王都と書いてまきょうと読む15
「ククク、ハハハ、中々痛い事をはっきり言う」
陛下が爆笑してる。
「何それ、凄く可愛すぎる」
ジェフリードは、お口バッテンが気に入ったご様子。
「可愛い、こんな妹欲しい」
ジャックリードに、横から抱き着かれた。
「あわわ……」
「ジャックリード様、うちの娘を返してください」
お父様に救助していただく。
「同じ6歳児を見るとソフィアローゼの粗がよく分かってしまうな」
「そう思うなら、躾をし直した方がよろしいのでは?」
お父様は陛下にそう進言する。
「初めての女の子が生まれて、皆で甘やかしてしまったツケが回ってきたのだろうか」
「アリーシャも家族のみならず、屋敷の者や領民達からも甘やかされていますが、この子はきちんと分別出来ますよ。それは、私達は叱る時は本気でこの子と向き合うからです。この子はたまに突拍子もない事もしますが全てにおいてマナーはわきまえます」
「そうだな。メリハリを付けてしっかりと教育せねばなるまいな」
「ソフィアローゼ様を思うのならば、心を鬼にする必要もありかと」
「うむ、そうだな」
複雑な表情を浮かべる陛下。
「お父様……」
私はお父様の耳ともに近づくと「側室様では、もう矯正は無理ですよ。母と離してしっかりとマナーやルールを学ぶことをお勧めします」と囁いた。
「いや、だが、それは」
「三つ子の魂百までっていう東方の言葉があります。3歳までに覚えた事はその子の一生に関わってくるのです。6歳の今、もう3年も経過してます。早く矯正をしなければ待つまでいるのは悲しい未来です」
ボソボソとお父様と話す私を不思議そうに見た後、陛下はゆっくりと話し始めた。
「どうすれば良いのか分からぬのだ。教育係を付けても、嫌だと直ぐに根を上げてしまう」と。
陛下を見て私を見たお父様に小さく頷いた。
「陛下、ご側室様と一度引き離してみてはいかがでしょうか? 先程見たソフィアローゼ様は母に泣きすがれば良いと安易に考えているご様子」
「そう言われたらそうだよ! ソフィアは気に入らない事があれば直ぐに母親を頼る」
ジャクリード様も思い当たる節はあったようだ。
6歳の子供が母親を頼るのは当たり前の事だけど、嫌な事から逃げる為に頼るのは少し違う。
「教育係が合わない、メイドが気に食わない。全部ソフィアの我儘だね。教育係なんて僕らも習った良い先生なのに、ソフィアは厳しくされる事が気に食わなくて母親に外させたんだ」
ジェフリードが、呆れた顔で溜め息をつく。
「アンネマリーは気が弱くて娘にも強く叱れないのよね」
スカーレットまで、不満があったとは。
ちょっと待って、普通に聞いてたけどこれって王家の闇の部分ではないのかな。
家族会議は、私達が居なくなってからにして欲しい。