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第2話 仲間になりたそうにこっちを見ている

第2話 仲間になりたそうにこっちを見ている

 前話で、「ぷるるっ!」と腹がなった俺。


 思えば何も食べてないような…?


「ぷるぷる」


 あ、また鳴った。


 というか、あれ?なんかすげぇ周りが暗く感じるような。


 背後から大きな陰が、阿良木を覆っていた。


「ぷぷーっ!!」


「え?なに?」

 

 ようやく阿良木は、背後に何かがいることに気がついた。

 ゆっくりと振り向き、確認する。


「んげえ!?でっけぇぇー!!ミジンコ!!!」

 なんと背後には空色のでっかいミジンコが空を覆っていた。

 


「ぷぃ〜!ぷぃ〜!!」

「あっ!!!てめぇーっ!!!」

 

 巨大ミジンコの肩には、さっき捕まえ損なった空色スライムがいた。


「ぷるる〜」

 巨大ミジンコはぴょんとジャンプをした。


「えっ!?何!?また空飛ぶのか!?」


 そして巨大ミジンコは地面へ落ちた。


 地面に到達した瞬間――


 ドッ……

      ――ゴォォォォーーーーン!!!!


「うぉぉおおおおお!!地震だあああああああ!!!」

 

 大地が爆発するように揺れた。

 

 阿良木の体が空へ投げ出される。


「ぷるるるるるるるるる!!!!」


 ――キィィィィン。


 巨大ミジンコは鳴き声の衝撃波を繰り出した。

 

 空気がビリビリ震える。

 地面の草が一斉に寝る。

 阿良木の髪が逆立つ。


「うるっせぇえぇぇ!!いっっってぇぇ!!」

 阿良木は咄嗟に耳を塞いだ。

 

「ぐえっ!」

 地面に落ちた。


「ぷるる?ぷるぷるぷ〜」

「あ?なんだって?」


「ぷるぷるぷ〜、ぷーるぷる〜(笑笑)」

「なんか知んねぇけど笑われてるのだけは、

 すんげー伝わってくる!笑うんじゃねーっ!!」

 

 その髪型面白いね!と言われてますね。byさくらぎ


「ナレーション入れるんじゃねぇ!!

 しかもいたんかよ!!!さっき返事しろよ!!!」


「つかどうすんだよこいつ!!でけぇし攻撃範囲えぐいし!!!俺なんも出来ねぇのに!!!」


「ぷいぷい」

「ぷるる?ぷるる〜ん」


「あぁ?なんか会話してやがる……」


「ぷ、ぷぷぷ」

 巨大ミジンコは口(?)を膨らませ始めた。


「あ!?おい、なんだそれ!!」

 阿良木は身構える。


「ぷーーーーっ!!!」

 まるで消防車の放水のごとく、みずでっぽうが繰り出された。


「おわーーーーっ!!!流されるーーっ!!!」

 避ける間もなく、阿良木は水に押し出された。


 水の勢いが止まったのは、崖の手前だった。


「……はぁっ!?」

 崖の縁に爪先がかかり、息を飲んだ。

 

「しぬしぬシヌ死ぬ!!!怖ぇぇぇ!!」

 ギリギリで水が引いたため、何とか生き延びた阿良木。

 

「どどど、どうする!?例え最強チートだとしても、

 この高さから落ちたらひとたまりもないぞ!?」


「ぷる〜」

 巨大ミジンコは、ドスン、ドスンと阿良木に近づいて来る。


「そもそもなんでミジンコなんだよ!!スライムの親だとしてもスライムだろうよ!!」


 ミジンコがいいって……


「言ってねぇーよ!!それは神崎だろうが!!!」


「あぁー、もう!打つ手無さすぎるぜ〜!!」

 阿良木は必死に考えた。


 だが、思いつかなかった。


 最強チートもここまでらしい。


「余計な一言すぎんだろ!!!」


「ぷるぷるぷる〜!!!」

 巨大ミジンコは高く飛び上がった。


「まだ死にたくないーーっ!!!」

 阿良木は叫んだ。


 阿良木の視界が、水しぶきで霞む。


 その向こうで、淡い光が揺れた。


 「――《吸水ヒール》」

 

