第十三章 修行の幕開け
修行の間、とやらについた。
王都のとても深い地下にあるようだ。
「基本的な戦闘スキルを身につけてもらう、これから戦争までずっと修行だ」
悪魔はやる気が満々だった。
「…で、修行って何をするんだ?」
「一言で言うと、イメージだ」
「イメージ?…どういうことだ?」
「砂漠での戦闘の時を覚えていないのか?イメージを具現化する能力をお前は持っている」
「……といっても、現世以外ではほとんどのやつがその力を持っているが」
…そこで、思い出した。
剣から斬撃をとばすイメージを。
「イメージをコントロールさせ、力を安定させる修行をする」
「この前のように、全力の斬撃等とばすと、精神的にダウンするからな」
それで、俺は倒れたのだろうか?
あの時は、ともかく限界が来た感じがした。
「じゃあ、私は……?」
「お前には防衛術をみにつけてもらう、詳しい説明は後だ」
妹を戦わせるなんてゴメンだ、そう思っていたが
護りの術が覚えれるのなら、それは是非覚えてもらいたい。
「まずは、お前からだ、天野 雄地」
はじめてフルネームで呼ばれてビクッとした。
「初めに、リングの使い方を教えておく」
「リング?鼻輪?」
「…指輪だ、魔法石が埋め込まれている特殊な指輪のことだ」
…鼻輪だなんて、恥ずかしいことを言ってしまった。
思わず苦笑いをしてしまう。
「このリングを使ってもらう」
悪魔は指輪を俺の方へ投げた。
…見た目は極普通の指輪だった。中心には紅色の石が埋め込まれていた。
「烈火の石といって、全世界を含めてもおそらく5つほどしかない神器だ」
とても高価な物らしい、紅色の石はとても綺麗だった。
「…これを、どうやって使うんだ?」
「どこでもいい、好きな指にはめろ、大きさは自然に合うようになっている」
右手の人差指にはめた。少しセレブにでもなった気持ちだった。
「そのリングの効果は、炎魔法の威力の強化だ」
…炎魔法?イメージを具現化することは、魔法というのだろうか。
「…炎のイメージができるまで、一人だ」
「そして威力の加減や、使い道を覚えろ、じゃないと負担がかかってお前は死ぬ」
「!?マジかよ…」
イメージなんて無茶だ、頭の中で描くというのは案外難しい。
それに、加減を調節する…使い道……難題だった。
「次に、天野 凪…お前だ」
「お前は、深淵の石が埋め込まれているリングを渡す」
「そのリングは、別名では死の指輪とも呼ばれている」
「使い方によって、死の魔法と、生の魔法になる」
「……使い方って、イメージ?」
「そうだ、決して憎悪の念を抱いて使ってはいけない」
妹が心配だが、俺は必至に脳裏に炎のイメージをいだいていた。
イメージができれば、投影するイメージをするつもりだった。
「回復魔法や、防御魔法が死の魔法にならないようにうまく扱え」
「まずは脳内に、バリアを描け、できるだけ円状で透明なものが好ましい」
死の魔法へならないためにも、しばらく俺がつく。
「わかった、やってみる…」
リングでの修行が始まる。
……胸騒ぎはまだ止まってはいなかった。