表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世の情報が過多な件について神様に聞いてみたら、余計な力を授けられたのだが  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/131

波乱の辺境伯領13


「黒くなった泉を浄化する為に、聖属性の魔法使いがいるって話したでしょ?」


「そうですね」


「聖属性の魔法を使える魔法使いは、迷いの森で迷わないようにしたんだよね。ほら、浄化に行ってもらわないといけないし」

光の玉が心無しかバツが悪そうに光る。



「敵の中に聖属性の魔法使いが居るんですね」


「うん、そう。聖属性の魔法使いがカルト集団に入るとか想定外だよ」


「想定外が3度も続いてるよね」


「……面目無い」


「まさかと思いますど、わたしに聖属性を与えたのって……」


「あ、うん。保険に与えといて良かったー」

僕すごいよね、と自分で自分を褒めた光の玉を、今すぐこの手で握り潰してやろうかと思った私はきっと悪くない。


「私が迷いの森の最深部に向かえばいいのですね」

領民を領地を、そして国を守る為に。


「向かって貰えると助かるよ。泉を浄化出来るのは君だけだ」


「……分かりました」

泉を浄化して、出来ればその辺に居るであろうカルト集団を生け捕りにする。

組織を根絶やし出来れば一番いいのだろうけれど、それは私だけでは無理。

お父様や他の皆と連携して、今出来ることを全てやろうと心に誓う。


騎士として生きてきた時代のリベンジなのかもしれない。

志し半ばで倒れた私に、再び訪れたチャンスを無駄になんてしない。


「じゃあ、そういう事でよろしくね!」


「あ、はい」


「次に僕達が会うのは、君が天寿をまっとうした時になるだろう」


「え……」


「もう呼ばれても来れないんだ。干渉し過ぎて女神に怒られちゃったよ」

あ、うん、それはそうだよね。


「色々とありがとうございました」


「君の幸せを願ってる。苦難の先には必ず明るい未来が待ち受ける。だから、今度は寿命まで精一杯生きてね」

光の玉はそう言うとちかちかと瞬き、次の瞬間には消えてなくなった。


もう会えないと思うと、少しだけ寂しい気がした。

軽いノリで迷惑もかけられたけれど、親しみもあったのは事実で。

静まり返った図書室に自分の息遣いだけが響いた。


やらなきゃならないやら、やってやる!

使命だなんて大それた事は思わない。

自分の為に、今出来ることをやるんだ。

不思議なぐらい心は凪いでいた。

迷いの森に向かう事は怖いはずなのに、きっと私なら出来るという自信がどこからともなく湧いてきた。




「お嬢様、王太子殿下がご到着されます」

ドアをノックする音の後に聞こえた声に私は振り返る。


「今、行くわ」

大きな深呼吸を一度して、ゆっくりと歩き出す。

迷いの森に行くとなると、きっと私の力はもう隠せない。

それでも先に進むと決めたんだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