第三十四章 現世へ戻り、新たな世界へ
「…この左腕、戻らないのかよ」
左腕は未だに悪魔…大魔王の腕だった。
「…知っているが教えることはできん」
「どういうことだよ?」
「自分で解き明かすものだ…一度死ねばわかるかもな」
薄気味悪い笑みを浮かべて悪魔は言った。
死ねばわかるって…俺が死ねば悪魔も死ぬんじゃないのか。
「…デーモンが居た、降りるぞ」
空中を飛んで探していた俺達は下降した。
「妹は!?」
「…どうやら居ないようですね…この世界に本当にいるのかどうか…」
「…そんなに探したのか?」
「いえ、リングの炎で人の気配を探知していたのですが…知っている気配はありません」
そんな手もあったのか、少し勉強になった。
「…そろそろ限界です、しばらく休みたいのですが……」
「この大陸にはいないようだ、別次元かもな…一旦現世へ戻るぞ」
「…そっか……現世って、戻れんのかよ?」
「当たり前だ、おそらく滅んでいるだろうが…大地ぐらいはあるだろう」
妹探しは断念するしかないようだった。
…それに、俺もこの世界にいるとは考えれなかった。
急に消えた。
そんな感覚っていうか…うまくは言えないけれど、とりあえずいないんだって。
「わかった、一旦戻ろう…っていうか!キーは結局…?」
「どうやらあの兄を追いだすことだったらしいな、新たな場所が増えた」
「…戻りましょう、といっても私はどこだか知らないので、お願いしますよ」
「案ずるな、お前も戻りたいと願え」
そうして、俺達は現世に戻った。
目を見開くと、見回す限りが大地だった。
「…家も人も…ないのかよ…」
「大魔王サタン…やってくれる、しかし本番はこの程度ではないぞ」
どういうことかよくわからなかったが、疲れていたので休みたかった。
術師も、相当疲労しているし、悪魔も…
「とりあえず、この場でもう寝て大丈夫?」
「人の気配はない、しばらく休んで新たな場所へ行く」
妹がいつ帰ってきても、大丈夫なように。
旅を進めることにした。
…妹がどうなっているか。
どこにいるのか。
それは、旅をすることによってわかるような気がした。
――――どれくらい寝たのだろう。
目を覚ますと、術師も悪魔も元気そうだった。
…1日以上寝たことはわかる。
というか、悪魔は睡眠をとらないのにどうやって回復したのか。
「起きたか、では新たな世界へ行くぞ」
「…ん?この地図…周りに雲が記されているように見えない?」
「次の地はどこかわかる、いつも3つ目の世界は…天界だ」
天界?天国ということだろうか。
…死んだら行く場所と信じているんだが。
「行くぞ、手をかざせ」
…新たな世界へ
そっとまぶたを開くと、白い空間だった。
目の前には、扉があった。