息子と白狐
それから1年半後、その日は、うちの子達の名前のもとになった記号の仲間が追加される日でした。
(楽しみです!正式に発表されるまでは寝れませんよ…)
偶然起きていた清浄と深夜の街を散歩しながら、まだかまだかと待っていたんです。
すると突然、清浄が変な事を言い出しました。
「あ!親父みて、まっしろなきつねさんがいるー!あんな道のまん中でなにしてるのかな?」
「はい…?何も見えませんが…」
清浄が指を差した方を見ても、そこには何もありませんでした。
「ほら、今こっちむいたよ!もう目が悪くなっちゃったの!?」
「そう言われましても…きっと乱反射か何かですよ。…いや、そんなわけ無いですか…」
(まさか本当に老化…流石に早すぎますって!)
「もういーよ!ぜぷとがはなしかけてくる!」
「ちょっと、急に道路に出たら危険ですよ!!」
僕の制止を振り切って、清浄は道路に出ていきました。
「きみ、おうちは?かぞくはいるの?」
(何もない所に話しかけて…心配です…)
「よかったらうちにこない?ここにいたらあぶないよ!」
「えと、一応僕が、家の主なんですけど…」
知らぬ間に話がまとまってしまいそうだったので口を挟んだのですが…
「だってぜぷとがペットかいたいって言ったら、親父ゆるしてくれるでしょ?」
「当然ですよね」
すんなり許してしまいました。うちの子には弱いんです。
「じゃあいーじゃん!うちにきてもらおうよ!」
そう言って虚空を撫でる清浄。
「でも見えないとなると少々不便で…あっ、今ぼんやりとですが見えました!」
(どういうわけか、清浄が触っている間は少しだけ見えるみたいですね…)
直後、狐らしきものの力が抜けた様に見えました。
「きつねさんどうしたの!?」
「これは…恐らく眠ってるだけだと思いますよ。清浄が撫でた事で安心したのかもしれませんね」
「そっか!よかった…」
家に呼んでいいと言ってしまった手前、置いていくわけにはいきません。
清浄に場所を教えてもらいながら狐を抱え込みました。
「さて、連れて帰るとしましょう」
「うん!」
しばらく歩いていると、僕は名案を思い付きました!
「あ、帰ってから数時間、この子をお預かりしても良いですか?」
「え、いいけど…なにするの?」
心配そうな清浄に僕は笑顔で答えました。
「貴方の妹を作ります!」