始まりの終わり
足元にひどい違和感を覚える桜は今、感染し発熱を起こしソファで寝ている。汗が服を湿らせ、肌に張り付く。意識はあるが思うように体が動かない。ルーカスは桜の感染を止める為一人最深部のサンプルDへ向かった、その途中にあるサンプルD関連の資料が保管された部屋に入る。
「感染からまだ時間はそう立ってないな・・・でも発熱なんて例聞いたことない」
ルーカスは感染のメカニズムについてもブリーフィングを受けていた、数時間で人間の場合ならゾンビ化するが、それまでの体調不良は一切ないと言う。
「考えてる場合じゃない!」
ルーカスはサンプルDに関する資料を片っ端からかき集め感染の進行を止める方法が、書かれた資料を探す。
「ない・・・ない!くそう!桜に死なれたら脱出できない!」
もう一度資料に良く目を通して行く、時間は迫る一方。
ふと目が覚めた、私は死んだのか?そんな疑問が頭をよぎる、脚の怪我は治ってる。熱もない。
目が覚めて身の回りを確認するそして、自分がどこにいるのかを確認するため、私は回りを見渡した、私の住んでいる街、東京だ。私は懐かしい雰囲気に包まれて安心した。しばらく街を巡り歩く、変わらない街の雑踏、変わらない風景、何もかもが懐かしい。やがて街を歩き続けて、自分の家に付いた。今日は疲れたしゆっくり休みたい・・・あれ?私は・・・なにか大事な・・・。わかない、分かりたくない。家に入ったら分かるのに分かりたくない。
私は確か、噛まれて・・・!脚から血が!痛い痛い痛い痛い!嫌だ痛いのは嫌だ!助けて誰か・・・ルー・・・カス・・・。
「おき・・・・・・」
誰が私を呼んでる?
「桜!」
知ってる、ハッキリした発音の英語の声。家の中から?違う、空の上だ。
「・・・く・・・足りな・・・」
何だろ、私・・・空には行けないよ。
「これでどうだ!!」
空から大きな手が出てくる私の体をすっぽり包める大きさだ、私はその手にしがみついた、しがみついたら、眠くなった。
「うわぁ!!」
「起きたか!薬は効いてるのか?」
桜が目を覚ます、まぎれもない現実の世界ソファの上、体から汗がすっと引き、脚の怪我には包帯がされていた。ルーカスの手には注射器、中の残った液体が怪しく発光していた。
「抗体が効いたんだな・・・」
「抗体?」
「サンプルDをベースに真逆に成分を配合した、俺特製のお薬だ」
自慢げにルーカスは言う、ルーカスの口調からするとサンプルDは回収出来たようだ。桜はサンプルDがどんなものか見て見たくなってルーカスに訪ねる。
「ああ、これさ」
ルーカスがデイバッグから試験管に入った液体を桜に見せた。
「目的達成ね、施設の外に出ましょう」
「俺がきたルートを使おう」
「了解」
ルーカスがここまで来たルートを真逆に進むとすぐに施設の最初みた監獄風のフロアについた。
「嫌なこと思い出した」
「ああ、桜が落ちた場所だね」
「うるさい!言うな!」
ルーカスは理不尽に怒られた、桜の声は施設内によく響き渡った。
パタパタ パタパタ
聞き覚えがある嫌な音・・・桜はハッとなり口を塞ぐ、奴らを呼び出したのは自分の声だ。
「ごめん、ルーカス・・・」
「走れー!!」
二人は施設を飛び出し朝日を拝む、ゾンビと追っかけっこしながら、だが走っていた二人は笑顔だった。なぜならもうすぐ悪夢のこのバイオアイランドから脱出、出来るのだから。
「こちらΔヘリチーム、ルーカス応答せよ」
「はぁはぁ、もうすぐ海外だ!着陸前に森に赤いスモークが見えるはずだ、そこにミサイルを頼む」
「了解」
ルーカスは装備からスモークグレネードを取り出し、大きくふりかぶって投げようとするが手からすっぽ抜ける。
「ごめん、桜投げ損なった・・・」
「あほー!走れー!」
ヘリコプターからミサイルが打ち出される、そして森を焼け野原にした、ゾンビ達が肉片へと変わる。それに混じって二人の人間が砂浜まで吹き飛ばされた。激しく地面に打ちつけられたが無事のようだ。
ヘリコプターは砂浜に着陸し、ルーカスと同じ黒い装備に身を包んだ、男達が銃を構えて降りてくる。一人の男が倒れたルーカスに近寄る、ルーカスはすぐに立ち上がり、サンプルDを渡す。男はご苦労と一言。
そして男はルーカスに桜の事を聞く。
「なぜ生きてる?飛行機の乗員、及び関係者は殺すよう指示したはずだ。」
「彼女が協力してくれたから今があります、殺す必要はありません」
ルーカスはサンプルDを持った男に桜を殺す必要がないと訴えるが、男は聞こうとはしない。そして男が手を上げると、他の男たちが桜を囲み銃を構える。
「殺せ・・・協力したことに感謝はするが今はもはや不要だ」
桜は打つ手なし、手を上げただ縮まったように目をつぶり動かない。
「やめろ・・・やめろー!」
ルーカスは銃を乱射、桜はその場にすぐさま伏せて回避した。桜を囲んだ男たちに弾は命中する、しかしそれを見たサンプルDを持った男がルーカスに銃を発砲。ルーカスのわき腹に命中。
「馬鹿な男だ、惚れでもしたって・・・・・・ぐは!」
刃物のような物が男の背中から貫通、高周波ブレードを持った桜の姿が男の後ろにはあった。
「こんなガキに・・・」
桜はルーカスに駆け寄る。
「大丈夫?」
「ああ、なんとか・・・くそ」
桜はルーカスを支えながらヘリに乗る、ルーカスはヘリを離陸させ島から脱出。悪夢3日間が終わった。
12月30日
病院に搬送されたルーカスは容態が急変、桜にみとられ死亡した。
1月1日
桜はサンプルDをルーカスを雇っていたPMCに渡し、その後わざと通報PMCはFBIの取り調べで、生物兵器の開発が発覚し倒産した。
1月2日
文月桜はサンプルDに対して、唯一の抗体保有者としてアメリカ政府に拘束される。
1月7日
抗体保有者人体実験に失敗、文月桜は死亡、だが遺体が消える。
1月21日
死 者 が 世 界 を 歩 く。