天より来たりし賀茂明
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縁側でグダグダと過ごしていた新五拳聖たちの前に、突如として天から落ちてくる一条の光――!
ズガァァァァンッ!!
あたり一面、煙と雷の匂いが漂う。
土煙の中から現れたのは――ボロボロの衣をまとい、片目に傷を負った一人の男だった。
妹子「お、おい……なんか降ってきたぞ……」
秦河勝「……この感じ、ただの人間じゃない……“気”が違う……!」
煙が晴れる。
柿本人麻呂「……まさか、賀茂明……?」
馬子「賀茂の……賀茂明かッ!? お前、生きてたのかよ!」
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ボロボロの姿のまま、賀茂明は立ち上がり、深く息をついた。
賀茂明「……ああ。すまねえ、遅くなった。
どこにいたのかって? たぶん……未来だ」
妹子「……は?」
賀茂明「いや、自分でもよくわからん。目が覚めたら、富士山が崩れてて、東京が空に浮いてて、
……道鏡ってヤツが天皇になってんだよ。しかも、めっちゃくちゃ強ぇ」
馬子「はァ!? 道鏡ぁ!? あのエロ坊主か!?」
秦河勝「歴史が狂っている……」
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賀茂明「未来ではな……額田王が女帝として立ち上がり、
お前らも戦ったんだ。太子も、馬子も。だが……全員、負けた」
人麻呂「……我々が……?」
賀茂明「ああ。アイツの拳は、もう人間のものじゃねぇ。
未来の科学と呪法が合体してんだ。“超光拳・三千界煩悩弾”とか言ってた」
妹子「なにそれ、名前だけで負けそう……」
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賀茂明「言っておく――今のうちに倒すしかねえ。歴史が壊れる前に、アイツを止めろ。
この時代には、まだ“未覚醒”の道鏡がいる。だが……封印を解くのも時間の問題だ」
馬子「つまり、拳の旅は……まだ終わってねえってことかよ」
秦河勝「拳聖の宿命……断ち切ったと思ったが、まだ続くか」
柿本人麻呂「……ならば、我も詠む。『拳の道、未来に続けり、道鏡の影を穿つまで』」
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妹子「おいおい……やるしかねえのかよ、またこれ」
賀茂明「悪いな、みんな。……でも、未来で見たんだ。お前らの“最終奥義”は、まだ完成してねぇって」
太子(奥から登場)「そうか。ならば、今度こそ、“拳”で未来を変えるぞ」