全力全開、5歳児に我慢は無理なのです3
ここはいい機会だから、村の事も言ってしまおう。
「お父様、私の村とその周辺の畑もこの素材を使って壁で囲ってしまおうかと思っているの。流石に白いと目立ってしまうから土壁のようにするつもりよ」
自信たっぷりに宣言した。
野獣や野盗なんかからも守れるし、いいと思うんだよね。
「……そうか、うん」
「裏門と表門を作って、王都みたいに来訪者を検閲出来るでしょ。それに夜は閉めれば夜盗なんかの心配もないじゃない」
他にも色々考えてるけど、少しづつ実行だよね。
「マギアナ、アリーシャが全力で来るよ」
「貴方、私達も腹を括りましょ。聖魔法さえばれれなければいいんですよ」
「そうだな」
お母様に労わるように肩を叩かれたお父様は、私の方へと視線を戻した。
「好きにやってみなさい。ただし住人達の意見はキチンと聞くように」
「はい。お父様ありがとう」
住人無視で色々やっちゃダメよね!
今度行った時に、皆の意見を聞いてみよう。
「お嬢様、土魔法の使える者を集めてこちらの見学はさせていただけますか?」
「もちろんよ。壊したりしないなら、幾らでも活用してちょうだい」
マッケンの言葉に二もなく頷いた。
「ありがとうございます。我々どももしっかりと勉強させていただきます」
マッケンは深々と一礼した。
「お嬢様、僕にもそれ貸して貰えませんか?」
ヨヒアムが会話の途切れた瞬間を狙ってやってくる。
「良いけど、転けても知らないよ」
ボードから飛び降りて、ヨヒアムの方へと蹴って押し出した。
「おっとっと……」
ヨヒアムは私の真似をしようとして、足でボードを止めようとしたけれど、上手くいかずにたたらを踏んだ。
「お兄様に説明したように身体強化かけるのよ」
「は~い」
返事が軽いよ、ヨヒアム。
「お嬢様、こちらをどうぞ」
ヨヒアムが子鹿のような動きをしているのを、見つめながらキャサリンが差し出してくれた水筒を受け取った。
「ありがとう」
キャサリンはいつも気が利くよね。
流石私のメイド!
お兄様とヨヒアムがスケボーに慣れるまでには、まだまだかかりそうではある。
騎士団長も乗りたそうな顔をしているが、申し訳ないけれど体重オーバーです。
私のサイズ様に作ってもらってるのに、100kg近い人は無理です。
お父様とお母様とマッケンは、モルタルについて真剣に話し合っていた。
ここ素材が領地に広がれば、馬車に乗るのも快適になるんじゃないかなーとは思う。
ま、そこは大人の皆様にお任せしますね。
何となく見上げた空は青空で、キラキラとした太陽が輝いていた。