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無限ループの罠
太子は馬子の言葉にハッとした。
「いや、だから…それも無限ループや!」
馬子の声はさらに強く響く。
「お前、そこで焦っても仕方ない。拳を置いて、瞑想しろ!」
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太子は拳を下ろし、深く息を吸った。
周囲の幻影、過去の試練、すべてが繰り返される無限の輪廻のようだ。
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「拳だけじゃ突破できんのか…ならば、心を鎮め、無限の輪廻の中に真理を見出すんだ」
太子は目を閉じ、静かに瞑想を始めた。
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闇の中に浮かび上がる無数の輪廻の影。
だが太子の心はその中心に澄んだ光を見つけた。
「これが…羅刹殿の真の試練。心を越えなければ拳は届かぬ」
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馬子は静かに頷いた。
「拳は力だけじゃない。心の静けさが無限を断ち切るんや」
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太子は瞑想の中で、真の力を取り戻していく。
無限ループの壁を破る鍵は、己の内にあったのだ。
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そして、再び目を開けると、幻の世界が少しずつ溶け始めていた。
「これで、真の戦いに戻れる――」