では単眼である為、獲物を目で見つけるのは難しい。
「蜘蛛に詳しくて良かった・・・」
そう思った瞬間地面に張り巡らされ横糸をあっさり踏んでしまった。粘着力が強く
離れない。
「ヤバい!」
蜘蛛に見つかった、高周波ブレードで蜘蛛糸を速やかに切る。蜘蛛は黒い瞳で桜を捕らえた。