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通信障害の裏で

作者: 夢神 蒼茫

 昼間は鍋の中にでも放り込まれたかのような暑さが続き、人類が生み出した最高の叡智“空調(エアコン)”がなければ、おそらくは自分は死を迎えていたことだろう。そう考える女性が一人、電車の駅の前に佇んでいた。

 しかし、今は夜だ。すでに時計の針は九時を回っており、冷ややかな風が山から下りてくる。

 そう、駅は駅でも、“ド田舎”の駅だ。周りには何もない。コンビニなどという小洒落た文明の建造物がないのはもちろんのこと、闇夜を引き裂く街灯すらあまりない有様だ。側の駐輪場には、置き自転車が数台並んでいるだけで、タクシーの待ち列などあるわけがない。


「どうすんのよ、これ」


 春香は頭を抱えた。普段使っている高円寺駅ならば、こんな状態にはなるわけがない。九時を回った程度ならば、余裕で店は開いているし、タクシーだっている。これだから田舎は嫌なんだと、改めて感じた。

 現在、春香は帰省の真っ最中である。大学進学の際に東京に出て以来、ずっと都内住みを続けていた。数年に一度、気の向いた時には実家に戻って来るが、懐かしさは覚えるものの、戻って腰を据えようなどとは考えたこともない。

 とはいえ、いいこともある。とても涼しい風が吹き抜けていることだ。都会では決して味わえぬ澄んだ風だ。コンクリートジャングルに熱せられた東京砂漠、今のあそこは間違いなく灼熱地獄だ。人類の許容限界を超える排熱が溜まり、人々を茹で上げる。空調がなければ、まず干からびるであろう。

 ジャングルなのか、砂漠なのか、はっきりしろと春香は心の中で悪態をつく。

 しかし、それでも春香を含めて、多くの人が東京を離れない。職にありつけるし、なにより文明の利器に囲まれた生活を手放したくないからだ。実際、現在進行形で田舎特有の不便さを大いに味わっている真っ最中だ。

 だが、今回はそれに拍車がかかっていた。乗っていた電車が信号機の故障に遭遇し、見事に足止めを喰らってしまった。結果、頭の中で組んでいた乗り継ぎ予定表に乱れが生じ、乗るべき電車に置いてけぼりを喰らうこととなった。

 都内の電車であれば、待っていればすぐに次の電車が来る。しかし、今日利用したのは“ド田舎”の電車である。一本乗り遅れれば、さて次は一時間後か、それとも二時間後か、という有様だ。

 結果、七時過ぎには到着する予定が、二時間ほど遅れて到着となったのだ。

 しかも、不運はスクラムを組んで怒涛の如く押し寄せてきた。ケータイの通信障害である。現在、春香の使用しているEU社の携帯電話は通信障害により、使用できないようになっていた。調子が悪かったのは、朝に都内の家から出る時には気付いていたが、こんな事態になることまでは考えてもいなかった。

 しかも、途中の乗り継ぎ駅の待合室のテレビで知った事なのだが、よりにもよってEU社の端末のみが使用不能らしく、他社の物は普通に使えるということであった。

 いっそ、これを機に他社に乗り換えようかとも考えたが、社会人になった直後からEU社を使い続けた愛着もあるし、手続きも面倒だし、長年の親友らも全員EU社であるし、乗り換えはどうかな~、などと考えたりもした。

 だが、問題は今現在の状況をどうするか、だ。駅は無人駅で人がいない。開いている店もない。通行人もなし。そして、ケータイは通信障害により使用不能ときた。

 もし、電話が使えるのであれば、親や地元の友人らに連絡を取って、車で迎えに来てもらうという手段もとれた。あるいは、タクシーを呼ぶことも可能だ。

 しかし、現在の状況ではそれは不可能だ。歩いて実家に向かおうにも、暗い夜道を二時間近く歩くことになる。とてもではないが、それは嫌であった。

 春香の脳内では“イクゾー”の歌声が響き渡っていたが、深刻な事態に進展があるわけでない。どうしたものかと周囲を見回すと、“絶滅危惧種”に指定されてもおかしくない、“かつての”文明の利器が目に飛び込んできた。すなわち『公衆電話』である。


「あれ使えば、連絡とれるわね」


 春香は街灯に照らされてポツンと佇む電話ボックスに駆け込み、そして絶望した。こんな時に限って、小銭がないのだ。十円玉も、百円玉もない。あるのはお札や五円玉。


「ありがとう、おサイフケータイ。あなたのおかげでお金を持ち運ばなくてすんだわ」


 皮肉を込めて、春香は自分の手に持つスマホに語り掛けた。普段は現金をあまり持ち歩かないが、田舎では電子決済ができない店もありそうなので、念のために諭吉様にご足労願ったのだ。店でも開いていれば万札を崩すこともできたであろうが、あいにくそんなものはない。千円札でもあれば、駅構内にある自動販売機で飲み物でも買って、百円玉を調達することはできた。しかし、今は万札のみ。


