再び神様参上!4
神様が現れて、今の状況の打開策を教えてくれるらしいとお母様に伝えると、疑うこと無く信じてくれた。
これも私の普段の行いのせいではないかと、自画自賛する。
まあ、本当の所はヨヒアムと言う目撃者もあり、事態はスムーズに運んだのだ。
お母様は、手短に書き上げた書簡を伝令に素早く手渡しお父様の元へと届けた。
それから2時間後にはお父様からの返事を携えた伝令が戻ってくる事になった。
素早く事態は動いていた。
砦の警備体制を確認後戻ってくる事になったお父様は、きっと色々な意味で焦ってるに違いないと予測する。
私だって焦っていない訳ではないわけで。
そもそも神様が個人に味方するとかしていいのだろうかと考える。
でも、あの神様ならば、眷属特権だよ! とか言いそうではある。
「神様に会えるの楽しみだね」
お兄様が少し浮かれていた。
「そうですね。粗相が無いように注意しないといけませんよ」
お母様も、何気に浮かれている気がする。
2人には悪いが、そんな浮かれる様な存在では無いんだよ。
軽いノリの近所のお兄さんみたいな感じなんだよね。
なんなら、威厳のいの字も無い。
2人の神様への想像が崩れませんようにと、私は静かに祈った。
お父様が戻ってきたのは、夕飯の少し前。
最近、夕飯を取ってしまおうと、少し早まってしまった準備に、厨房はてんてこ舞いだ。
ほんとに申し訳ない。
料理長、今度また新作スイーツを教えるから頑張って欲しい。
久々の家族4人の食卓に、6歳児の私が喜んでいた。
いつもの定位置に居なかったお父様が恋しかったんだと思う。
前菜が運ばれてくると食事は始まった。
「「いただきます」」
思いがけず重なった声に、お兄様と顔を見合せ微笑んだ。
「お父様、砦のご様子はどうですか?」
「アリーシャ、心配する事はないよ。今の所、無理に侵入を試みては来ない」
「そうですか。ならば安心ですね」
「ああ。アリーシャが山手の進入路付近を壁で塞いでおいてくれたお陰で、容易にこちら側へ来る事も無くなっている。助かったよ」
「いいえ、とんでもないです」
お役に立てて本当に良かった。
「アリーシャの壁、早くみたいね。とても立派なモノだと、ヨヒアムとキャサリンから聞いてはいるけど、実物を見たいよ」
「隣国が落ち着きましたら、ご案内しますね」
その為にも、色々と頑張る事はあるだろうけれど、神様が味方してくれるなら、なんとかなるのではと思ってる。
「その、アリーシャよ。手紙に書いていたが、その本当に神が私達と会うのだろうか」
「はい」
お父様の戸惑いは分かりますよ。
「……そうか」
うむ、と複雑な顔で黙り込んだお父様。
普通、神様がそんな気軽に会おうとするだなんて思わないよね。
まあ、あの神様は気安いから、偽物じゃないかと時々思わなくもない。