漂い始めた不穏な気配11
ほんと、神様、チートありがとうって感じ。
最初は呪いだとか思っててごめんなさい。
貰った力は、有意義に使います。
「アリーシャが頑固なのはシルバードに似たと思うぞ」
気難しい顔で黙ってると思ったら、それを考えてたんですね、おじい様。
「お父様ほど、泣き虫ではありませんけどね」
「あれは、涙腺が弱い男なのだ。あんなイカつい顔をしてるくせにのぉ」
よく似た顔でその台詞は禁句ですよ。
「お嬢様、軽食をお持ちいたしました。少し召し上がられてください」
開けっ放しになっていたドアから、トレーを手にしたキャサリンが入ってくる。
その後ろからヨヒアムもついてきた。
「では、わしも部屋に戻って一休みしよう。アリーシャ、食べたらしっかりと休養をとるんじゃぞ」
「はい。おじい様もしっかりと眠られてください」
疲労が目元に残るおじい様にも、もう安心して眠って貰いたい。
今夜もまた壁作りに行くんですからね!
おじい様がモスリードを伴い部屋を出ていくと、入れ替わるようにキャサリンとヨヒアムがやってきた。
「お嬢様、無事で本当に良かったです」
また泣きそうになってるじゃん、ヨヒアム。
「心配をかけたわね」
「本当に、ほんとーに反省してますか!」
「してるってば」
「倒れるなら倒れるって言っておいてくださいよ」
「あれは、私も計算外だったのよ」
「心配で心配で倒れそうになりましたよ」
それは本末転倒だって、ヨヒアム。
ヨヒアムまで倒れちゃ大変でしょうが。
「ヨヒアム、ハウス!」
ヨヒアムと私のやり取りを横目で見つめつつ、食事の準備をしてくれていたキャサリンが、ヨヒアムに使って壁際に行けとジェスチャーした。
きゅ~んと鳴き声が聞こえそうなほど肩を落としたヨヒアムは、すごすごと壁際へと戻っていく。
壁際がヨヒアムのハウスだったのかと思うとおかしくて、溢れるように笑い声が出た。
「さぁ、お嬢様、召し上がってくださいませ」
キャスター付きのベッドテーブルをセットすると、コーンスープ、パン、スクランブルエッグを並べてくれた。
出来たての温かいそれらから漂う匂いにお腹がきゅるると鳴る。
「ありがとう、キャサリン。いただきます」
スープンを手に取りコーンスープを一口飲むと、優しい味がした。
「お飲み物は搾りたてのオレンジジュースをご用意しました」
ピッチャーに入ったオレンジジュースをコップに注ぐと、丁寧にテーブルに置いてくれる。
ほんと、至れり尽くせり。
キャサリンて、かなり優秀なメイドだよね。
その上、腕っ節もたつっていうのだから、お父様の人を見る目はかなり良い。
いつも読んでくださりありがとうございます(⁎-ω-⁎))"ペコンチョ
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いつも読んでくださる読者様に感謝を(ㅅ´ ˘ `)
アリーシャの今後の活躍を楽しみにしていてください(◍´꒳`◍)