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一般上がりの霊感少女、陰陽師になる  作者: 焔摩下広鬼
一章
2/5

霊感少女、注目される

 4月に入りそろそろ入学式が近づいてきた。

「どれがいい?」

 ある日明羅が二着の服を私に渡して言った。二着とも見覚えがあった。

「これ制服?」

 一着は五芒星と格子紋が隣同士で刺繍された物だった。先日小毬や明羅が着ていた物と同じデザインのものだ。

「そう、ちなみにスカートはこれなんだけど」

 明羅が私が持っていた服をとり広げて見せる。

「実は好きなデザインに変更可能というか、手持ちの私服で大丈夫」

「へぇ」

 それは中々興味深い。

「意外、ファッションとか興味あるんだ」

 どうやら顔に出てたらしい。私の顔を見て明羅が言った。

「まあね」

 着るのは嫌いじゃないんだよね。

「これもそうだよね?」

 私はもう一枚の変わった仕様の制服を手に取って言った。狩衣のように袖口が大きく、肩口に穴があり、ワンピース状になってる物だった。土御門学院の制服と言ったらこれって感じの物でめちゃくちゃ目立つ。アニメキャラが着てる制服みたいなデザインである。

「どれがいい?」

「うーん、どっちもいいけど、普段から着るならこっちかな」

 私は一着目の明羅や小毬が着てる方のを指して言った。

「了解。でもとりあえず両方あげるね」

「いいの?」

「うん、ちなみに霊衣としての性能面ではこっちの方か優秀」

「そうなの?」

「こっちのセーターのは防障効果がセーターだけなの。対してこっちの狩衣みたいなワンピースは服全体に効果があるわ」

「だからスカートのデザイン変更自由なの?」

「まあ、そういうことだね」

 私の問に明羅は苦笑して答えた。

「なんか狩衣ワンピースの方が性能的には有能じゃない?」

 防障効果は服部分は全てカバーできて且つファッションデザインもいいというのは最強すぎる。

「実はそうなんだよね、みんな恥ずかしがって着ないけど。ねえあかり、着てみない?」

「そうだね、そうしてみる」

 明羅の勧めに私は頷いた。

 パジャマを脱いでさっそく制服に袖を通してみる。

 スカートは自分の持ってる私服用の物で合わせてみた。ちなみに柄は白と赤のチェックの物だ。

「いいじゃん似合ってるよ!」

 明羅が手を合わせて絶賛した。

「ほんと?」

「ほんとよ、似合ってるわ。自信持って」

「それなら良かった」

 私はほっと安堵した。

 セーターとシャツを脱いで次に狩衣ワンピースの方に手にする。

「着やすいね」

 さっき着ていたトップス二着とボトムス一着のものに比べて、こちらはワンピースなので上から被るだけで済む。

 鏡で自分の姿をチェックして見る。

 我ながら結構可愛いのではないだろうか。というかこのデザインそんなに恥ずかしいか? 普通に普段から着れそう。

「なんかこっちの方が気に入ったかも」

「ちなみにこの狩衣ワンピース、今は白色だけど、色は変えられるよ」

 デザインは変えられないけど、と付け足して明羅が言った。

「他に何色があるの?」

「だいたいなんでもあるね」

「青とか黒は?」

「あるよ、そっちの方がいい?」

「うん、そっちの方が好きだな」

「わかった、後で持ってくるわ。いや一緒に選びに行く?」

「いいの?」

「うん」

 私の問いに明羅は頷く。

 私は明羅とともに狩衣ワンピース制服の色を選びに行くことになった。

 そして、色は青色にした。


 ○


 春休みが明け、土御門学院へ転入してから初日。

 この日は特に授業など無く終えた。

 しかし、次の日から授業がしっかり始まった。

 幸いなことに座学だけで、実技はまだだった。

 陰陽師の育成機関ということもあって授業内容は変わった物が多いらしいが、この日やったのはほとんどが一般の高校でやるようなものだった。数学、古文と変わったものは呪力のコントロールの仕方の授業だった。しかし、これは一般上がりの私に先生が気をきかせて特別にしてくれたものらしく、普通だったらやらないらしい。実際何人か寝てる人がいた。土御門学院に長い間通ってる生徒にとっては今更過ぎる内容なんだろう。新学期早々で時間に余裕がある今だからできる待遇なんだと思うと、先生に感謝しかない。