「あ、そうだ。切符買って、万札崩せばいいんじゃないかしら」


 そう考えると、春香は駅に戻ったのだが、やはり田舎の壁は恐ろしいほどに分厚かった。

 駅の切符は自動販売機で、千円札しか入らない。横に据えてある両替機には“故障中”の張り紙。そして、“御用の際は車掌までお申し出ください”ときた。


「どこにいるのよ、その人。ったくもぅ!」


 万策尽きた。理不尽極まるこの状況に、嫌な意味で東京の友人らに土産話ができてしまった。特に、学生時代からの友人には、きっと大笑いされることだろう。

 ふと、親友二人の顔が思い浮かび、そして、切り札の存在に思い至った。


「・・・あ、そうだ!」


 春香はここへきて、最後の切り札があることに気付いた。財布を開け、奥まったところに封印しておいた文字通りの切り札、『テレホンカード』である。

 『公衆電話』がレッドリスト“絶滅危惧”なら、『テレホンカード』はレッドリスト“野生絶滅”くらいにはなるかなと考えつつ、春香はとうとうこれを使う状況になったことを悔やんだ。

 このテレホンカードは特別製だ。春香にとっての特別製だ。なにしろ、親友二人と出かけた卒業旅行の写真を元にして作ったテレホンカードだからだ。

 使用回数は105度。完全に未使用だ。記念品としての意味合いが強いし、そもそもこれを作ったのは二十年も前の話だ。皆がケータイを持っており、公衆電話など使った記憶がない。誰が言いだしたか、ネタとして勢いで作ってしまったというのが真相だ。

 その後、春香はお守り代わりとして綺麗に封印した後、財布に入れて常に持ち歩き、友人らとも思い出の品として大切にしてきた。

 だが、そうも言ってられない状況となった。現在の極限状態を脱するには電話で助けを呼ぶしかない。そして、それを可能とするのは『公衆電話』のみ。


「ええい、仕方ないわね。帰ったら、夏枝と千秋には謝ろうっと」


 遥か彼方、東京にいるであろう親友二人に頭を下げ、春香はカードの封印を解いた。記念品を傷物にするのは気が引けたが、迷っていても仕方がない。さっさとこの真っ暗な世界からおさらばしたかった。

 速足で公衆電話の前まで移動し、プルプル震える手でカードを公衆電話に差し込んだ。


 スゥゥゥゥ。・・・ピピィ! ピピィ! ピピィ!


 一度吸い込まれたカードは戻ってきた。

 

「おっと、受話器上げてからカード入れなきゃダメじゃん。何やってんの、私。テヘペロ♪」


 春香は自分のボケに自分で突っ込み、夜風と共に吹き抜ける虚しさに全身を凍えさせた。

 『公衆電話』を使うなんていつ以来だろうか。受話器を手にした春香は記憶を遡っていくと、東日本大震災にまでさかのぼった。仕事の出張で岩手まで出かけた際、運悪く地震に遭遇してしまったのだ。あの時は携帯電話が通じず、無事な『公衆電話』に並ぶこととなり、ローテクも侮れないなと感心しつつ反省したものだ。

 なお、その反省は全く活かされていなかった。十円玉一つでも切り抜けれる状況であったのに、あろうことか記念品を犠牲にして生き延びねばならなくなってしまったからだ。


「まあ、これもまた数奇な巡り会わせということで」


 春香はカードを差し込み、スマホの電話帳を開けた。電話としての機能は現在使用不能だが、電話帳であるならば画面を開くだけで使える。普段ならワンタッチで終わらせれる通話も、今は一つ一つプッシュしていかなくてはならない。


「てか、実家の番号を忘れるとは、私もいよいよ年か」


 四十路に突入した女性には、山からの下ろしはどうも冷たかった。



               ***



「春香が亡くなった!?」


 千秋の悲鳴にも似た声が部屋中に響いた。せっかくの休みだというのに、朝一から聞かされた言葉は、親友の訃報であった。

 ケータイは春香と同じくEU社の物を使っているため、まだ通信できないでいる。今の会話も家にある固定電話を使っていた。

 そして、受話器の向こう側にいるのは、同じく親友の夏枝だ。


「うん、そうなんだわ。春香のお母さんが知らせてくれた」


 夏枝は春香とは高校時代からの付き合いがあった。とあるMMORPGにて同クランに所属していて、大学入学の少し前にオフで始めて会い、そこから意気投合。

 そして、大学で千秋とも出会い、それ以来、ずっと交流してきたのだ。

 春香の母親とは、春香が病気で入院した際に夏枝と何度かやり取りしたことがあったので、その時の番号を控えておいてくれたというわけだ。夏枝はずっと実家暮らしであったため、住所も固定電話の番号もそのままだったのが幸いした。


