魔力量増えてます8
ほんとに居た、王族。
金色の髪に私と同じ黒い瞳の風格のある、ガタイのしっかりした老人とは思えない風格を持ち合わせた人。
その横に微笑みながら座って居るご婦人は優美で高貴な気品が溢れている。
「お久しぶりです、父上、母上」
お父様が私を抱っこしたまま挨拶する。
「お久しぶりでございます、お義父様、お義母様」
お母様も丁寧にカテーシーをした。
お父様とお母様の挨拶を受け入れながらも、4つの目が見つめるのは私。
「お父様、下ろしてくださいませ」
お父様の腕を軽く叩く。
「そうだな」
「ありがとうございます」
直ぐに床へと下ろしてくれる。
「おじい様、おばあ様、お初にお目にかかります。西部辺境伯シルバード・ブランシェットが長女、アリーシャ・ブランシェットにございます。本日はようこそおいでくださいました」
改めてお2人に向き直り、ドレスを少し持ち上げ丁寧なカテーシーをして見せた。
「まぁまぁ、ご挨拶がお上手ね。私はミリアーノ・アルデバラン、貴方のお父様の母です」
両手を顔を前で合わせておばあ様は微笑む。
「わしはライナス・アルデバラン。お主と同じ王家の瞳を持った元国王だ。こちらへ来てごらん」
おいでおいでと、おじい様に手招きされる。
王家の瞳って……なんですか?
お2人の傍まで歩み寄ると、おじい様が私をお膝に乗せてくれた。
「まぁ、なんて愛らしい娘かしら。王家の瞳まで持って生まれるだなんて神の奇跡ね」
おばあ様は私の頬をツンと優しく触れる。
「おばあ様、王家の瞳とはなんですか?」
とんでもなく嫌な予感がするので、小首を傾げ聞いてみる。
「なんて事、あなた達……」
おばあ様が一瞬咎めるような視線をお父様達に向ける。
「ミリアーノ、2人を責めるでない。どれ、おじい様が王家の瞳について教えてやろう」
「はい、おじい様」
こくりと頷いた。
「その昔、王家は魔力を膨大に持つと言われる黒い瞳の者が継ぐ習わしになっていたのだ。ただ、今では膨大な魔力を持つ者が減り、わしの代以降はお主が初めてだな。現国王も、その息子達も持ち合わせて居らぬ」
「……」
おじい様の言葉に、うちの家族が私以外瞳が青かったと思い出す。
嫌な予感がひしひしと湧いてくる。
「今ではわしのようにたまに生まれるぐらいだが、それでも黒い瞳の者を継王位継承者として優先するのは変わりない」
「……あ、そうなんですね」
来たー、かなり面倒なやつが。
認識阻害の眼鏡でも作ろうか。
それとも、魔法で色を変えてしまおうか。
最悪、辺境伯領の山中に逃げ込もう。
「瞳の色を変えるよりは認識阻害の眼鏡の方が...作りやすいかも」
「あ、アリーシャ、独り言が口に出てるぞ」
慌てたお父様に指摘され、口を閉じたが既に遅い。
「ククク……黒い瞳を持つ第一王位継承者は、王位を望まぬか」
「はい、おじい様。王様なんてなりたい人がなればいいのです。私は面倒……えっと、そんな大変なお仕事をするつもりはございません」
楽しげに笑うおじい様に、自分の意思をキッパリと伝える。




