波乱の辺境伯領4
リビングに案内されテーブルにつくと、焼きたてのシフォンケーキが運ばれてきた。
淹れたての紅茶からは湯気が立ち上り香しい匂いがしていた。
「どうぞ召し上がってください」
アザリスにそう言われ手をフォークに伸ばそうとすると、キャサリンから待ったがかかる。
「お嬢様、お待ちください」
「あ、うん」
外での食事は万が一に備え、毒味をしなければならない決まりがある。
「申し訳ありませんが、外食の決まりですので毒味させていただきます」
キャサリンはそう言ってアザリス達に断りを入れると、懐から取り出したケースから銀のスプーンを取り出した。
それで紅茶を混ぜ、色が分からない事を確認したあと、綺麗な布でスプーンを拭い、シフォンケーキを一口口に含んだ。
「召し上がっても大丈夫です」
にっこり微笑んだキャサリンに、今度こそフォークに手を伸ばした。
お兄様の方を見ると、お兄様の侍従者がキャサリンと同じ様に毒味をしていた。
「高貴なお方は大変ですのね」
と気の毒そうに言ったマレーナに、
「僕が小さい頃に王都で毒を盛られた事があって、それ以来毒味をしない物は食べられない事になったんだ」
とお兄様が言う。
「なんてことを」
マレーナは口元を押さえ涙目になった。
この人はとても良い人なんだろうな。
「ジオルド様にその様な事をしたやからは許せませんな」
アザリスも怒りに顔を歪めた。
王位継承権を持つ者は、いつ命を狙われるか分からないんだ。
王家とは円満でも、それを取り巻く人々の中におバカさんは必ず存在する。
とは言え、今は私の作った解毒を付与したバングルがあるから、毒も実の所心配は無い。
「まぁ、とっても美味しいわ」
ふわふわした感触に、口の中で広がる甘み。
マレーナはお菓子作りの天才かもしれない。
「お口にあったようで嬉しいです」
「マレーナは、パテシェに向いてるわね」
「パテシェですか?」
聞きなれない言葉にマレーナは、小首を傾げる。
「ええ。お菓子作り専門の料理人の事よ」
「マレーナの作る菓子は全て美味しいんですよ。おかげで私の腹はこんな事に」
わははと笑い声を上げながらアザリスが自分のお腹をぽんと叩く。
「本当だ。とても美味しいね」
「でしょ、お兄様」
「ああ。口の中でケーキが溶けるね」
「うん」
美味しいものは、皆を笑顔にする。
「よろしければ、お持ち帰りなさいますか?」
マレーナいいひと!
「いや、これ以上迷惑はかけられない」
お兄様、私持って帰りたいとは、声には出さずお兄様を見つめる。
「ジオルド様、妻が沢山焼きすぎたのです。よろしければ消費を手伝ってください。うちには小さな子も居ませんし、私一人では消費はとても」
こちらが気を使わないようにアザリスは言葉を選んで伝えてくれる。
いつも読んでくださりありがとうございます(⁎-ω-⁎))"ペコンチョ
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