「通信障害がまだ直ってないから、手間を取らせてしまった。てか、春香の死因もそれが、通信障害が原因なのよ!」


「どういうことなの、夏枝?」


「いやさ、春香が発見されたのは、実家からの最寄り駅なのよ。まあ、最寄りって言ってもかなりの距離あるけどね。で、そこの駅近くにあった公衆電話の前で倒れていたのが発見されたのよ!」


 通信障害なので、スマホが使えない。そこで、電話を掛けるために公衆電話に向かう。なるほど、それは当然かと千秋は納得した。


「んでさ、なんでかは分からないけど、電線が切れて、それが春香に直撃したみたいなのよね。だから、直接の死因は“感電死”ってことになるんでしょうけど、通信障害さえなければ、公衆電話なんかに近寄らなかっただろうし・・・、ね」


「なるほど。通信障害が原因てのは、そういうことなのね」


 確かに、携帯電話が普及したこのご時世にあっては、公衆電話など無用の長物だ。昔はそこかしこに赤や緑の電話が鎮座していたが、今はほとんど見かけることはなくなってしまった。

 何かしらの事情で携帯電話が使用不能になった際以外は、出番が回ってくることはない。


「うん。それで遺品の中に“使用済み”テレホンカードがあったのよ。ほら、卒業旅行の写真で作った、あれよ、あれ!」


「うっわ、懐かしい! そういえば、そんなのあったわね。春香は後生大事に財布に入れて持ち歩いているのは見たことあるけど、私のは金庫に入れっぱなしだわ」


「それを見て、私のことを思い出してくれたみたいで、春香のお母さんがこっちに連絡くれたってわけなのよ」


「何かのお導きかしらね」


 と言っても、通信障害さえなければそんな手間なことはしなくても、すぐに情報は回ってくるはずなのだ。便利な反面、それが崩れると生活環境が崩壊するとは、なんとも恐ろしい物だと千秋はいまだ使えぬスマホを見ながら嘆いた。


「でさでさ、千秋、その話、ちょっとおかしくない?」


「なにが?」


「だって、“使用済み”テレホンカードだよ? あれ、未使用なら105度あるやつだよ。春香、誰とそんなに長電話してたのかってことよ!」


 夏枝の指摘に、千秋は確かに違和感を覚えた。

 そもそも、あれは記念品として、あるいはネタとして作ったテレホンカードだ。使うつもりなど更々なかった。それ以前に、携帯電話を持ち歩いているのであるから、わざわざ公衆電話を使う理由がない。

 今回のような通信障害等がなければ、一生記念品として使われることなどなかったはずだ。

 現に、前に見た春香のカードは未使用のままであった。

 つまり、春香の亡くなった昨夜、春香は新品のテレホンカードを使いきるまで、誰かと長々話していたことになる。迎えを寄こしてほしい状況であるにもかかわらず、それを無視してまで長話する相手とは誰なのか、気になるところではあった。


「気にはなるけど、調べようもないんじゃないかな? 通信記録なんて、私達が閲覧できるわけでもないしさぁ」


「それもそっか。まあ、私は春香の実家に行ってみるわ。どうせ今は無職だしさ」


「あんたの場合は無職って言うか、地主でしょ。実家が都内にいくつ貸しビルや駐車場持ってると思ってんのよ、この分限者ぶげんしゃめ!」


「分限者なんて言葉、きょうび使わないなぁ~」


 遊び人なのは変わらないなと、千秋は笑ってしまった。夏枝は実家が裕福なこともあって、金銭や遊興に関する感覚にズレがあった。出会った当初は随分と振り回されたが、今ではすっかり慣れてしまっていた。ああ、またか、と。


「まあ、その行動力は大したものだと認めるわ。私は明日は仕事だし、夏枝の墓前には機を見て行くことにする」


「親友なのに、冷たいわねぇ~」


「あんたと違って、稼ぎがないと暮らしていけないの! 親兄弟の葬儀なら忌引き休暇通せるけど、友人だとさすがに厳しいのよ」


「ふ~ん、そんなもんなのね」


 労働意欲ゼロ、将来の心配ゼロの夏枝からすれば、働く千秋の大変さは全く伝わっていなかった。


「そういえばさ、夏枝。あなた、例のテレホンカードは?」


「持ってるわよ。お守り袋の中に差し込んで持ち歩いているわ。春香の真似してね」


「あ、そうだったんだ。てっきり、どこ行ったか分からん、とか言うものかと思ってたわ」


「そこまで無神経じゃないわよ、あたし。思い出の品なんだしさ、“四人”の、ね」


 夏枝の言葉に、千秋は表情を曇らせた。その言葉はある意味間違いではない。本来ならば、そのテレホンカードに使われた写真には三人ではなく、四人で並んで移っているはずなのだから。


