2回目なんですが7
「君には本当に迷惑をかけて申し訳ない。僕に出来る事であれば君の望みを聞こう」
「あ、そういうのいいです。特に望みなんてないです」
だって今はとても幸せに暮らしてるから。
大好きな家族がいて、優しい使用人達もいて、何不自由のない暮らしができてる。
「ほんと君は欲がないね。君の纏うオーラがそれが君の本心だと伝えてくれてる。でも、それじゃ僕の気が済まないんだよ……あっ」
と神様が話を続けようとした時、光の玉が点滅して薄くなり始めた。
「あぁ、もう時間だ。僕は地上に長く滞在出来ないんだよ。まだ話したい事が沢山あるのに、あ、そうだ!君にこれを授けよう! きっと君なら上手く使ってくれるはずだ」
早口でそう捲し立てた神様は、私に向かって一筋の光の線を伸ばした。
「あ! ほんと、なんにも要らないんだってば!」
慌ててそう叫んだのに、光の線は私の額に到達する。
すーっと何かが入ってくる感覚と、目の前の光が爆発するように光の洪水を起こしたのは同時だったと思う。
「幸せにおなりよ……愛しい我が眷属」
「ちょっと待てぇぇぇぇ、眷属って、そんなのいらないからぁぁぁぁ」
光は収まり、私の声だけが部屋にハウリングした。
目の前にあったはずの光の玉はもう既にない。
神様の声も、もう聞こえない。
確かなのは、神様に、変な力を押し付けられたことだけ。
身体の中を巡る魔力の変化に、私は唖然としたまま空を見つめた。
トントンとドアをノックする音にハッとなる。
「はい」
「失礼いたします。お水をお持ちしました」
キャサリンがドアを開け入ってくる。
片手に持った水差しとコップを、丁寧に私のベッドまで運んでくる。
「何かございましたか?」
と聞かれ、なんでもないと首を左右に振る。
キャサリンがコップに水を注ぐのを見ながら考える。
どんな力を授けられたのか確認しとかないといけないと。
じゃないと、7歳になって神殿の洗礼を受けた時に、大変な事になる気がした。
もう確実にとんでもない事になる。
神様め! お詫びの押し売りをするなんて。
ほんとにろくなもんじゃない。
「お水をどうぞお嬢様」
「ありがとう、キャサリン」
差し出されたそれを受け取って口にすると、冷たくて美味しかった。
「領地の視察に出向いてる旦那様達も、直ぐに戻ってこられるようですので安心してください」
「えっ? 落馬して脳震盪を起こしただけなのに」
私のせいで戻ってくる事になるだなんて、仕事をしてる両親に申し訳ない気持ちになる。
「医者の見立てでは軽い脳震盪ですが、お嬢様に何かがあった際は必ず連絡するようにと申し付けられておりますので」
キャサリンは申し訳なさそうに眉を下げる。
過保護な両親の言いそうなことだ。
「うん、そうだよね。お父様達が戻ってくるまで、もう少し寝ようかな」
両親と兄が帰ってきたら、きっと大騒ぎになるはずだからね。
「かしこまりました。でも、本当にお嬢様がお目覚めになられて良かったです」
安心したように微笑むキャサリンにコップを返して、私は再びベッドに横になる。
色々考えないとだけど、もう寝ちゃう。
起きたら考えよう、なんだか疲れたよ。
キャサリンが掛け布団を掛けてくれるのを見届けて目を閉じた。
いつも読んでくださりありがとうございます(⁎-ω-⁎))"ペコンチョ
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