 呪術を使用する際は呪力を込めて行使するものがほとんだという。それ以外のものは霊力を使用するものだという。

「霊力を込めて組む術は今のあかりでも出来るわよ」

 授業終わり、明羅が言った。

「どんな?」

「霊視や心霊術だね。でも心霊術系は呪力のコントロールがまだ上手くできてないあかりには危険だからやめた方がいいわ。危ないから」

「霊力を込めて使う術は呪力必要ないんじゃなかったの?」

「呼び出すだけだったらね。でも調伏には呪力が必要となるから。もし式神が欲しくて何か呼び出したいなら、危険でない人物、神霊、妖怪に関する遺物を用意して口寄せした方がいいわ」

「なるほど」

「式神欲しい?」

「うん、どんなのがいいの?」

「やっぱり戦闘力が強いのがいいんだけど、戦闘力が強いのは危険なものが多いんだよね」

 明羅が人差し指で頬を軽く掻きながら、ちょっと困ったように言う。

「式神はやっぱり呪力をコントロールできるようになってからの方がいいと思うよ」

「そっか」

「放課後練習付き合うわ、呪力練」

「ありがと、助かる」

「大丈夫、あかりなら直ぐできるようになるわ」


 明羅はその後私の呪力練に付き合ってくれるようになった。

 呪術訓練場が授業で使ってない時間はできる限り一緒にいてくれた。

「呪力っていうのは感情から成るものってのは授業でも聞いたでしょ」

「うん」

「でもその呪力を生成するには霊力の大小が関わってくるの。霊力が高ければ高いほど呪力を多く持ってる可能性が高い。霊力は例えるなら体力、呪力は精神力って感じかな。そして、その精神力もとい呪力で生成イメージしたものを具現化させ術式に変換する」

 明羅は呪練場に置いた長方形型の使い切りの的に視線を向けた。

 印を組んで、呪文を唱える。

「ノウマク・サマンダ・バザラ・ダン・カン!」

 明羅が不動明王の小咒しょうしゅを唱えた瞬間、火炎が的に向かって襲い掛かった。

 的は丸焦げになっていた。

「こんな感じ。呪文とかはわかんなければ作ったり、英語とかの外国語でも構わないから」

 ようはイメージが大切ということらしい。

 私は頭の中に炎のイメージを浮かべる。身体の中に在る霊力ちからを形成して、想像して、呪力へと変換させる。

「ふぁいあー!」

 超絶棒読みのクソダサ掛け声で炎が的へ吹きすさぶ。しっかりと的は焼き尽くされた。

「おー! 初めてなのにいきなりやるじゃん! やっぱあかりは呪術師のセンスあるよ」

「そう?」

「あっという間に上手くなりそう」

「ほんと?」

「うん、これなら直ぐに使役式も持てる」

 明羅が絶賛してくれた。どうやら本当に私には呪術師の才能があるらしい。自分のアイデンティティを見つけられたような気がして、少しだけポジティブな気分になれた。

「そう言えば明羅が使ってる真言マントラって呪文なんでもいいならなんで長いのに使ってるの?」

「ああ、あれはあかりが使った術式とはまたちょっと違うんだよね。あかりはさっき霊力を直接呪力に変換したよね」

「うん、そう言ってたし」

「あかりは何か信じてる神様とかいる?」

「え、いないけど、どうしたの、突然?」

「わたしや呪術家の家系の人間は信仰してる宗教が基本的にあってね、個人的に無神論や無宗教でも子供のころからその家のしきたりとかで専門的な呪術の知識をつけるのよ。それで密教や神道、陰陽道の呪術を身に着けるんだけど、ああいうのって神様への請願とかが多いの。そういう術って、ようは一時的に神様の力を呪力で降ろすみたいな、説明むずいな……力だけ降霊させるみたいな感じ。わかった?」