「冬美が亡くなってから、もう二十年になるのか」


「そんなになるの!? そりゃ老けるわね、あたしらも」


 大学時代の親友グループは春香、夏枝、千秋の三人の他に、冬美というもう一人の同窓生がいた。全員の名前を並べると春夏秋冬となるので、四季ーズなる学生バンドを手掛けていた。全く芽が出ることもなかったが、今となっては相当バカやった学生時代であった。

 そして、冬美は卒業も間近という時期に交通事故で亡くなった。卒論も無事終わり、就職先も決まっていて、のんびり卒業旅行のプランを四人で考えていた時期の出来事であった。

 春香と千秋はすっかり気落ちしてしまい、卒業旅行も取りやめにしようかと考えたが、冬美の分まで楽しもうと夏枝が言い出し、結局三人で卒業旅行に出かけた。

 言い出した夏枝が一番の空元気で、それを見ている他二名は痛々しく感じたが、結局なんやかんやで楽しく旅行ができた。

 そして、卒業の日を迎え、それぞれの就職先へと別々の道を歩んだが、学生時代に過ごした時間は色あせずそのまま残り、余暇を見つけては集まって遊んでいた。

 それが二十年も続いていたのだ。今更ながらに老けたと感じた。


「んじゃ、そろそろあたし、出発するわ。調べてみたら、電車の時間、かなりシビアでさ。一本乗り遅れると、かなり暇を持て余すことになりそう」


「春香もそれで遅くなったんじゃない?」


「かもしれないわね。んじゃ、またね~」


 夏枝は受話器を置き、千秋もまた受話器を置いた。そして、側に置いていたスマホを見つめると、やはり電波状況は最悪のままであった。


「いつになったら戻るのよ。損害賠償モンよ、これ」


 千秋はいまだ復旧しないスマホを放り投げ、それからふと部屋の隅に鎮座している金庫に目が行った。先程話していたテレホンカードが封印されている金庫だ。

 何かに背中を押されるように金庫に手を伸ばし、グルグルとダイヤルを回して鍵を開けた。大したものは入っていないが、割と思い出の品などを入れていたりする。そして、小さな木箱に入れておいたテレホンカードを取り出した。

 そして、それを確認すると、背筋が凍った。


「春香がいない!?」


 元となっている写真には、三人が三保の松原から眺めた富士山を背景にして並んで写真に納まっているはずなのだ。なのに、どういうわけか、春香の姿が消えてしまっている。

 それだけではない。テレホンカード全体になにかうすぼんやりとしたもやのようなものがかかっており、千秋はそれを近づけたり遠ざけたりしながらじっくりと眺めた。

 そして、気付いた。


「ふ、冬美!?」


 そう、靄のかかったあやふやな姿ではあるが、それは冬美の顔にそっくりであった。

 震えた。千秋は恐怖のあまり、テレホンカードを放り投げてしまった。何か見てはいけなものをみてしまった、そんな感じがしたからだ。


「まさか、春香を殺したのは、冬美なの? 私達だけで楽しんでいたことを妬んで」


 突飛のないオカルト的な話だ。だが、それが最も説明のつく話でもあった。千秋自身、親友の急死に気が動転していたし、面前のテレホンカードには冬美が顕現している。そうとしか考えられなくなっていた。