「ぷるぅぅぅぅ!?!?」

 柔らかな声と一緒に、背後から来た者の杖に

 巨大ミジンコは水のごとく吸い込まれていった。


「……えっ!!!誰!?」

 霞んでいた視界が晴れた先に立っていたのは――

 

 

「お久しぶりです、阿良木(あらき)先輩。大丈夫でしたか?」

 この白髪は、白石瑠依(しらいしるい)。リアスト学園二年。

 医者志望で学年二位の学力を持っている。

 つまりめちゃくちゃ頭が良い。なんでも知ってる物知りくん。


「し、しし、白石〜っっ!!!!」

 阿良木は我慢していた恐怖で、目一杯に涙を溜め鼻水を垂らし、

 巨大ミジンコの後ろから現れた白石瑠依に抱きついた。


「うわ、汚……じゃなくて……助けられて良かったです。」

「汚いとか言うなよォぉ……うぇーーん」

 白石は優しく阿良木を受け止めた。


 テッテレテーン!白石瑠依!レベルアップ!


「あ、レベル上がった。」

「え!?俺は!?」


 しばらくして――


 阿良木と白石は地面に座り、休憩していた。


「ぶぶーっ!!……白石は、その、……なにその杖。」

 勢いよく鼻水をかみ、質問する。


「僕はヒール系のウィザードです。

 さっきのスキルの吸水ヒールは自分のMPを回復させるスキルです。」

 白石は、優しく教えてくれた。

 

「へぇ〜、すごいお前らしいな。」


「見ますか?ステータス。」

 白石はステータスを見してくれた。


【ステータス:白石瑠依(しらいしるい)

 役職:ウィザード  レベル:22

 HP:350  MP:550

 スキル:ヒール、クリアヒール、吸水ヒール、吸火ヒール  MP:10-50

 説明:体力、異常を回復、属性ごとのMP回復


「はぇ〜、ヒール系なのにものによっては強いな。」

「ある意味、半永久的にヒールが出来る感じですね。」

 阿良木はじーっとスキルを見つめていた。


「阿良木先輩のステータスは?」

「俺の?……見る??」

 白石が阿良木のステータスを知りたそうにしていたが、阿良木は出し渋る。

 

 その時。


「ぷ、ぷい!!ぷいぷい!!」

「あ?なんだ?」

 いつの間にか、空色スライムが後ろで震えながら、

 何かを持っている。


「こちらのスライムは?お友達ですか?」

 白石はひょんな事を言い出した。

 

「んなわけ、俺はこいつとずっと追いかけっこしてたんだぜ?」

 そうだ、俺はこいつと何時間も追いかけっこして、その後にあのミジンコに襲われたんだ。

 

「あぁ、そうなんですね。……お気の毒に。」

「ひぇ〜、相変わらず冷たいねぇ〜」

 意外と冷たい白石君。だか、いつも通りで安心する。

 

