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王都と書いてまきょうと読む5



「今回は小さな君に迷惑をかけて、本当にすまない。ずっと謝りたいと思っていたんだ」


本当に申し訳なさそうに言うので、少し良心が傷んだ。


巻き込んだのはこちらも同じだからね。



まぁ、隣国が王位争いしなければ、こんな事態になってなくもないけれど。



「いえ、謝罪は必要ありませんわ。隣国が荒れれば隣接している我が領地も影響を受けますし、それを防ぐ為に尽力するのは、辺境伯家として当然の事ですもの」


「そう言ってくれると心が軽くなる。それにしても、君は6歳だと言うのに、とてもしっかりしているんだね」


「ありがとうぞんじます」


その話は、あんまり深く掘り下げされたくないのです。



「君のような愛らしくて頭のいい妹君がいるジオルド君が、じつに羨ましいよ」


「私のお兄様は、私よりもお勉強が出来て、剣術もお出来になって、自慢のお兄様ですのよ」


「兄君を慕っているのだね」


「はい。お兄様が大好きです」


胸を張ってそう答えると、クリスホードは表情をかげらせた。



「私と兄もその様に仲が良ければ、今は少し違ったのだろうか。こうなる前に私が歩み寄る事が出来ていたら……」


「クリス様は、民を虐げるお兄様のやり方に反対だから、敵対してきたのですよね?」


「ああ。父や兄の様に、金や権力に目をくらませ民を苦しめるのは間違っている。民あってこその国なのだ」


この人ならば隣国は良い方向へと向かっていくのだろう。



「ならば、終わった過去を後悔なさいませんように。歩み寄ろうとしても相手が権力の亡者では、詮無きこと。民の為を思い立ち上がれる者が国を総べるべきなのです」


「……その通りだね」


「はい。この先、荒れた国を立て直すのはクリス様の他にいらっしゃいません。お身内に手をかけるという苦渋の判断をする時が必ず来ると思います。ですが、今の信念を貫いてくださいませ。民の思いを背負うのはクリス様にしか出来ないことなのですから」


民を思う貴方だからこそ、乗り越えていかなければいけない事だと思うから。



「君には見透かされてしまったのかな。このまま亡命も有り得るんじゃないかと、少しだけ頭によぎらせてしまった事を……」


クリスホードは自嘲的に笑う。



えっ? ちょっと、そんな事考えてたの!


だめだめ! 亡命ダメ!


しっかりと隣国の手網握ってくれないと。




「……しっかりなさいませ。勝負はこれからですのよ」


「ああ。本当にそうだね。僕は全力で戦うよ」


敵前逃亡とか、まじでやめて下さいよ。


焦った私は気付いていなかった。



今日のこの話が、隣国の歴史書に載るだなんて。


暴君から国を奪い返した弟王子を叱咤激励した6歳児として、名を残す未来はそう遠くない。







いつも読んでくださりありがとうございます(⁎-ω-⁎))"ペコンチョ

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いつも読んでくださる読者様に感謝を(ㅅ´ ˘ `)


アリーシャの今後の活躍を楽しみにしていてください(◍´꒳`◍)

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