 そして、気付いた。夏枝もまた、テレホンカードを身に付けていることを。

 千秋は慌てて放り投げたスマホを拾い上げたが、まだ通信状態は直っていなかった。

 やむなく、固定電話の方の受話器を取り、夏枝の家に電話か掛けた。一度のコールが何分にも感じられるほどに焦った。だが、電話に誰も出なかった。


「夏枝、出かけるの早すぎ! もう少しのんびりしながら出かけなさいよ!」


 千秋は身支度を急いで整え、触れたくもなかったが例のテレホンカードも財布のカード入れに差し込み、そして家を飛び出した。

 夏枝の向かうのは春香の実家。目的地が分かっているなら、どこかで追い付けるはずだ。

 あるいは、通信障害が直って、どこかで連絡が取れる機会に恵まれるかもしれない。

 とにかく伝えなくてはならない。テレホンカードを使うな、と。



              ***



 夏枝は東京駅に来ていた。乗り換えのためで、駅構内を速足で歩いていた。幸いなことに目的の電車まではまだ時間はあったのだが、逸る気持ちが足取りを早くさせていた。

 そして、目に留まってしまった。『公衆電話』に。

 夏枝は立ち止まり、じっと公衆電話を見つめた。普段なら気にも留めずに横を素通りするだけの存在だ。携帯電話がある限り、あの四角い箱には何の用もないからだ。

 だが、今だけは、今日だけは、何かに引き寄せられるかのように、公衆電話の前に立ってしまった。

 そして、いつも身に付けているお守り袋を解き放ち、中に入れておいたテレホンカードを取り出した。

 千秋が確認したように、夏枝もまた、テレホンカードの異変に気付いた。消えた春香にうっすら浮かんだ冬美、明らかに知っている写真の構図とは違っていた。

 だが、夏枝は千秋と違って、尻込みするようなことはなかった。むしろ、興味が湧いてきた。

 躊躇もなく受話器を手に取り、そして、カードを差し込み口に突き刺した。待っていましたと言わんばかりに公衆電話はカードを飲み干し、受話器からはプルプルプルとどこかに繋がろうとしている音が聞こえてきた。

 まだ、番号は打ち込んではいない。どういうことか、と考えながらも、夏枝は受話器をしっかりと握り、聞き逃すまいと耳に意識を集中させた。

 プチュン、という音とともに、どこかへ繋がった。そして、女の声が耳に飛び込んでいた。


「夏枝、お久しぶり~」


「ん? その声は・・・、まさか、冬美なの!?」


 随分と久しぶりに聞く学生時代の友人の声だ。だが、間違えることはない。なにしろ、冬美はバンドをやっていた頃はヴォーカルをやっていた。様々な音域の声を耳に収めてきた。聞き間違うはずがない。


「そうだよ~。やっとテレカ使ってくれたわね。ずっと待ってたのよ~」


「どういうこと?」


「地縛霊っていうか、物縛霊っていうのかな? ああ、それとも、付喪神的なやつ? とにかく、私はテレカの中に憑り付いたのよ。みんなお揃い、私も含めて」


 記憶の糸を辿っていくと、例のテレホンカードは“四枚”作っていたことを夏枝は思い出した。自分、春香、千秋に渡し、そして、冬美の墓前にお供えした記憶があった。


「私はみんなとずっと一緒が良かった。一緒に卒業旅行が行きたかった。でも、行けなかった」


「ええ、その件は残念だったわ。でも、テレカに憑り付くこともないでしょうに」


「みんな持ってて、私への想いも詰まり、引鉄トリガーになる道具がこれだったから」


「なによそれ?」


 夏枝には冬美の言わんとしていることが分からなかった。だが、同時に察しもした。春香が未使用のテレホンカードを使いきるまで話す相手は、間違いなくこの受話器の向こう側にいる冬美だということをだ。


「私ね、テレカに憑り付いてからずっと待ってたの。誰かがカードを使ってくれるのを。でも、誰も使わなかった」


「そりゃそうでしょうね。記念品を使うわけにもいかないし、そもそもケータイあるし、使う理由がどこにもないもの。憑り付くんなら、もうちょっとマシな物を選ぶべきよね。まったく、そういうそそっかしいところは変わらないなぁ」


「うん、ありがとう。今更ながらにそう思うわ。でもね、こうして、春香も、夏枝も使ってくれた。いいえ、“使わせて”やったもの」


「どういうこと?」


 冬美の声に、夏枝は背筋にひんやりとしたものを感じた。何かが全身を駆け巡り、ブルリと震え、心臓がバクバク激しく動き出した。そして、次なる言葉を待った。


「なんて言うのかしら。怨念、でもないし、孤独感、でもないし、あるいは嫉妬なのかな。とにかく、私はテレカに憑り付いてから、ずっと皆と一緒にいれた。千秋は金庫の中に保管してくれてるけど、春香と夏枝はずっと持ち歩いてくれた。だから、テレカを介して私はジッと見ていたわ」


「そっか、こっちからは見えてなかったけど、冬美はずっとあたしらと一緒だったんだ」


「うん。話しかけても聞こえないもどかしさ、触ってもすり抜ける虚しさ、見ているだけで何もできない口惜しさ、それが溜まっていった。そして、二十年溜まったそれはついに私を目覚めさせた」


「目覚めたって、何にさ?」


「みんなと楽しく過ごす機会を奪われた私は、そう、機械を壊す程度の力を手にしたの」


「ここでまさかの駄洒落!?」


 久しぶりに聞く冬美のバカバカしい会話。あの時の四人はだいたいこうだった。春香と冬美がボケ役、自分と千秋がツッコミ役。そういう感じでくだらない話に興じていたものであった。

 なお、千秋に言わせれば、ツッコミ役は私一人よ、なのであるが。


「私はテレカを介して春香と夏枝に憑り付いた。そして、二人の身に付けている機械を壊せるようになった。それどころか、繋がってさえいれば、機械とリンクする物まで壊せるようになった」


「ってことは、今の通信障害は冬美の仕業か!?」


 現在EU社の端末のみがどういうわけか利用できなくなっており、何かと不便を強いられていた。もし、機械を壊す能力が本物で、リンクしている機械まで壊せるというのであれば、持っているスマホの電波を逆に辿って、EU社の設備も壊せてしまうことになる。


