波乱の辺境伯領10
読者の皆様にお知らせです。
私、気温差に体がついていかずに風邪をひいてしまい、38℃の熱で寝込んでしまいました。
更新が少し遅れてしまいますが、熱が下がるまでお待ちいただけると嬉しいです(*^^*)
ある時を境に、意味深なものへと変わっていく日記に、私は目を凝らす。
○○年○月○日
住人から、強い野獣が現れたと報告が来た。
数人がかりで倒し、事なきを得たようだが、周辺の警戒をしなければいけない。
○○年○月○日
迷いの森より、数体の強い野獣が現れたと村人が逃げ帰ってきた。
最初の報告からまだ一週間も経っていないのに、再び現れたのか。
意志を持つように動く野獣は、かなり手強いようだ。
村の警戒を強めなければ。
○○年○月○日
村人の飼い犬が迷いの森近くで行方不明になった後、戻ってくると突然飼い主に襲いかかったという。
迷いの森にいったい何が起こっているのだろうか。
○○年○月○日
ダメだ……収拾がつかない。
原因を知る為には迷いの森に向かうしかないのか。
傷付き倒れる者が多い中、どうすればいいのだ。
○○年○月○日
これ以上犠牲者を出さない為に、迷いの森に向かうしかないのだ。
でも、戦力を持たない我々にはどうしたいいのか分からない。
○○年○月○日
鎧を身にまとった高貴な青年が村を訪れた。
彼は大勢の兵士を連れていた。
目的があって迷いの森に向かうのだという青年に私は野獣が凶暴化している話をした。
○○年○月○日
青年は数日間、迷いの森周辺をしらみ潰しに捜索していた。
そして今日、森の最深部を目指すのだと旅立って行った。
彼は野獣の凶暴化した原因を探ってくる事を約束してくれた。
どうか、彼等が無事に戻りますようにと、神に祈った。
○○年○月○日
青年はまだ戻らない。
あれから一週間が経つというのに。
○○年○月○日
今日も迷いの森入口で彼を待った。
だが、戻ってくる気配は無い。
ただ、野獣の凶暴化は収まっている。
青年が何かをしてくれたのだろうか。
○○年○月○日
青年が帰ってきた。
ボロボロになりながらも、彼らは帰ってきたのだ。
カルト集団が、森の最深部で奇妙な実験を行っていたのが凶暴化の原因だったと知らされた。
なんという事だ。
野獣に襲われ死んでいった者達の悔しさに胸が苦しい。
「なんて事なの……まさか今回も」
読み解いた衝撃な事実に、知らず知らず握りしめた拳に力がはいった。
「何かわかったのですか?」
神妙な面持ちでカステッドが私の顔を覗き込む。
「うん。とんでもない事が書かれてた。これが事実なのだとしたら早く手を打たないと。お父様に直ぐに連絡を」
「かしこまりました」
強ばった表情のまま頷いたカステッドが部屋を出ていく。
もう何百年も前の話、これが本当であるならば、そのカルト集団はずっと続いていると言うこと。
なんだろう、この頭にモヤがかかった気持ち悪さ。
カルト集団……大事な何かを思い出せないそんな感覚が頭に鈍い痛みが加わる。
誤字報告ありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)