第三十七章 戦争への縮図
「大魔王サタンについてまず知りたいことは…」
「奴が既に完全体になっている、ということについてだ」
術師と俺は会話にはよれないから、もちろんじっとしていた。
少し退屈な気分でもあったが、謎が解けるというのは期待感もある。
「私から言えることは、年々大魔王の力が増していっているということです」
「何度倒しても、1000年の時を経てよみがえるのはもちろん、その間に力が少しずつ回復する勢いを余って増殖しています」
つまり月日がたつ度に強くなるということだろうか。
3割の力しか戻っていないと、そのような事を言っていたが
あれで本当に3割なら恐ろしい力だとうかがえる。
「その通りだ、恐らく更なる形態が増えているだろう、倒すことは…今までよりも更に困難だろう」
「…大魔王サタンについての本題はそれではないでしょう?」
「ああ、大魔王サタンを完全封印させる手についてだ」
「1000年に一度、あんなやつを相手にする必要がはたして本当にあるのか…」
「昔から言っているはずです、封印するのは…一つだけ手がありますが、現状ではリスクが大きすぎてとても無理なのです」
「わかっている、しかし…いずれは止めなければいけない、今回は特に…謎が多すぎる」
「組織の事は勿論、大魔王サタンがどう関与しているのかも…含めてな」
俺の兄貴が何らかの組織に所属していて、その組織がどう大魔王サタンと関与しているのかということか。
兄貴は結局…何だったのだろうか。
「大魔王サタンの能力を止めるには、今回がラストチャンスだと思っている」
「年々力が上昇する相手に、討つ術が無くなる前に…ですか、わかりました」
「そこまで仰るのなら、これで最後にしましょう、大魔王サタンを完全に封じます」
「…勿論リスクはわかっていますよね?相手を永久に異次元に閉じ込める為のリスクが…」
「ああ、封印術をかけた者は、大魔王サタンと異次元で永久に過ごすことになる」
「…その封印術を覚えているのは、俺と…神だけだということだ」
「天上神か、悪魔神か…どちらかが消えゆく宿命になるのです」
…その後に教えてもらった。
大魔王サタンの能力とは、倒されても死ぬ前に自分自身に封印術をかけることにより
1000年異次元で一人力を蓄える…回復できる能力。
その異次元に永久に留めておく犠牲役が
天上神、つまり今の神か…悪魔神、地獄の神カオス…あの悪魔か。
少し休んでいる時だった。
「大変です!神様、地獄界から…戦争を挑まれました!」
「…まさか、今そのような問題を……」
「俺はそんな命令をした覚えがないんだがな、どうやら1000年俺が居ない間に新たなる神がたてられたようだ」
それから徐々に事態はとんでもないことになっていく。
――――天界Vs地獄界…戦争へ