「あんたねぇ、人様の迷惑ってもんを考えなさいよ。どれだけの人間が頭抱えてるか分かってるの?」


「だって、テレカを使ってくれるには、ケータイ全部壊す以外の方法が思いつかなかったんだもの」


「おおう、なんとも短絡的な幽霊様よ」


 自分も大概だが、冬美はさらにその上を行く勢い任せの行動。夏枝としては、苦笑いするしかなかった。


「で、春香は帰省して田舎に戻っていく際に、どうにかしてテレカを使ってくれないかと、あれこれやったわ。春香が乗っている電車を介して信号を狂わせ、遅延させてみたりね。両替機は最初から潰れてたけど」


「おいおい。電車を故意に止めるのはあれだぞ。結構な額の損害賠償がだな」


「霊だから、支払い義務はないわよ」


「なんという屁理屈!」


 緊張もほぐれてきた。やはり友人と話すのは楽しいし、それが別れも告げずに亡くなった人であればなおさらだ。夏枝はこのくだらない会話が続いてほしいとも感じるようになった。


「機械をぶち壊す幽霊って、ええと、あ、あれか、グレ●リン! ゴー●デン洋画劇場で見た記憶あるわ。まあ、あの映画のは見た目可愛いやつだったけど」


「元ネタは機械にいたずらする妖精だけどね。GS●神でもそう描かれてたし」


「また懐かしいものを」


 まるで二十年分の時間を遡ったかのような錯覚を夏枝は覚えた。アニメや漫画、ゲームに音楽、グルメ、他愛無い話に華を咲かせ、そして、溜まっていく課題に頭を抱える。そんな学生時代の思い出が頭の中を駆け巡った。

 そして、夏枝は現実に引き戻される。それはいわゆる、“走馬灯”を肌で感じたからだ。


「あ・・・」


「夏枝、そろそろ時間よ。長々と電話、ありがとう。でも、これからはずっと一緒だよ」


「それはどういう・・・」


「テレカの残り回数見て」


 夏枝は冬美に促されるままに、公衆電話に表示されているカードの使用残量を見た。そして、驚愕した。すでに“10”を切っていたからだ。


「え、どういうこと? もうおしまいなの?」


「そりゃそうでしょう。遠くにかけたら料金は高くなる。当たり前じゃない」


「ああ、それもそうか」


 冬美の説明に納得したが、それでも回数の減りがあまりにも早すぎた。9、8、7・・・。


「これは?」


「カウントダウン」


 6、5、4・・・。


「カウントダウン? 何の?」


「もちろん、命の」


 3、2、1・・・。


「そう、あなたの命」


 そして、表示が“0”になった瞬間にそれは起こった。公衆電話の真上、何かが爆ぜた音がしたかと思うと天井が崩落し、配管や建材が落下してきた。

 夏枝は逃げる間もなく、それらに潰され、そして、命を落とした。



                ***

 

 

 千秋もまた東京駅に着いていた。春香の実家へ向かうなら、色々と乗り換えていく必要がある。東京駅も乗換駅の一つ。もし間に合えば、ここで夏枝と合流できるはずだ。

 千秋はそう考え、人込みをかき分けながら目的のホームへ急ぎつつ、夏枝の姿を探した。

 その途中、なにやら人だかりができている場所を見つけた。危ないから下がって! と言う駅員や警察、そして、救急隊員の姿。

 嫌な予感がした千秋はそちらに向かって駆け出し、がれきの山を見つめた。


「何かあったんですか?」


 千秋は隣に立っていた男性に話しかけた。


「なんか、天井が急に崩れちゃったんだとさ。ほら、『公衆電話』かけてる人がいたみたいで、それに巻き込まれたんだと。きっとEU社のやつ、使ってる人だったんだろうな。普段、『公衆電話』なんて、誰も使わないし。不運なことだ」