「わかったような、わかってないような……」

「まあ、いいよ。あかりも真言使いたいの?」

「正直ちょっと憧れる」

「もしかして、漫画とかの影響?」

「うん」

「まあ、機会があったら教えるよ。今はもう少し呪力のコントロールを出来るようにならないとね」

 私は頷いた。

 その後、私は明羅に符術、式符を用いた式神の操り方などを習った。


 何日か呪力のコントロールの練習をして、上達してきた。

「次のステップに入ってもいいかも」

 明羅が言った。

「次のステップって?」

「うーん、とりあいず、模擬戦かな」

「誰と?」

「それりゃ、わたしと」

「それは……」

「勿論手加減はするから、心配しなくていいよ」

「なら……」

 明羅に本気でかかられたらとても勝てるもんじゃない。

 呪練場に着き、私と明羅が対面で向かい合う。

「さあ、どっからでも」

 明羅が両手を広げて構える。

 私は霊力から呪力を生成する。

 イメージは火。

 炎が私の手から放たれた。放たれた炎が明羅に襲い来る。

「いいね、オン・ヴァルナヤ・ソワカ!」

 明羅が真言を唱えると水が吹き出し、炎をかき消した。

 私は炎を複数に分けて、明羅のもとへ向かわせる。

 さながら八岐大蛇のように八つに分かれていた。

「おお、もうコントロール完璧じゃん!」

 明羅が八つに分かれた炎を見て驚嘆の声を上げた。

「これは私もうかうかしてられないなあ」

 そう言って明羅が少し焦りながら制服のスカートのポケットから呪符を取り出した。

「南無柿本人麻呂命」と呪符には書かれていた。

 そういえば柿本人麻呂って歌の神様としてだけでなく火消しの神様としても知られてるんだっけ。

 人麻呂という名前が人丸(ひとまる)転訛(てんか)し、火止まるということになって火消しの神になったという、こんなの駄洒落やないかい、というルーツがある。

 日本人昔からそいうとこいい加減だよね。

 明羅がその柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)の名前が書かれた呪符を掲げると、八つの炎は彼女が持っている呪符の近くにまで来ると急に勢いを失い、霧散した。

 なんか釈然としない。私の八岐大蛇(火属性呪術)は駄洒落に消されたような気分だ。

「それにしても上達したじゃん、あかり」

「そう?」

「これなら式神使役や口寄せの術も使っても大丈夫かな」

「ほんと!?」

「うん、召喚しても恐らく調伏できるだろうし、問題ないと思うよ。召喚方法いくつかあるんだけど、先ず主だった方法としては霊力で異世界にアクセスして呼び出す、あと前にも話した神仏英霊の遺物・呪物を触媒に召喚するなどかな。あと召喚術以外ではその辺の災害化してる怪異を調伏して式神にするとかもあるわ」

