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天鳳宮(てんほうぐう)の裁き

玉座の間を出た太子の前に広がったのは、光輝く巨大な宮殿。

それが「天鳳宮てんほうぐう」――天上の王たちが治める裁きの場だった。


「ここが、次なる試練の舞台か……」

太子は拳を握りしめ、重厚な門をくぐった。


 


内部は荘厳な雰囲気に満ちていた。

高くそびえる天井、金銀の装飾、そして無数の玉座が並ぶ回廊。


「よく来た、太子よ」

声が響く。


振り返ると、十二人の天子たちが玉座から降りてきていた。


「我らは冠位十二宮の審判者。

 お前の拳、その意味と力を試す」


 


太子は一礼し、決意を込めて答えた。


「どうか、私の拳を裁いてください。

 ただ壊すためではなく、人を繋げるための拳だと証明します」


 


第一の天子が前に出た。

その名は「天羅宮てんらきゅう」の王――権力の象徴。


「では問おう。お前の拳が治める国では、

 民は自由を失わぬか? 統治の秩序とは、時に人を縛るものだぞ」


太子は答えた。


「秩序は人を守るためのもの。

 だが、縛りつけるものではない。

 拳は民の声に耳を傾けねばならぬ」


 


審判者は厳しい目で太子を見つめた。

「言葉だけで民は救えぬ。拳の力を示せ」


太子は拳を掲げた。

「ならば、示そう」


 


そのとき、宮殿の壁に幻影が映し出された。

暴動、争い、飢餓……苦しむ民の姿。


太子は拳を振るい、幻影を打ち消した。

「これが私の拳の意味。壊すのではなく、癒すための力」


 


審判者の一人がうなずいた。

「だが、次の試練はもっと苛烈だ」


 


太子は緊張を強いられながらも、前へ進む決意を固めた。


「どんな試練でも受けてみせます」


 


天鳳宮の裁きは、まだ始まったばかり。

太子の拳は、これからも試され続ける――


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