 千秋は説明を聞いて絶望した。『公衆電話』と『突然の事故死』、これは春香の死んだときの再現だ。そして、目の前のがれきの下にいるのは夏枝であろうと確信した。

 震える手で財布を開き、カード入れに差しておいた例のテレホンカードを確認した。

 思わず声が出そうになり、慌てて口を塞いだ。そして、見てしまった。

 そこにいたはずの、夏枝の姿が消えてしまっている。そして、先程よりさらに鮮明に、冬美の姿が浮かび上がっていた。


「冬美・・・。夏枝・・・」


 何がどうなっているのか、千秋は混乱して頭の中が整理できていない。だが、これだけは確実に分かっていた。

 『公衆電話』にテレホンカードを差し込めば、なにかが起こる。そう感じた。

 千秋は『公衆電話』を探した。今、目の前にある電話は、物理的に使用不能になってしまっている。

 駅を駆け回り、途中駅員にも聞いて、そして、ようやく見つけた。

 何が起こるかはわからないが、何かが起こることだけは確実だ。千秋は周囲をキョロキョロしながらゆっくりと電話に近付いた。

 深呼吸しながら気持ちを落ち着け、受話器を手に取った。そして、テレホンカードを差し込んだ。

 プルプルプル、番号を打ち込んでないのに動き出した。これはどういうことかと動揺したが、千秋は受話器を耳に当て、繋がるのを待った。

 そして、繋がった。


「やっほ~、千秋。お久しぶり~」


「冬美! 冬美なのね!?」


 懐かしいが、聞きなれた声が受話器の向こう側から聞こえてくる。動揺と歓喜が交互に押し寄せ、千秋の心を揺さぶった。泣いていいのか、笑っていいのか、判断に悩むところだ。


「答えなさい、冬美! 春香と夏枝を殺したのはあなたなの!?」


 聞きたくはなかった。でも、聞かなくてはならなかった。事の真相を知らなくては、話を繋いでいくことはできないからだ。


「ちょっと違うかな~。千秋、私はね、ずっと行きたいところがあるのよ。だから、二人を誘ったのよ」


「行きたいところって?」


「卒業旅行」


 冬美の一言は千秋の心臓をドンと叩いた。そんな感じがするくらい、衝撃的で、苦しい一言だった。

 そもそも、卒業旅行にどこへ行こうかという話になったとき、静岡に行きたいと提案してきたのは冬美だったのを思い出した。


「敵国駿河の富士の山を我が手に! 海側からの眺望も、いっそ我が甲斐の国が貰い受けようぞ。信玄公万歳!」


 などと冗談めかして話していた。それに他三名も乗っかった形だ。山梨県民による敵情視察、それが卒業旅行に込められた裏の事情だ。

 もっとも、そんなものはただの冗談であり、本当は四人で騒いで楽しめれば、どこへだって行った事だろう。四人で赴く先が、卒業旅行なのだから。

 だが、結局、三人で行くことになった。旅行の直前に、冬美が事故で亡くなったからだ。


「私は行けなかった卒業旅行に行きたいの。春香、夏枝、そして、千秋、あなた達と一緒にもっと遊びたかった。騒いで、はしゃいで、バカやって、笑っていたかった」


「うん。それは分かる。私も冬美ともっと遊びたかった」


 これは千秋の本心であった。事故でいきなり親友を失うのは辛すぎた。それでも、空元気で乗り越えて、時間と共に落ち着いてきて、今に至っている。その時計の針を元に戻そう、それを強引にやろうとしているのが今の冬美だ。

 できる事なら、それを叶えてやりたい。冬美を置き去りにして、三人で出かけてしまった負い目のもある。でもそれは、“死”を受け入れることに他ならない。

 なぜなら、死んだ人間は生き返らず、自分も死ななければ死者と対面すること会話することも叶わないからだ。

 ただ一つ、『公衆電話』と思い出のテレホンカード、この組み合わせという例外を除いて。

 死者に魂が引きずられそうになる。ああ、春香や夏枝もこうやって死を受け入れたのか。冬美というかつての友人を選び、私という今ある友人を捨てたのか。

 そうか、これが嫉妬か。冬美はずっとこの感覚を背負って、私達を見ていたのか。これは苦しい。二十年もの間、これと戦ってきたのか。


「千秋ぃ~、あなたもこっちおいでよ」


「その声は春香!?」


「そそ。いやぁ、まさか禁を破って使ったテレホンカードで、こんな事態になるとはね。インド人もビックリだわ」


 この喋り口調や声色、間違いなく春香であった。千秋は揺れた。死んだはずの人間と交信できる。そして、あちらは意思疎通ができている。つまり、死を受け入れれば、昔の仲間が揃うということだ。


「千秋ぃ~、さっきぶり。千秋もこっち来なよ。また、四人でバカやろうよ」


「夏枝・・・」


 先程まで電話していた夏枝まで受話器越しに声をかけてきた。ますます千秋は揺れた。本当にみんな、あっちに行ってしまった。自分だけが受話器のこちら側にいる。

 ああ、そっちへ行ってしまいたい。また冬美も交えて、四人で遊びたい。その誘惑が千秋を揺さぶった。

 だが、千秋はそれを拒絶した。


 ガチャンッ! ピピィ! ピピィ! ピピィ!


