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第五章 胸騒ぎ

ベッドから身をおこし、時間を確認した。

午後7時20分 そろそろ飯の時間だった。

「ふわぁぁぁ……」

長き眠りから覚めたかのような、長い欠伸がでた。


「お兄、ご飯だよー」

妹の声が聞こえた。

「わかった、すぐ行くよ」

俺はタオルで顔の汗を拭って、リビングへ行った。

席につくと、親父と、妹しかいなかった。

「あれ?母さんと兄貴は?」

「お母さんは残業、お兄ちゃんは泊まりだってさ」

妹が答えた。親父は黙って飯を食べていた。

「親父、何かあったの?」

元気が無いと、心配になる。

こっちはさっきまでの出来事が不思議すぎてたまらないっていうのに…

「いや、どうも嫌な胸騒ぎがしてな」

親父は深刻な顔で答えた。

「はは、何だよそれ」

俺は苦笑いしかできなかった。


「お兄、後で話いい?」

珍しく妹が切り出してきた。

妹は俺のことをお兄と呼ぶが、一番上の兄はお兄ちゃんと呼ぶ。

「ああ、いいよ、宿題か?何でも教えてやるぞ」

「お兄は勉強できないでしょー」

妹が笑いだす。親父も少し笑っていた。

実は胸騒ぎが俺もする。なんて言えなかった。

きっと、理由は違うから…


「そうだ、受験生なんだからちゃんと勉強しろよ」

親父が勉強について言ってくるのは、俺の様子をみるためだった。

「うん、まぁまぁ…地道にやってるよ」

…もし悪魔の言うとおりに冒険したら、もう学校には…と思っていた。


「ごちそうさま」

俺はすぐ食い終わった。

そして、自分の部屋に戻った。


30分ほど考え事をしていたら妹が部屋にやってきた。

「お兄、いま、いいかな…」

「ん、ああ、何?」

まさか本当に宿題じゃないだろうなと思った。

「あのね、その…えっと」

「何だよ、遠慮はいらないんだぞ?」

おどおどされると反応に困る。

「今日、一緒に寝ていい…?」

…どこの小学生だ、いや。小学6年生だった。

「どうしたんだよ?珍しいな…」

心の中では嬉しかった俺が少し恥ずかしい

「なんか、胸騒ぎが…お兄はしないの?」

どこかの小説で読んだことがある。

一家のほとんどの人が胸騒ぎがして…

続きが思い出せなかった。

「まぁ…いいよ、俺も何も感じないわけではないし」

「うん、ありがと、じゃあ…後でくるね」

そう言って部屋から出ていった。


「胸騒ぎ…か、何が…」


俺は、すぐ後悔することになるなんて、思ってもいなかった。

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