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波乱の辺境伯領31


カルト集団の残した目印は、小さな魔法陣で彼らだけが分かる様な場所に点在していた。

それを一つ一つ見つけ、魔法陣を消していく。

面倒臭い作業になった。

いっその事、目印の付いた木々を全て焼き払ってやろうか? と思うぐらいに。

泉までの道が綺麗にひらけてしまうのは、本末転倒になっちゃうから本気ではやらないのだけど。


カルト集団の連中が言うには年単位で、目印を付け直していたという。

木々が育つと決めていた場所から魔法陣が移動してしまうからなんだとか。

カルト集団とは、実に暇人の集まりなんだと思う。

もっと違う方向にその根気強さをいかせたら、彼らの人生も変わったと思うのだけれど。



「お嬢様、こちらで最後かと思われます」

キャサリンの声に駆け寄る。

もう隣国との境目まで来ていた。

木々の向こうには明るい草原が広がっている。


「ホーリー」

聖魔法で浄化して最後の一つを消し去る。

カルト集団には、ほんと手間をかけさせられた。


「あ〜疲れたぁ。皆、お疲れ様」

大きく伸びをして、私は迷いの森から外に出た。

あとはカルト集団の本拠地にある書物を燃やしちゃえば、もう迷いの森の泉を利用出来なくなるよね。


「「「お疲れ様でした」」」

騎士の皆も思い思いに体を解しながらこちらへと出てきた。


唖然としてるのは捕縛されてるカルト集団の連中だけ。

「ざまぁみろ」

為て遣ったりと、びっきりの笑顔を向けてあげた。

もう、貴方達思う様にはならないからね。

希望を絶たれたことに、悔しがればいいんだ。


バサバサバサと羽ばたく音が突然聞こえ、私達は臨戦態勢になる。

な、何事? と空を見上げた私達の目に映ったのは、お父様へと伝令に出した一羽の鳥だった。

ほっとして、警戒が緩んだ。


「領主様からのお返事が届いた様ですね」

キャサリンが腕を出すと、伝書鳥は迷いなくその腕へと降り立った。

キャサリンは手馴れた様子で、鳥の足に付けられた筒を取ると、その中には細く丸められた手紙を取り出した。

そして、素早く手紙に目を通し、私の方へと視線を向けた。



「レブランシア国王に協力要請を取り付けたとの事です。王の許可の元、我々は不法侵入では無くなりました」


「それは良かった」


「レブランシア国王からはカルト集団撲滅の為に全面協力をすると声明も受け取っているそうなので、お嬢様は思う様に動けば良いとの事です」


「なら、本拠地に乗り込んじゃおうか」

悪い顔でゆるりと口角を上げた。


「お心のままに」

キャサリンが片膝を家臣の礼を取ると、ヨヒアムや騎士達も同じように片膝をついて、頭を垂れた。





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