第二十六章 野宿
「ここが森か…本当に人気も何も無いな」
しばらく歩くと森についた。
意外とすぐついた気がしたが、もう深夜といっていいほど暗かった。
「わざわざ街があるのに、ここに来る人は滅多にいませんからね」
「丁度良いことだ、野宿といくぞ、まずは火をおこすか」
「うわー本格的だねー…んじゃ、木拾ってくるね~」
「私もいきましょう、念のために…男もいたほうがいいかもしれませんからね」
いきなり襲いかかってきた術師何かを妹と2人でいかせたくはなかった。
しかし、悪魔が俺に目配りをしてきていた。
妹とデーモンは、森の中へ入っていった。
「…大丈夫なのかよ?わざわざ2人でいかせて」
「問題無い、お前の妹はなかなか防衛術にたけている」
「仮にデーモンが襲おうとしても…逃げることぐらいはできるだろう、それに…」
「…それに?」
「……代々、選ばれし者7人のうち1人は術師なんだが…」
「女に手を出すようなやつは、今までにいなかったからな」
説得力があるようなないような、だった。
しばらく待つぐらいはアリか、と思えたから十分説得力があったのか。
「…結局、この大陸は何なんだろう、誰かに支配されている感じもないけど」
「デーモンが戻ってくればきけばいい」
その時、妹と術師が帰ってきた。
「これぐらいで足りるかな?」
結構な量をかかえていた。
「問題無いだろう、火をおこすぞ」
しばらくして、火がおこった。
リングの炎を使えばよかった。と思ったが、何でもかんでも
リングに頼ってはいけないし、自分の力を無駄に使うのはやめようと思った。
「ご飯は、また後日ということでいいでしょう」
「…そうだ、この大陸って結局何なんだ?」
「私の故郷、インテ・ガーデン大陸です」
「……何?…おかしいな」
悪魔が何かひっかかったようだった。
「何がですか?貴方も知っているのでは…?」
「……インテ・ガーデン大陸といえば、1000年前は焼け野原だった」
「…ええ、ここ数年で急に復興したのです」
「ここ数年でこんなに!?何なんだよここ、平和…だよな?」
「これはある術師が、幻術を使って復興した大陸なんです」
「…私の親です、幻を紛れもない現実に変えた」
「……ここまでとはな、よほどの術師だな」
「ええ、しかし、寿命だったのか…死にましたがね」
妹はずっと黙ってきいているなと思えば、既に寝ていた。
「…そろそろ疲れているでしょう、後でいくらでもはなしますので…今日はこのへんで」
「ああ、お前達は寝ろ」
「?悪魔は寝ない…?とか?」
「悪魔が眠りにつくとき、それは死ぬときだけだ」
驚いた。悪魔は睡眠をしない。
疲れをどうやってとるのかと思ったが、疲れていたので寝ようと思った。
「…では、良き夜を……」
術師も、俺もそこで寝た。
…正式に言うと、俺は意識はあった。
それから数十分しても、なかなか寝れなかった。
悪魔はずっと、あぐらをかいていた。
――――気付くと、朝だった。
太陽の光が差し込んでいた。
…そこで思った。
太陽はあらゆる世界に1個あるのか?と。
「ふわぁああ…」
のびをすると、背骨がポキポキとなった。
「お兄、起きるの遅い…」
「そこまで疲れていたのですか」
「とんだ迷惑だ」
……一体今何時なのか。
「俺何時間寝てた…?」
「あの、今はお昼ですよ」
「…あ、腹減った」
「もー!お兄ったら」
「街へいくぞ、金は幻術で作ればいいだろう」
最悪な行為だが、驚けなかった。
また、街へ逆戻り。
これからどんな事が待ち受けているのか。
そんなことはわからない。
ただ、現世の無事を祈り。
ただ、家族の無事を祈り。
ただ、友人の無事を祈り。
そうして、今日も歩く。