再び神様参上!8
「隣国は5日後から、こちらの国に来ようなど考える事も出来ないぐらい忙しくなる。野党だろうが泥棒だろうが、難民だろうがね。国を立て直さないと神罰が下るんだもん。これでアリーシャの憂いは晴れるだろう?」
「はい。神様、流石です」
神様も、私ファーストな所があるんじゃないかと思ってしまう。
「神様のお考え、実に素晴らしい。我が娘の為に、本当にありがとうございます」
「神様、娘の為にありがとうございます」
立ち上がったお父様とお母様が深々と頭を下げた。
「アリーシャには僕の手違いで異世界に旅立たせてしまったからね。多少の便宜ははかるよ。それに二度と魂を見失わない為に眷属にしたんだ。見守り続けるよ、君が寿命で僕の元に来るまでは。それに膨大な力を手に入れても民の事を考える行動の出来るアリーシャを気に入っているしね」
お父様達は感動して涙ぐんでいるけれど、私はストーカーの様だと思ってしまったのは内緒だ。
自分の為にスケボーパーク作っちゃいましたけどね。
「これからも僕の眷属を頼むよ。そろそろ時間切れだ」
そう言うと神様の姿がゆらぎ始めた。
「神様、ありがとうございました」
「なるくるないさ」
そういうことだぞ! 消えていく神様に大きな溜め息を一つついた。
「アリーシャのおかげで隣国の問題も何とかなりそうだ。ありがとう」
「いえ、私は何もしていませんわ」
神様がやってくれる事だしね。
「お嬢様は、辺境伯領の女神ですな」
オスカー、それは言い過ぎだよ。
「僕の妹は凄い。本当にすごいよ」
お兄様が笑顔で抱き着いてきた。
「神様って、少し思っていた感じと違いましたね」
ぼそりと呟いたお母様に、皆で苦笑いした。
それが率直な意見だと思います。
「お母様、あまり深くお考えにならない方がよろしいかと。人ならざるものは、私達の形にははまらないものなのですよ」
「そうね。アリーシャの言う通りね」
肩を竦めたお母様は考える事を放棄した。
あの神様は、どう考えてもおかしいが。
味方で居てくれるならば、最強の味方ではおると思う。
たとえ、すっとぼけた挨拶をしてきても、軽いノリで対応されても、そーゆう物だと思えば受け入れられる。
「とにかく、私達は隣国の弟王子の身の安全を確保する事にしよう。早速、明日の朝一番で砦へと戻るぞ、オスカー」
「はい。シルバード様。必ずや五体満足で見つけなければいけませんね」
お父様とオスカーは険しい表情で言葉を交わす。
「王都からの連絡が来たら直ぐさま対応しなければなりませね」
「ああ。ジオルド、連絡が来たら直ぐに砦へと伝令を頼む」
「かしこまりました」
お兄様もすっかり次期辺境伯としての顔に戻ってきた。
さっきまでの好奇心旺盛な少年はもう居なくなっていた。