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王都と書いてまきょうと読む7




「お嬢様、お暇であれば王宮のバラ園でも散歩なさいますか?」


暇を持て余して、ソファーで足をぶらぶらさせていた私にキャサリンが声をかける。



「うーん、今はいいかな」


無駄に出歩いて良からぬ人物に接触するのも良くないだろうしね。


そとそも張り詰めた空気の漂う王宮で余計な動きはしない方がいいと思う。



私達が王宮に到着して、事態は急速に変化した。


お父様はクリスホードと共に王様に謁見に行き、私は王宮の客間に案内された。


今頃、近隣諸国の重鎮達と緊迫した会議が行われて居るんだろう。



私まで王宮に留め置かれるとは思っていなかった。


王都にある別邸に行くものだと思っていたのになぁ。


お父様達が居なくなったあと、別邸に向かおうとしていた私達を王宮の侍女頭が恭しく迎えに来たのだ。


王様が部屋を用意していると言われては、それを無視する訳にもいかずに、今ここに居る。



「魔導書をちょうだい」


勉強でもしよう。


長旅で訛ってる体を鍛えたい所ではあるが、お父様が戻られる迄はとにかく部屋から出ない、を徹底しようと思う。


キャサリンに手渡されたそれを、ぱらぱらと捲る。


魔力の精密度を上げる為には集中と、そして想像。


それはもう分かってるから、ページを飛ばす。



今、探してるのは空間魔法について。


亜空間を作り出せたり、瞬間移動なんか、出来たりしたら便利だよね。



ただ今持ってる本も、辺境伯にある本も、それらしい物は載ってなくて。


もしかしたら王宮のに蔵書してないかなーとか思ってる。


お父様に相談して、王宮の書庫に行ってみたい。



目立つ行動はくれぐれもしないように言いつけられてるので、今は待て! のできる私たのだ。




「お嬢様、夕飯はお部屋に運ぶようにしますか?」


キャサリンにそう聞かれ、ベランダに続く窓へと視線を向ければ、外はもう日が傾いていた。



「そうしてちょうだい。長旅で体調を崩しているとか適当に言っといて」


「かしこまりました」


夕飯の段取りをしに行くキャサリンの背中を見つめながら思う、お父様が居ないのにロイヤルファミリーと夕飯とか冗談じゃないと。



確か王様には、王妃様とご側室、子供が3人いたよね。


王妃様の息子が2人、側室に娘が1人。


17歳の長男、お兄様と同い年の次男、長女は私と同じ歳頃だったと思う。



表向きは仲良くしている様だけど、実際の所はお父様にもよく分からないらしい。


なにせ、王都からかなり離れた辺境伯領で過ごしてるお父様は、王宮の事に興味が全くないのだ。



私もこれと言って興味はないし、出来ることならば会わずに帰る事が出来ればとさえ思ってる。





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