表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/44

第三十一章 謎だらけ

そろそろ自分でもスタミナが切れてきたのがわかる。

息切れ?そんなんじゃない、手足が痺れてきた。

「くそっ…本体どこだよ…」

そうぼやきつつも、妹探しをしていた。

まさか爆風で…そんなことは考えたくない。

「本体に気付いたようだな!おほほ!無駄!!」

魔王は疲れをしらないようだ。

どんどんと殴りかかってきたり、ビームうってきたり。

おまけに満面の笑みだった。

術師と悪魔に本体探しは任せて、俺は敵をひきつける。

そんなつもりはなかったが、自然とそうなっている感じだった。

「くそっ…イメージする暇もねぇ…ずりぃぞてめぇ!」

「戦いとは卑劣なものだよ!おほほほほ!」

相手の殴りの風圧だけで吹き飛びそうだった。

そろそろ飛んでいるのも限界か。

そう思って、下へ少しずつ降りつつ避けていた。

「あー!本体早く見つけろって!!」

全力で叫んだ、俺がもたなかったからだ。

「何とかしてヒントを貰って下さい!」

「無理だろおおおおおおおおおおおお!!」

避けて避けての繰り返しが終わり、とうとう地面に着地した。

「潔く死ぬことを覚えろ!おほほほほ!」

さっきから毒舌になってきてるなこいつ。

「本体どこか教えろよ!あ、まさかやられるのが怖いチキン野郎なのか!?」

「おほほほほ!面白い!ならヒントを差し上げましょう!」


あやつるには標的と近い距離でないといけない。

でないと信号が途切れ、あやつれなくなる。


確かに魔王はそう言った。

「近い距離…この辺に隠れる場所なんて……!」

「さぁ!5,4,3,2,1,0!!死になさい!」

俺は思いっきり殴り飛ばされた。

ギリギリ少しの炎で防げたはいいが、骨が数か所イカれただろう。

術師が何とか受け止めてくれた。

「ヒント貰ったぜ…へへ」

苦笑いしても痛みは消えない。

…このままだと死ぬ気がした。

「大丈夫ですか!…く、あやつる標的と近い距離…!」

「簡単な答えだろう」

悪魔の声がした。

もう景色がボヤけていた。

「本体はあの魔王の中に居るとしか考えられん」

もしヒントが本当なら、確かにその通りかもしれない。

「……こんなところでくたばってる場合じゃねぇな…」

そうわかっていた、しかし身体が限界だった。


「おほほほほ!まとめてくたばれ!」

魔王がまた口に何か溜めているのか。

感覚が研ぎ澄まされているのか、これは何の境地状態だろう。

…見えないはずなのに、見える気がした。

「まずいな…こうなれば本体ごと破壊する」

「…!待って下さい!ここで大技を使うのはもう危険です!」

「ここは私の幻術の力に任せて下さい…!」

…俺は休んでいても大丈夫なのか。

とりあえず傷を回復しなければ…しかし妹はいない。

悪魔は術師が回復術を使えるとも思わない。

…血を流しているせいか、冷静に物事を考えれた。

「かなりの力を使いますが…魔王の身体を別次元にとばします!」

「…そんなこと…できるのかよ?」

「あの大きさだと…かなり負担がかかりますが、仕方がありません」

そう言うと、術師は眼から炎を出していた。

眼には何かの術式がかけられているようだった。

微かにしか見えないから、あまりわからなかった。

「潰れろ!!」

魔王がレーザーを放ったようだ。

「何とか本体だけを残します…!」


――――月読(つくよみ)


魔王のレーザーと身体が、異次元に転送されるかのように

歪んでいるのが少し見えた。

「…若くしてその技を使えるとはな」

悪魔は冷静に見つめていた。

「何だ!!これは!!…ぬ…!!」

「うおおおおおおおおあああああ!!」


――――魔王の身体が別次元にとんでいったようだ。

術師はとばした瞬間、倒れこみだした。

「…やはりあれだけの大きさの者を動かすのはリスクが高いようだな」

「……3日休めばきっと治ります、今は動くのも困難ですが…くく…」

すると、微かに声がきこえた。


「まさか本体を出すことになるとはな…驚いた」

…魔王の声とは少し違っていた。

しかし魔王としか考えられない発言だった。


「…何者だ……!」

悪魔が驚いているのがわかった。

「影からあやつるだけじゃ倒せないか、流石に強いな」

さっきの魔王とは違うようだ。

本体…といっても分身体とは違う、あやつられていただけ…

「何者だときいている、名乗れ…!」

「お前は俺の事を知っているだろ?…少し見た程度か?」

ん…この声…懐かしいような…そう思った。

信じたくはなかった。

思い出した、この声の主を…

「どうやら俺が魔力を隠している事にすら気付かなかったようだな」

「悪魔神の分身体といっても、大した事はないな」

完全にこの声の主がわかった。

…俺の……


――――兄貴……?


「…何だ、眠ってなかったのか」

「久しぶりだな、雄地(ゆうじ)

「思い出した…確かにこいつはあの時の…」


最悪だ。


兄貴が何で?


どうなってるんだ。


「俺は俺の仕事を果たすか、お前らはここで消えることになる…」

「…一人足りないな?凪はどうした」


そうだ、凪だ。


兄貴には後で話をきけばいい。


妹はどこに…


「…知らんな、お前が知っているように見えるが」

「……知らないな、まぁいい、お前らを消す」


「何で…兄貴が…?どういうことだよ…!」

「俺は選ばれし者を消す、それだけだ」


凪は何処へ

兄貴は何の目的で


謎だらけの世界に、終止符をうつことはできないのか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