漂い始めた不穏な気配7
「アリーシャ、素晴らしい魔力コントロールだ」
「そんなに難しくはないんですよ。お風呂の時間になったらお湯を張りに来ますね」
「わしも炎と水は使えるから、心配無用だ」
「分かりました。では夕食までおくつろぎくださいませ」
「アリーシャも、今のうちにゆっくりと休憩を取っておきなさい」
「はい、おじい様」
笑顔で頷いて、その場を後にした。
その後は、サクッと騎士達のお風呂を作って、私も自室に引っ込んた。
「あ~なんだか疲れた」
ベッドに仰向けに倒れれば、
「お嬢様、お行儀が悪いですよ」
とキャサリンの叱責が飛ぶ。
「だって、変に気疲れしたんだもの」
魔法を結構使ったが、魔力はほとんど減ってない。
ただ、本当に気疲れしただけ。
「前王様のお相手お疲れ様でした。飲み物でもお入れしましょうか」
気遣いの出来るキャサリン。
「ええ、お願いするわ」
「かしこまりました」
即答した私にキャサリンは苦笑いを浮かべ、飲み物を用意する為に部屋を後にした。
水車の村が無事で良かった。
まだ隣国から、難民などは流れてきていない。
ただ、いつ起こってもおかしくない事態であるのは、きっと間違いないだろう。
「壁を作るのは、難民が押し寄せるかも知れない山側からかな」
国境の周辺はお父様が睨みを効かせてくれているから、後にしても問題なさそうだ。
それにしても……隣国の王位継承者問題の闇の深さはどこまで続いてるんだろうか、と。
どこの世界も、結局権力の奪い合いだな。
我がクルドラシル王国は、お父様のお兄様の息子が2人。
17歳の長男と8歳の次男だったと思う。
兄弟仲もよく、継承争いも起こらずに、順当に行けば長男が王位を継承する手筈になっていると聞くが。
今後問題が起こるとしたら……私か。
おじい様に聞いた王族だけが知る真の王の条件。
第三勢力としての私が、王位継承に波風を立てる可能性がある。
まさか黒い瞳が王位に、影響するなんて思いも寄らなかった。
日本の頃の私にとって黒い瞳は当たり前で、何一つ違和感を感じていなかったんだよね。
本当に、認識阻害の為に何か手を打っておかないとね。
まかり間違って、王位が転がりこんで来るなんて、冗談じゃないもの。
私はチート無双しながら、辺境伯領で平和に暮らしたいのだから。
あ~やめやめ。
今はそんな事よりもこの村の事だ。
遠い未来より、近い未来。
とにかく壁作りをする事が先決だよね、と思いつつ私は自然と落ちてきた瞼を拒まなかった。
いつも読んでくださりありがとうございます(⁎-ω-⁎))"ペコンチョ
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アリーシャの今後の活躍を楽しみにしていてください(◍´꒳`◍)