 受話器を元に還し、テレホンカードが吐き出された。

 死者に飲み込まれず、千秋はこちら側に戻ってきた。息は荒い。まるで水底に沈められて、ようやく這い上がってきたような、そんな感覚だ。

 カードの残量はすでに“30”を切っていた。あるいは、これがお迎えの合図なのかもしれない。そう千秋は感じた。

 だが、現世に戻ってきたはいいが、これからどうしようというのか。千秋は恐怖した。

 誰もいない。自分だけが、こっちに戻ってきてしまった。

 二十年以上付き合ってきた親友は、冬美に捕られてしまった。もちろん、冬美も親友だと今でも思っている。でも、そこに言い知れぬ妬みと寂しさが心を埋めていった。

 今、間違いなく自分は、先程までの冬美の立場を押し付けられた。長年の友人がすぐ側にいる。でも、話しかけることも触れることもできない。ただ見ているだけ。すぐ側にいることが分かっているのに、何もすることもできなければ、何かしてもらうこともない。

 でも、あちら側は違う。今、あちら側には、春香がいる、夏枝がいる、そして、冬美がいる。三人仲良く並んで、こちらを見ているだろう。なにかしら談笑しながら、こちらを見続けていることだろう。

 それを感じる。しかし、感じても何もできない。友人達に見つめられていようとも、何もできない。

 そもそも、自分はなぜ、こちら側に戻ってきてしまったのか。

 側にいる三人以外にも友人はいる。勤め先の友人、地元の友人、実家近くの友人、色々といる。一緒に出掛けたり、遊んだりもする。

 しかし、なにか物足りない。結局、大学時代の四人組以上の集まりは出来なかったのだ。

 両親はすでに亡く、実家には疎遠な弟がいるだけ。男を作ることもなく、結婚もしていない。悠々自適に一人で過ごし、余暇を見つけては遊び回る。そんな日常だ。

 だが、もうその日常が望めない。一番盛り上がる大学時代の親友は、揃いも揃ってあっち側に行ってしまったからだ。

 孤独が、嫉妬が、虚無が、千秋を締め上げた。

 だが、同時にこれから解放される手段も手の内にある。右の親指と人差し指で摘まんでいるテレホンカードだ。これを目の前の『公衆電話』に入れるだけでいい。また話すことができる。

 千秋の手は自然と受話器を掴み、持ち上げた。カードを差し込み、受話器を耳に当て、そして、繋がるのを待った。

 プルプルプルという機械音の後、その声が千秋に耳に刺さった。


「も~、千秋ったら、いきなり電話切っちゃうんだもの。ひどいな~」


「あ、ご、ごめん、冬美」


 なぜか謝って、電話に向かって頭を下げた。日本人の習性か、見えない人に頭を下げてしまう。


「千秋、さっきの続きだけどさ、卒業旅行、どこ行こうか?」


 9・・・。8・・・。


「静岡でいいんじゃない? 今度こそ、四人で」

 

 7・・・。6・・・。


「いいね。富士山制圧した後は、浜名湖の鰻食べたいわ」


 5・・・。4・・・。


「伊豆の温泉なんかもいいわね」


 3・・・。2・・・。


「いいね! 楽しくなってきたわね、卒業旅行! やっとみんなと逝ける!」


 1・・・。0・・・。


 そして、カードの残数はゼロとなる。



              ***



「ニュースです。先日から続いていたEU社端末の携帯電話が使用不能になっていた問題ですが、先程復旧したと同社の担当者より発表されました。また、今日の午後より田端真一代表取締役の会見が予定されており、今後の対応について発表されるとのことです」


「続いて、たった今入ってきたニュースです。先程、東京駅にて爆発が“二か所”で発生し、騒然とした状況になっているようです。どちらも、天井が崩落して、真下にある公衆電話を使用中であった女性が二名、巻き込まれて死亡した模様です。施設の老朽化が原因ではとの見方ですが、警視庁はテロの可能性も捨てきれないとして、厳重な警戒に当たっているようです。また、参院選の投開票が次の日曜日に迫る中、候補者はこのことを聞きつけ、インフラ整備の重要性を訴えたり、あるいはテロ特捜法の強化を訴える候補者が続出し、選挙戦の新たな争点となりそうです」



            ~ 終 ~

最近の若いモンはテレホンカードの使い方も分からんだろう!


等というのは、おっさんだけですな。年齢バレるぞ、おい。


まあ、通信障害云々の話を聞いて、ちょっとホラーチックに仕上げてみた作品です。


構想一日、書き出し一日の即興の作品ですが、読んでいただけたら幸いです。


貴重なお時間をありがとうございました。


(∩´∀`)∩


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[良い点] 懐かしの公衆電話からのゾクゾク感。惹き込まれました! [一言] 面白い作品をありがとうございました。
[良い点] 展開が気になってどんどん引き込まれました! なにも知らずに連れていかれた春香に対して、全てを知ったうえで行った千秋。読み手としては「だめだよ千秋ー!!」という気持ちでいっぱいでしたが、抗え…
[良い点] 通信障害から思わぬ方向に展開していくストーリー展開に驚きました。友情って、時に怖いですね。
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