蜘蛛糸 後編
蜘蛛はゆっくりと糸を尾からたらし
天井から床に降りる、桜はすぐに施設内の柱に隠れるが、横糸が張り巡らされていた、横糸の振動が蜘蛛に伝わり居場所がバレる。蜘蛛は柱に向かって突進する。
「うわぁ!」
桜の隠れていた柱は砕かれ、桜は丸見えの状態、背筋すら氷るありえない破壊力。桜はまたすぐに走り出し別の小さな部屋へ逃げ込む。資料室とかかれた標識があった部屋だった。
「はぁはぁ、ここは横糸ないよね・・・良かった、でも奥に進む為にはあいつがどうしても邪魔だな。」
蜘蛛がいた部屋には奥に進む為の降下エレベーターあるが、エレベーターの扉の前には横糸が、隙間無く張られていて、蜘蛛がいる限りその糸に触れた瞬間攻撃される為、近づけない。手段があるとすれば蜘蛛を倒す以外ない。
「ここまで来てどん詰まりか・・・ん?」
桜の目の前にある棚から資料が一枚落ちる、何気なくそれを取ると読んでみる。
「変異した生物について、肥大化と攻撃本能のせいで兵士の半分が失われた、だがこれもサンプルDの作用の新しい効果と言える。問題は命令が聞けない事と、急激な肥大化により腹部から頭部にかけての耐久力が落ちることだ、奴らに命令と耐久力をどうにかさせれば軍事的に利用可能だろう。さらなる進歩を期待しよう。」
桜の緊張した顔がほぐれて、笑みになる。桜は高周波ブレードを鞘から抜き資料室をでる、相変わらず気味悪くゆっくりと蠢く超巨大蜘蛛。桜は横糸に触れぬ様に、フロアの柱へ近づくそして高周波ブレードで柱を一刀両断、柱が崩れて落ちる。柱は四メートルはあった。崩れ落ちた柱を空中に蹴り上げ落下直前でサッカーボールの如く蹴り、柱は蜘蛛の頭部を直撃。グシャリという鈍い音を立てて蜘蛛の頭は、潰れ青い体液が地面に大量に広がった。
「うへーばっちー・・・さすがに柱蹴り飛ばすのはすごく疲れる」
桜は汗をジャケットの袖で汗を拭った後高周波ブレードを鞘にしまう。そしてブラックパニッシャーを構え、エレベーターへ向かう。
パタパタ パタパタ
床を強く踏む音がする、何回も。やがてそれは人間の足音だと分かる、桜はブラックパニッシャーをホルスターに押し込むと、高周波ブレードを両手でしっかり握る。
「ゾンビか、入口のガラス破ってきたな」
螺旋階段の方に人型の影が、いくつも映るのが見える。桜はエレベーターのドアに絡みついた蜘蛛糸を高周波ブレードで切ると、ボタンを連打。
「早く!早く!あの数はヤバいって!」
エレベーターはまだ来ない、先に桜のいるフロアに来たのはゾンビだった。
桜を見つけたゾンビは一度走るのを止める、それに釣られ他のゾンビも止まる。
「・・・ヤバい」
「グォォォ!」
最前列の真ん中にいたゾンビが雄叫びをあげた瞬間、桜にゾンビたちが突っ込んで行く。
チーン
「やっと来た!」
エレベーターがようやく到着、桜は中に駆け込み閉まるのボタンを押す。
「閉まれ!閉まれ!早く」
閉まる扉にゾンビの頭が挟まり閉まらない、ゾンビは手で扉をこじ開けようとする。
「こら、離せ!離してよ!」
手で扉をこじ開けよとしていたゾンビが桜の脚を掴んで離さない。必死に抵抗する桜。だがしりもちをつきエレベーターの奥から引きずられてしまう。
脚に冷たい感触が伝わる、桜の脚からは血が出ていた。その出血の原因はゾンビの歯だった。噛まれた噛まれてしまった、桜はそう思いながらもホルスターからブラックパニッシャーを出し、弾丸を発砲。自分の脚を噛んだゾンビの頭を打ち抜き、噛まれてない脚でゾンビを蹴り飛ばし、エレベーターの外へやる。
「くそう!噛まれた!噛まれた!ウアアアア!」
桜は泣き叫び噛まれた脚の部位を確認。しっかりと歯形のついた、かみ跡が残っていた。
「ルーカス・・・」
「なんだ?桜」
「噛まれた、私噛まれたわ」
「何だって!・・・落ち着け桜早まるなよ!」
「落ちいていられるか!私も数時間で、もう」
「今どこだ!俺はサンプルDの目の前まできてる!」
「エレベーター・・・多分下に向かってるから私も、もうすぐ」
チーン
ルーカスがサンプルDのあるフロアでエレベーターの到着音を聞く。エレベーターの中には桜が横たわって倒れていた。
「桜!ひどい熱だ・・・くそう!」
ルーカスは桜を抱き上げエレベーターから出し周りの安全を確認すると、すぐ近くのソファに寝かせた。桜は意識はあるが、衰弱しきっていた。
「治療法がないと決まった訳じゃない・・・」
ルーカスは桜の手を握りしめそう言うとサンプルDを取りに最後のエリアへと向かった。
サンプルDのある場所はガラス張りの薬品保管室にあり、その手前に薬品に関する資料などを保管している部屋もある。ルーカスは薬品保管個手前の資料室へ向かった。