魔力量増えてます3
白い隊服に身を包んだヨヒアムにエスコートされホールへと続く階段の上に立てば、使用人達が忙しなく動き回っていた。
パーティー会場は出来上がってるようだし、あれは最終確認してるんだろうな。
ここに来るまでにすれ違った皆に「お誕生日おめでとうございます」を言われ、パーティーの準備に気合いを入れてる事は分かっていたけれど、ここまでゴージャスになってるとは思いもしなかった。
正面にお誕生日席を特設し、その傍には大きな氷柱で作られた私の像が立っていた。
ちょっと待って……恥ずかしいって。
氷魔法で作られたと思われるそれは溶けることなく、薄青に煌めいている。
お兄様だ、絶対お兄様が犯人だと思う。
現実逃避するようにホールの真ん中に視線を向ければ、とても大きなチョコファウンテン。
波なみと流れる大量のチョコレート。
その他にも規格外な装飾があちらこちらに見て取れた。
たかが6歳の誕生日に、一体いくら掛けたのか。
そりゃ、嬉しいよ? 嬉しいけど、限度ってあるじゃない。
「うちの可愛いお姫様は、今日は一段と愛らしい。お誕生日おめでとう、アリーシャキャサリン」
その声に振り返るとお父様とお母様とお兄様の姿。
「やぁ、アリーシャ。お誕生日おめでとう」
お兄様は色とりどりの花束を差し出してくれた。
「お兄様、ありがとうございます」
両手でそれを受け取ってニッコリ微笑む。
「これはお父様とお母様からよ。アリーシャお誕生日おめでとう」
近付いてきたお母様が、私の後ろに回るとネックレスをつけてくれた。
うつむき加減にそれを見ると、透明な1粒ダイヤを中心花柄模様をあしらった可愛いネックレスだった。
「お父様、お母様、ありがとうございます」
似合ってますか? とポーズを取ってみる。
キャサリンが、ドレスアップしたのにネックレスを付けなかった理由がここで判明した。
彼女はお母様からネックレスの話を聞いていたのね。
気の利いた演出に胸が熱くなった。
「キャサリン」
振り向いて手を差し伸べると、彼女は荷物を私に手渡してくれる。
ホールに来る前にキャサリンに、お父様達へのプレゼントを預けていたんだよね。
「私からもお父様達にプレゼントがあるんです」
お父様には、白いリボンの箱を。
お母様には、赤いリボンの箱を。
そして、お兄様には水色のリボンの箱を、それぞれ手渡した。
「アリーシャの誕生日なのに、我々にもプレゼントを用意してくれたのかい?」
お父様、また涙目だから!
イケおじのお父様は、本当に涙脆い。
「私の初めて作った付与魔法具です。聖魔法を込めたそれは致命傷になる攻撃を1回だけ防いでくれるはずです。常に身につけていてくれると嬉しいです」
胸元で両手を組んでお願いポーズをした。
ここはオネダリする所!