表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/131

贈り物なんて呪いでしかない3

食事を終え1人になった私は、いよいよ神様の迷惑な置き土産みやげを確認してみる事にした。



「ステータスオープン」


なんて言っても、ステータス画面が出るわけないか……。


目を瞑って自分の中にある魔力に意識を向ける。


3歳の時に同じ事をして魔力があるのは分かった。


そして、お母様の炎魔法とお父様の風魔法を引き継いでることも。



子供は7歳になると神殿で洗礼式をして、初めて魔力の有無と属性を知る事になるから、この事は誰にも秘密なんだよね。



お腹の奥の方で渦巻く魔力が、以前よりもかなり増えているのが分かる。


そして、使える属性が増えた事も。



目を開け手を目の前に突き出し、呪文を口にする。


「アイス」


手のひらの上で氷の粒が踊り始めた。


まじか……はぁ……大袈裟に溜息をつくと魔力の流れを止める。


仕方ない、確認作業をしていこう。


「アース」


土がモコモコと掌に盛り上がる。


「ウォーター」


丸い水の球体がふわりと浮かび上がった。


炎と風は、前に確認したから、5属性使えるって事になる。



神様なんて事をしてくれたのかな。


大魔法使いでさえ、4属性だと聞いたことがあるんですけども。


5歳児にして異質すぎるでしょ、私。



まさか……まさかと思うけど。


お腹の奥の奥の方にもう一つ何かがあるような気がして、何となく頭に浮かんだ文字を唱えた。


「ホーリー」


すると眩しい金色の光が掌から溢れ出した。



「えぇ!」


ほんと、ちょっと待って、聖魔法なんて、聖女じゃない。


これ、絶対バレちゃダメなんじゃないかな。


嫌な汗が額に滲む。



聖女になろうなんて野心も、万人の為に尽くそうと言う決意もない。


私は辺境伯領の皆が幸せに暮らせれば、それだけで良いんだもん。



「神様、なんてものを置き土産してくれたのよ」


苦々しく呟く。


ほんと、呪いでしかないんですけども。


あの神様、絶対何処か抜けてるに違いない。



「……これは、1人でどうにかできるものでも無いわ」


震える指先を隠すように胸元で両手を握り締める。



前世の記憶だなんて、頭がおかしくなったのかと思われるかも知れない。


お父様達が信じてくれなかったら、どうしよう。


私……皆に嫌われたらどうしよう。


大好きな家族に打ち明ける事が、とてつもなく怖かった。



「……お父様、お母様……お兄様」


大切な、ほんとに大切な家族なの。


失いたくない。


溢れ出てくる涙、震える指先。


彼らを失う事になるかもしれない事実に、5歳児の精神は耐えられなくなっていた。



でも……話さない訳にはいかないよ。


今、話さなくても7歳の洗礼にバレてしまうもの。


今伝えなければ、きっと大事になってしまう。


そうなれば、家族と離れ離れになっちゃうかもしれないじゃん。



「大丈夫……大丈夫だよ。うちの家族はきっと私を信じてくれる」


自分に言い聞かせるように呟く。


家族を、自分を信じよう!


顔を上げ、涙を拭って決意した。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