「ぷい!ぷい!!!」

 スライムは必死にジャンプしてアピールする。


「なに、こいつ。また追いかけっこか?」

「ぷいーっ!!」

「怒るなよ。ごめんって。」

 冗談をほのめかす阿良木にぴょんぴょんと怒るスライム。


「なんか、持ってません?丸いやつ。」

「え?……あ、ほんとだ。」

 白石が指をさした先には、

 スライムの後ろに、空色のコアがあった。


「スライム、これ俺たちにくれるのか?」

 ふと思ったことを呟いてみた。


「ぷい!ぷい!!」

 スライムはうんうん!と頷いていた。


「まじか!サンキュー!スライム!お前良い奴だなぁ〜!」

「ぷい〜♪」

 阿良木が褒め、スライムをつんっとつつくと、

 スライムは嬉しそうににこっとしていた。


「あ、もしかしてさっきの大きなミジンコのやつですか?」

「あ……確かに、スライムが肩に乗ってたから、

 親か何かなんじゃねぇか?」


「ぷいー?」

 スライムは首を傾げた。


「違うみたいですよ。スライムとミジンコって種類違いますし。」

「……確かに、そりゃそうだ。俺も思ってた。

 ま、貰えるもんは貰いますかっと。」

 冷静な白石にツッコまれた。阿良木は貰おうとコアに手を伸ばした。


 ぬるっ……。

「うわっ、なにこれ……ぬるっとしたぞ!?きも……」

 コアを触った瞬間、ぬるぬるっとしていた。

 

「ぬるっとする……コア……?……あ!思い出しました!!

 それギルドクエストにあったものですよ!」

 白石の頭にピーンと豆電球が浮かび上がった。


「へ?ギルド?なんそれ」

「え、知らないんですか?この近くだとレヴェーテルって王国のギルドが一番近いですよ。」


「レヴェーテル?なんか知らんことばっかだな……」

「ぷい〜?」

 阿良木とスライムは首を傾げる。


「ふふっ、スライムくんもお話聞いてくれるんだ」

 白石はスライムを見て、優しい声で微笑んだ。

 

「お前、なんか、仲間になりたそうにこっちを見ているか?」

 スライムに、定番セリフを決める阿良木。

 

「ぷ?…………ぷい!」

 スライムは少し考え、元気に頷いた。


「まじか!!!……まぁー、いっか!一緒に行こう!

 えーっと、名前は〜、ぷい助!

 ぷいぷい鳴くからぷい助だ!覚えたか?ぷい助!」

「ぷ!ぷいぷい〜♪」

 

 阿良木は本当に仲間になるとは思わなかったが、

 スライムをぷい助と名ずけた。

 

「ところで、ギルドに行かれてないんですか?大体皆そこにいますよ?」

「え!?みんな居るの!?なんで!?」

 白石は話を戻した。阿良木は驚いていた。

 

「なんでって言われても、

 チュートリアルで王都に向おうって指示出てたじゃないですか。」

「はっ!?出てない!!」

 

 説明しよう!!!

 阿良木以外の皆は職業を自由選択出来るため、

 選択後チュートリアルで王都を目指そう!

 との指示があるのである!


「まじか!?最強チートだから無かったってこと!?」

「……?……誰と話してるんです?」

「え、ナレーションのさくらぎちゃんと。」

「……ナレーション?」


 ぼくの声は阿良木くん以外には聞こえないよん♪

 だって最強チートなんだからね♪


「 (最強の使い方そこ!?!?) 」

 

「う、うんんっ!じゃあ、とりあえずギルドに行こう!!それで、……何するんだっけ?」

 阿良木は咳払いをし、次の目標を決めた。


「このぬるぬるしたコアですよ。

 このコア、S級のクエストで出てたやつです。

 なんでも、このコアの主の巨大モンスターは超レアキャラで、

 いつ現れるか分からないって噂なんですよ。」

 白石はギルドで集めた情報を伝えた。


「超レアキャラ!?マジで!?うっほ〜!そんな奴に俺狙われてたってこと!?」

「はい、死にそうになってましたけどね。」

「それは言わなくていいの!!」

 白石が喜んでいた阿良木をいじる。


「じゃあまずは、レヴェーテル王国を目指しましょう。その、……ぬるぬるコアを持って。」

「すんげぇ嫌そうな顔するじゃん。」

「ぷい!ぷい〜!」

 嫌そうな顔をした白石に阿良木がツッコミ、ぷい助がぬるぬるコアをパクッと咥えた。

 

 スライムの中にゆらゆらと揺れるぬるぬるコアが入った。

 

「まじか!ぷい助有能だな!王都まで頼むぜ!」

「おや、ぷい助さん働き者ですね。それでは王都までご案内します。着いてきてください。」

 

 二人は感心をし、白石は白いローブをなびかせ、二人と一匹で王都に向かった。


 

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