「どれがおすすめ?」

「今のあかりならどれでも大丈夫よ」

「うーん、そう言われてもねえ……」

「手軽なのは霊力で異世界にアクセスしてランダムで強い奴を召喚する方法と遺物、呪物を触媒(しょくばい)に召喚する方法。最後のは実際に自分の足を運ばないといけない」

「なら一番手っ取り早そうなランダム召喚かな」

「わかったわ。ここじゃまずいから校庭でるわよ」

「え、うん」


 そう言われて何故か私と明羅は校庭に出た。

 明羅が校庭で魔法陣のような物を描いてる。だが魔法陣の中に描かれてるのは殆ど漢字だ。あとは梵字などがあった。

「ここに霊力を少しでいいから注いで」

 明羅が言った。

 言われた通りに私は霊力を少し注ぐ。

 魔法陣が光りだしたかと思うと、その後から蜘蛛のようなシルエットが姿を現した。光がやんで全貌が見えた。

 姿を現したのは巨大で身体は蜘蛛、頭は牛の化け物だった。俗に言う牛鬼というやつだ。

 牛鬼が襲い掛かってくる。

 私は呪力を込めた。

「私に従え!」

 言霊。言葉に呪いを込めて行なう呪術だ。

 牛鬼が動きを止めた。

「これで調伏完了、いつでも呼び出して使役できるはず。牛鬼ともパスができたし、直ぐに召喚できるよ」

 明羅が言った。

「ただ、こいつは大型や特級レベルじゃないと顕現させられないね」

「確かに」

 牛鬼はかなりでかい。なんなら某怪獣映画に出てきそうな大きさだ。

「物理的な大きさじゃなくても強力な怪異はいるし、そういう奴や、閉所で使用できる式神も増やしていかないと」

「なるほど」

「まだ行ける?」

「大丈夫」

 私は牛鬼へ帰るように命じた。

 牛鬼は異界へ帰っていった。

 その後再び次の口寄せを行おうとした。

「なにあれ、すご!?」

「あれが噂の霊感少女か」

「霊力やばくない!?」

 しかし、巨大牛鬼を召喚してしまったせいでギャラリーが集まってきてしまった。

「とりあいず今日はこのへんにしとこうか……」

「う、うん」

 その後、私の存在は土御門学院の生徒で知らない者はいないというほどに知れ渡ってしまった。ヤバい霊力を持った一般上がりの少女が来たと。


 学校で知らない存在になったということは憧憬(しょうけい)を抱く人がいると同時に嫉妬を抱く人も当然いる。

 そして私は他人のそういう悪意のある感情にさらされるのに慣れていなかった。これまでそういう経験をしてこなかったからではない。逆だ。私は過去視えないものが視えて周囲から気味悪がられ、避けらてた。直接的ないじめなどはほとんどなかったが、それは私にとって人間を信用できなくなる理由としては充分だった。

