2回目なんですが6
「落としたってなんです?」
低い声が出てしまったのは、仕方ないと思う。
「あぁ! 待って怒らないで。1000年前は僕も神になりたてで、急に沢山の魂が天界に来てしまって、慌てふためいてしまったんだ。浄化を待つ沢山の魂を抱えてアタフタしてたら……その、知らない間にポロッと……落としてしまって。落とした場所が運悪く異世界へのゲートの側だったらしくて。気がついた時には地球の輪廻転生に入り込んじゃってたんだよぉぉぉ」
捲し立てるように神様は言い終えた。
「……」
お前のせいかぁぁぁぁ!
そう叫びたいのを我慢した。
「そ、それでね、こちらの魂である君を地球の神様は浄化出来なくて。で、でね。地球の神様と話し合って地球での生を終えたらこちらに送ってもらう事になったんだよ。た、だだね? 地球の記憶は、僕には浄化出来なくて、1つ前の騎士の時の記憶もその、地球の記憶と混ざりあっちゃってて……浄化できませんでしたー」
光の玉に姿があったら、勢いよく土下座してたのかな、と思う。
転生しても記憶が残ってたのも、この神様のせいだった。
いや、まじ、何してくれてるのかな。
「全て神様のせいだったということが分かりました。頭に衝撃を受けて、元々あった記憶が戻ったって事ですね?」
眉間に寄ったシワは戻らない。
気持ちを落ち着かせようと大きな深呼吸を2回した。
「あ……うん、そうなんだ。別々に記憶が戻った理由は分からないけど。どちらも元から君の記憶の奥底にあったんだよ」
「情報過多なんですよね……これ、消す事とか出来ないんですかね?」
転生前の記憶なんて、なくてもいい。
そりゃ、転生チートみたいに地球の記憶はちょっとは使わせてもらったけど。
今回思い出した記憶と合わせると、ほんと情報が多すぎるんですよ。
「ごめん、それは出来なくて。その代わり今度生まれ変わる時はきちんと全て浄化する。時間がかかっても浄化するから」
「5歳児に死んだ後の話をされても困るんですけど」
私はまだまだこの世界で生きていくのだから。
消せないのか……うん、そっか。
2つの転生記憶と上手く折り合いを受けていくしかないね。
情報過多なだけで、今のところ実害はないし、仕方ないかな。
案外冷静な自分に驚いた。
これが、本当の5歳児ならきっと理解出来なかっただろうけど、16歳だった記憶を2年前に思い出した時に、ある程度自分の中で整理出来てた事が大きく影響してるんだと思う。