贈り物なんて呪いでしかない6
水を飲んだあと、近くにあった大きな木の影に入って休憩を取る。
ヨヒアムは、いつの間にか集まってきていた騎士達に嬉々としてラジオ体操を教えている。
屈強な男達が整列してラジオ体操をする姿が、何とも言えない。
真剣な顔で号令を掛けながら行う騎士達に笑みが盛れた。
「あの運動は無駄のないバランスのよく取れた動きですね」
「えっ?」
大きな団扇で私を扇ぎながら、真剣な眼差しで騎士達を見つめるキャサリン。
そこまでのモノではないと思うのだけれど。
お城の暗部に勤めていたキャサリンに、こんなに言われるって事はラジオ体操、侮りがたし。
「キャサリンも参加してきたら?」
やりたくてうずうずしてるキャサリンにそう笑いかける。
「あ、いえ、私はお嬢様のお世話がありますので」
「私は暫くここで休憩しているし、演習場の中なら危険な事もないよ。キャサリンの体操する姿が見たいな〜」
5歳児らしく無邪気に微笑む。
「はぅ……お嬢様が愛らしい。で……では、少しだけお傍を離れます」
キャサリンは頬を赤く染めたあと、かしこまったようにお辞儀して、騎士達の方へと走っていった。
やる気満々じゃないか、キャサリン。
ヨヒアムに声をかけ隊列に潜り込むと、キビキビとした動きでラジオ体操をするキャサリンに笑いが込み上げた。
それにしても……5歳児の体は弱すぎる。
体力がほんと無いんだということに気付かされたよね。
ラジオ体操の後に、屈伸とか走り込みとかも計画していたのに。
少しずつ持久力をつけていくしかないのかな。
せめて自衛出来るようにはしたいところなんだよね。
神様がくれた贈り物が、周囲に知られた場合にどんな火種になるから分からない今、自分で自分を守れるようにならないと。
もちろん、魔法も練習して極めようと思ってる。
授かったからには上手く使いこなさないと勿体ないよね。
自室で、夜寝る前に魔力を循環させて効率よく発動出来るように練習してるのは、まだ誰にも知られてない。
以前よりも大きく純度の高いものが出せるようになってきてはいるけれど、まだまだ実戦には向いてない気がしてる。
「ヒール」
誰も見ていないのを確認して聖魔法を唱えると、疲労感一杯だった体が楽になった。
体に張り巡らしたバリアを通して魔力を循環させると、ヒールの効き目がなかなか効率いい。
私は頭をとにかく打ちすぎるから、それの防御も兼ねて、常に体の周りに薄いバリア的な感じの魔法を張りめぐらせてる。
聖魔法が使えるようになって一番初めに練習したよね。
もう、不慮の事故は起こしたくないんだよ。
いつも読んでくださりありがとうございます(⁎-ω-⁎))"ペコンチョ
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