 学校が変わったからってそういうことがなくなるわけじゃない。

 というか今目の前でそういう状況が起きていた。

 学院の人気(ひとけ)のない雑木林の中に派手な格好をした女子生徒三人に囲まれていた。

「なに?」

「何じゃないわよ、あんた力があるだか何だか知らないけど、調子のってんじゃないわよ!」

「のってないし」

「口答えする気!」

 まさにテンプレ悪役令嬢スタイル。令嬢かどうかわかんないけど。

 めんどくさ。これだから人間は嫌なんだ。災害化した怪異の方がまだましである。

「目障りなのよ、一般上がりのくせに!」

「そうよそうよ!」

「一般上がりが調子のんな!」

 どうやら呪術界には呪術家でない術者を蔑む差別があるらしい。自分と違う人間を差別するやからはどこにでもいるみたいだ。

「オン・シュチリキャラロハ・ウン・ケン・ソワカ!」

 悪役令嬢のリーダーぽい女子生徒が手印を組んだ。

 確かあれは大威徳明王の真言だったと思う。呪詛術だったはず。

「オン・シュチリ・キャラロハ・ウン・ケン・ソワカ!」

「オン・シュチリ・キャラロハ・ウン・ケン・ソワカ!」

 他の二人も大威徳明王法を唱えた。

 呪力が三方向から私を襲った。

 やば……

 私は慌てた。呪われるのは勘弁願いたい。

 呪力が私に直撃する寸前私の中から霊力があふれ、私の身体が突然光りだした。

 呪力は即座に消失した。

『……』

 悪役令嬢どもは何も言えずに啞然としていた。

 いや私が啞然としたい。何が起きたのか訳が分からなかった。

 子供の頃からありえない霊感があったけど、最近の私の身体おかしすぎる。

「き、きようはこのくらいでゆるしてあげるわ!」

「そ、そうね、つぎはかくごしときなさい!」

「あ、えっと、これで勝ったと思ったら大間違いですわ!」

 悪役令嬢三人はそう言って逃げ去って行った。

「……」

 そんな彼女たちを見て私は唖然としていた。

 なにあの愉快な悪役令嬢たち……

 というかひとりほんとにお嬢様口調になってたし。


 帰ってからそのことを寮で明羅に話した。

「そいつら退学にしてやる!」

 明羅は悪役令嬢三人組に対して怒っていた。

「そこまでしなくても……」

「またちょっかい出してくるかもしれないわ」

 退学させたりなんかしたら余計に恨みを買うことになるだろう。逆効果だ。

「そしたらまたその時は相談するから」

「本当よ」

 確認するように明羅は念押した。

 明羅の気づかいに私は嬉しくなった。

 悪意のある嫉妬にさらされて再び人間不信な感情が強くなってきた私に明羅の心配は効いた。

 そして襲われた時に出た光が気になったため、何かわからないか聞いてみた。

「わからないけど守護霊とかかな?」

「守護霊ってご先祖様?」

「じゃないこともあるけど、祖霊のパターンが多いじゃないかな」

「その守護霊って誰かはわかる?」

「わかるけど、わたしが視るよりも適任がいるよ」

 明羅が言った。


 明羅に連れて来られたのは小毬の部屋だった。

 明羅がコンコンと小毬の部屋の扉を叩く。

 小毬はすぐ出てきた。

「それで用って何?」

 小毬はどうやら私たちが来るのを知っていたらしい。恐らく明羅がメールを送ったのだろう。

「あかりの守護霊を視て欲しいの」

「いいけど、メイ自身が視れるじゃない」

「わたしよりも小毬の方が精度いいでしょ」

「まあ、それは私は占術が専門だし」

「じゃあ、お願い」

「はいはい」

 小毬は明羅に承諾してから、続けて私に話しかけた。

「それで守護霊を視るんだったわよね」

「うん」

「じゃあ、ちょっと手借りるわね」

 そう言って小毬は私の手を取った。そして、目をつぶった。

「かけまくも畏き菊理媛命くくりひめのみことよ 彼女を守りし者と今暫しえにしを繋いでくれ給え」

 小毬が祝詞を唱える。

「……」

 数秒の沈黙。

「わかったわ」

「ほんと!?」

「ええ、あかり貴方の祖は橘逸勢たちばなのはやなり。あかりを守ってる守護霊はその娘よ。ちなみに彼女はおたえと名乗ったわ。いつでも呼んでくれれば現界するって言ってたわよ」

「どうやって呼ぶの?」

「名前呼べばいんじゃない?」

「えっとお妙さん、来て」

 私がそう言った瞬間、窓一つ空いてない寮の部屋に風が巻き起こった。

 突然の風に反射的に私は目をつぶってしまった。

 目を開けた時、目の前には見知らぬ美しい女の人がいた。

 黒髪ボブカットで法衣を着た女性だった。

「いや、確かにいつでも呼んでいいとは言いいましたけど、不必要に呼ばれるのは困るのですけど……」

 黒髪ボブカットの法衣を着た女性が言った。

「貴方がお妙さんですか?」

「ええ、わたくしが橘逸勢が娘で妙沖尼みょうちゅうにことお妙です。何卒良しなに我が子孫よ」

 そう言って妙沖尼ことお妙さんは姿を消した。どうやら霊界へ帰ったらしい。

裏話

橘逸勢の娘の名前はあやめと言うらしいです。

作中のお妙も本名ではありません。妙沖尼の「妙」から1字とって適当に小毬に教えたに過ぎません(あかりが相手だったらあやめと名乗ったかも)。当時は本名を知られると呪詛されやすくなるということで安易に本名は言わないのが常だったといいます。そのため小毬には適当に名乗りました。

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