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贈り物なんて呪いでしかない7


「お嬢様、これはいいですな。実に心肺機能の強化にいい。スピードアップにも影響ありそうですな」


顎に片手を当てうんうんと満足そうな笑みを浮かべ、涼しい顔で私の横を走るのは騎士団長のオスカーだ。


筋骨隆々の体型に強面のおじ様だ。


「そ……そう……よかった、わ」


今の私は息も絶え絶えである。


ピーッと笛の音が聞こえ、全力疾走に切り替える。


ただ、5歳児の全力疾走など、実のところ知れているのだけれど。


再びピーッと笛の音が鳴り、スピードを緩めてジョギングに戻る。


かれこれ10分ほど、同じ作業を繰り返していた。


いわゆるインターバル走ってやつだね。


同じようにインターバル走をする周囲の騎士達は楽々とこなしているのに対して、私は限界に近い。


キャサリンとヨヒアムも参加しているため、騎士団長は私のお守りというわけだ。



汗をびっしりかいて、息はすっかり上がってる。


何度も足がもつれそうになっていた。


騎士の頃も女子高生の頃も、こんなこと無かったのに、なんとも恨めしい体だと思う。


流れてくる汗で視界が悪いのか、酸欠で視界が悪いのか、分からないまま体は前のめりに傾いていく。


「おっと、お嬢様はここまでですな。よくがんばられました」


花丸を書く勢いで褒めてくれたオスカーが、片手で私の小さな体をすくい上げてくれた。


ゆっくりと沈んでいく意識の中、オスカーがキャサリンとヨヒアムを呼ぶ声が聞こえたような気がした。











次に目が覚めたら自室のベッドの上にいた。


キャサリンがお風呂に入れてくれたであろう汗まみれだった体はすっきりとしていい香りがしている。


体を起こそうとして、全身に激痛が走った。


「あ、いた……たたっ」


筋肉痛になってるじゃん。


自分の作ったメニューを6分の1程しかこなしてないと言うのに、体はすっかり悲鳴を上げていた。


「お嬢様、お目覚めですか」


キャサリンが駆け寄ってくる。


練習の疲れなどない顔で動きにも無駄がない。



「お嬢様、今日は無理に動かない方がよろしいと思いますよ」


ドアの傍に控えていたヨヒアムも歩み寄ってきた。


2人とも元気じゃん。


どうやら、私一人がダメージを受けているらしい。


なんだか「悔しい」ポロリと言葉が落ちた。



「お嬢様は良くがんばられておりました」


キャサリンの言葉に、


「そうそう。ほんと頑張ってましたよ」


とヨヒアムも頷く。


「ほんと、体力がないのね、私って」


大きな溜め息が漏れた。



「団長がお嬢様の作った練習メニューを褒めていましたよ。今後、騎士団の訓練に取り入れるそうです」


「あ、うん」


好きにしてちょうだい。


ヨヒアムの言葉に、苦笑いが浮かんだ。



私を鍛えるのではなく、騎士団を鍛える事に使われるらしい。


それはそれで良かったのだけれど、なんだかな~という気持ちになったのは仕方ない。







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