進化する領地7
明日はいよいよお父様達が帰還する。
水車の完成を説明して、神様に押し付けられた力の事も説明して。
何かと忙しくなる予定である。
だから、今夜はこっそりスケボーパークを作ろうと思います。
ムフフと笑って、部屋の窓をそーっと開けた。
現在24時、時計は真夜中を指している。
見回りの騎士以外は寝静まってる時間である。
パジャマから動きやすい軽装に着替えて、準備万端な私は、窓から出るとベランダから下を覗き込んだ。
今の時間はこの辺りに騎士が居ない事はスケジュールで確認済み。
「ウインド」
体を風が包むイメージを思い浮かべる。
ふわりと浮ぶ体、ベランダの手すりを超え、2階から庭へと向かう。
密度の高い魔力を体に纏わせたまま、ゆっくりと地面へと降り立つと、かさりと芝生の音がして、慌てて周囲を見回した。
「よし、誰も居ないね」
私の目指す場所は、庭の奥の林のそのまた向こう。
屋敷の近くだと音が煩くて皆に迷惑かかっちゃうからね。
だいぶと離れた場所に設営予定。
体に身体強化をかけて、庭を駆け抜ける。
ちょっとズルだけど時間との勝負なのだから仕方ない。
3時頃に、見回りのメイドが部屋を確認しに来るのだから。
身体強化は凄く便利だと思う。
ここに来て騎士の記憶が役にたったのだ。
今の所、他に役に立つ記憶は無い。
そんな風に思っていた私が、騎士の記憶に助けられる時が来るのは、まだまだ先の未来。
目的につくと、そこに広がるのは足の長い草が生い茂る草原。
ここから、役に立つのは炎魔法と土魔法だ。
「ディック」
まず最初に土魔法で適当な範囲を壁で囲い込む。
「ファイア」
その中に高温火力の炎魔法をぶっ込んで、造作もなく草を殲滅する。
壁があるおかげで、他に燃え広がることは無い。
煙がある程度収まった後で、中を覗くとプスプスと草が焼け焦げていた。
「ディック」
全体を掘り起こして、平面状に土を慣らしていく。
土魔法でモルタルとか作れないのかな?
スケボーパークって言えば、やっぱりコンクリートとかで出来てるのがいいよね。
どんなに慣らしても土の上では上手く滑れない。
「ディック」
両手を地面に向けて、モルタルで舗装するイメージを思い浮かべる。
中心から白いそれへと姿を変えていく地面。
「やった! チート最高」
拳を高く上に突き出した。
魔法はやっぱイメージだよねぇ。
バンク、坂の様な傾斜をつくり。
パンク、並状の起伏のある地面を作る。
ハーフパイプ、円の半分を上だけ切り取った。
他にも色々作りたい物はあるけど、おいおいって事で。
「スケボーパークできた~」
目の前の光景に感嘆の声が出る。
もう二度とスケボーなんて出来ないと思っていたから、本当に嬉しい
一滑りしたい所だけど、魔力もつかいすぎたし、そろそろ戻る時刻だ。
後ろ髪を引かれながらもその場を後にした。
翌朝、泥まみれになった靴を見たキャサリンに、小言を言われる事になるなんて知る由もない無かったんだ。
いつも読んでくださりありがとうございます(⁎-ω-⁎))"ペコンチョ
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