第四十二章 限界突破
「人間の力には限りがある、それが悪魔のレベルに追いつくことは未来永劫ないだろう」
俺達は修行場のような場所にきていた、詳しく場所はわからなかった。
周りはガレキの山や、何かの惨害、酷い荒野だった。
「故に――――限界突破、それを習得してもらう必要がある」
「きいたことがあります、人間の本来の力を100%出せる状態…それが限界突破」
「いかにも、人間は本来30%の力も出していない、身体が危険故、脳にリミッターがかけられているといっても過言ではない」
「…その状態を常に引き出すには、一つ条件がある」
随分と勿体ぶる口調でウェルデルトは言った。
「その条件とは、その状態に身体が耐えれるようにすることだ」
よくよく考えるとそれは当り前のことだ。
身体が耐えれないから脳が身体に制限をかけているとすれば、身体が耐えれるようになれば脳は制限をかけなくなる、それか自分でその状態を引き出せるようになる。
「つまり…身体を鍛えろということですか?」
「簡単にいうとそういうこと、勿論もっと奥深いことだけど」
「本当に単に身体を鍛えるだけだと、1000年は軽くかかる、それを…3日で鍛えてもらう」
「死の行軍…通常では耐えきる事は不可能、成功する可能性は2%未満…それをやってもらう」
耐えきれない=死ということだろう。
意味深な顔をしていた、しかしやらなければならないという空気だった。
「勿論、私はしますよ、強くならなければこの先に進めないですし」
「ん、俺もそれ!…やってやるよ」
焦って便乗してしまった、言ってしまったからにはやらなければいかない。
「死の行軍…相手は悪魔神カオスにしてもらおう」
「フン、俺は構わないが本当にこいつ等が死ぬ可能性が高い」
「そうしないと前へ進めない、フフ…全力で相手してやってくれ」
それから死の行軍の内容が説明された。
…3日間、炎を常に放出し続けたままカオスとの戦闘訓練。
更に、特殊な蓮の花を飲んで。
その蓮の花は、飲むと3日間ほど炎が垂れ流しになるそうだ。
通常なら約1日で炎が無くなり、死ぬ。
これがいかに難しいか、それを俺がまとめよう。
・炎は一定量放出し続ける、つまり力を出し続けるのと一緒の状態を続ける。
・炎がすぐに回復することはない、力が尽きてくると脳の停止…死を意味する。
・相手は分身体とはいえ悪魔神、今の状態で勝つことは不可能。
ということだ。
「蓮の花を飲み、炎が一定量放出され続けたまま戦い、3日間それを続ければ限りなく身体能力が上昇する、つまり限界突破の一歩手前の状態まで辿り着く」
約1日で尽きるはずの力、休む間もなくそれを3日…
通常なら死ぬ、ならばどうすれば生き残れるのか、それはやってみないとわからなかった。
地獄の死の行軍が始まる。