魔力量増えてます7
「お誕生日おめでとうございます」
「本日はお越しくださりありがとうございます」
このやり取りを、もう何度しただろうか。
パーティーが開始されると、作られたばかりの温かい料理が屋敷の使用人の手で次々と運び込まれた。
料理を食べたり、お酒を飲んだり、皆が楽しみ出して直ぐに、私の席の前に挨拶する為の列が並んだ。
自己紹介を受け、お祝いの言葉を貰い、プレゼントを頂く。
もちろんプレゼントは、傍で控えているヨヒアムとキャサリンが窓口になって受け取る。
危険がないかを確認してから、私に届く様になるのだ。
これは貴族としての基本行動らしい。
お兄様の時もそうだったから、特に違和感なくそーゆシステムだと思ってる。
何周も挨拶を繰り返し、私はすっかりお疲れモードだ。
そろそろ列が途切れて来てる事に、ホッとしてる。
もう、誰も並ばないで……お願い。
お腹も空いたし、何か食べたいんだよ!
まだ、チョコファウンテンにも行ってないのにぃ。
来客が連れてきた幼いご子息、ご令嬢がチョコレートファウンテンに群がる姿を横目で見る。
羨ましくなんか……ないんだからね。
「アリーシャ、疲れたかい?」
人が途切れて直ぐにお父様が声をかけてくれた。
「疲れましたぁ」
座って挨拶をしていただけなのに、疲労してる。
「あらあら、では別室で少し休憩しましょう」
お母様は楽しげに笑う。
「そうします」
その意見に賛成!
休憩が必要な6歳児です。
「さぁ。私が連れて行ってあげよう」
「はい、お父様」
両手を上げて抱っこを希望する。
お父様は腕に私を乗せるように抱き上げてくれた。
高くなった視界、いつの間にか居なくなってたお兄様が、ホール内でお友達数人と楽しそうに会話をしているのが見えた。
お兄様は私の代わりにチョコファウンテンを楽しむといい。
「今から向かう部屋に、お前のお爺様達が居るが特に緊張する事は無いぞ」
「……お爺様?」
私を抱き上げたまま歩くお父様は、なんて事は無いとついでのように話す。
聞いてないよ~。
「貴方、そんな事言われてもアリーシャは初めてお会いするのですよ」
半歩下がって一緒に歩いていたお母様が苦言を呈する。
「うむ、確かにそうだな。でも、今は隠居の身だし、それほど緊張することは無い」
「お父様のお父様ですか?」
まさか、と思い問いかける。
お母様方のおじい様とおばあ様にはお会いしたことがあったもの。
「ああ、そうだぞ。なんて事ないくたばり損ないだよ」
元王様になんて言い草だよ、お父様。
ついに王族きたー!
声に出さなかった私を褒めていいと思う。
お父様も弟王で、王族ではあるけど、辺境伯ですっかりそう言う雰囲気が抜けてしまってるから、私にとっては王族に分類されてない。




