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Thank you for changing my sex  作者: 藤川
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第7話  身体測定

 

「今日も学校生活頑張らないと」


 バスの中で見慣れている景色をボーっと眺めていたら、ポロッと声に出してしまった。

 昨日の入学式では多少想定外の事はあったが、まだ2日目だ高校生活は3年間。ちょっと失敗したぐらいで屁堪(へこた)える事はない。それに、初日に西園さんという友達はできた。これからドンドン友達を増やしていって、普通の生活を謳歌してやりたい。けど、ことごとく失敗して逆に目立った結果になってしまう。


「やっぱり私は普通にはなれないのかな」


 今日は穏やかに過ごしてと思いたいが、今日もあるんだよな……イベントが。憂鬱な気分になってきた。


「はぁ……」


 ため息が出てしまった。私はいつか、自分の環境を嬉しいと思う時がくるのだろうか?いや、多分こないだろう。あの女に感謝するのは真っ平ごめんだ。

 前を見ると、信号の色が真っ赤に輝いていた。



 2



 学校に到着して、教室に入る。今日も教室は賑わっており、皆んなお喋りに集中している。

 同じクラスの女子生徒に軽く挨拶をして、自分の席に着く。


「おはよう!心!」


「おはよう、西園さん」


 後ろの席から元気いっぱいな挨拶が飛んでくる。西園さんも今日も絶好調の様子だ。


「あ、長嶺さん、おはよう。昨日はごめんね」


 西園さんと話をしていたら声をかけられた。昨日の自己紹介である程度誰が誰なのかは認識している。この人は河瀬莉音(かわせりおん)さん。昨日私の胸を揉ませて欲しいと言ってきた人だ。

 見た目はギャルだな。2日目にしてもう着崩ししており。シャツはボタンを2個ほど外し、スカートも短く、露出度高めの格好になっている。化粧もしっかりと、髪には赤い花のアクセサリーをつけてバリバリに決まっている。


「おはよう、河瀬さん。昨日のことはもう大丈夫」 


 あれに関しては私の意思の弱さにも関係している。河瀬さんが気に止む必要はもうない。私もスキンシップには慣れていかないといけないな。



「そう、なら良かったわ〜、あ、そうだ長嶺さん今日ある身体測定一緒に回らない?」


 長嶺さんの言葉で忘れていたものを思い出した。今日は全校生徒合同の身体測定がある。身長や体重色んなものを4時間使って測っていく。1年生だけでも約300人いるから時間が掛かって仕方ない。


「私ね、長嶺さんともっと仲良くなりたいの!できれば友達になりたい」


 急な友達の申し込みがきた!ちょっとビックリした。確かに朝ドンドン友達を増やしていきたいと思ったがこんなにはやくきてしまうとは。


「だから!友達になろう!」


 どうしたものだろうか?河瀬さんは私が思うに結構目立つ存在だと思う。友達になれば私も更に目立ってしまうのではないだろうか?……いや、待てよ。一緒に居れば逆に河瀬さんの魅力で薄れてしまうのでは?……それは良い!やっぱり友達になる理由が最低だとは思うが、許してください。


「うん!友達になろう」


「やった!じゃあ一緒に回ろうね!」


「お、なら、俺も一緒に回っても良いか?」


「西園さんも一緒に回る? いいね!いいね!」


 西園さんも楽しそうにしている。明るくて分け隔てやく接してくれる河瀬さんは人を笑顔にさせてくれるなぁ。


「やった!じゃあ更衣室で会おうね!」


「うん、まだ後でね」


 河瀬さんは手を振りながらそう言うと、挨拶をしに行ってしまった。まだ2日目だと言うのに全員が友達かのような素振りで話しかけている。コミュケーション能力高ッ!


「莉音も凄いな、全然動じてない」


「確かに、そうだね」


 皆んなから信頼されていて、話している人も楽しそうな顔をしている。河瀬さんの持つカリスマ性にも直結しているんだろうなぁ。河瀬さんみたいな人が一番目立って欲しいと切実に思う。河瀬さんともこれから楽しくやっていこう。話してかけてくる人は今はいない。

身体測定が始まるまで西園さんとお喋りでもしていよう。


「ねぇ、西園さん……」



 3



 場所が変わって現在更衣室。身体測定のため体育着に着替えている。


「身体測定って、憂鬱だよねぇ、毎年体重と睨み合ってるよ」


 河瀬さんが唸っている。


「そうか!まぁ気にすんなよ。体重なんて運動すれば減るもんだよ」


 西園さんが高らかに笑っている。


「長嶺さんと西園さんは無縁の存在だよね」


 そんな事ないと思うなぁ。私だって体重には気をつけている。男に戻った時に体重変動があったら嫌すぎるからな。さて、体は女の私はもちろん女子更衣室を使っている。周りは女子生徒ばかり。元男の私にとっては過激すぎる光景……というわけもなく。普通に着替えている。

 約2年も女性でいたのだ、お風呂やトイレの時に女性の裸なんてもう嫌というほど見た。初めて見た時はぶっ倒れそうなぐらいに興奮しなけど。おかげで女性の体を見ようが特になんとも思わなくなった。今の状況では嬉しいが、男に戻ったら最悪だ。


「俺はもう着替え終わったぜ」


 西園さんはもう着替え終わったようだ。私も早く終わらせなくては。


「早いな〜西園さんはごめんね、私達も早く着替えちゃうから」


「気にすんなよ、俺は体育着に着替える事が多いから早いだけだ」


 確かに西園さんはスポーツをやっていそうだ。運動神経良さそう。


「はは、確かに西園さんスポーツやってそう」


 やっぱりそう思うよな。


「よし、着替え終わったよ!」


 河瀬さんも着替え終わったみたいだ。私もあともうちょっとで体操着に着替え終わる。


「私も着替え終わった」


「よし、じゃあ行こうぜ!」


 西園さんに手を引かれて河瀬さんと3人一緒に体育館に向かう。


「おい、見ろよ、噂の長嶺心だよ。体育着姿も良いなぁ!」


「やっぱり綺麗だよなぁ。俺告ってみようかな!」


 向かっている間も色んなものが私に降りかかる。


「やっぱり、長嶺さんは人気者だね」


「だよなぁ、凄いぜ」


「けど、隣にいるギャルっぽい子も結構可愛いなぁ。もう1人いるけど、男っぽいが長嶺さんと一緒ってことは同じ女だよな」


 西園さんは初見だと分からなくなるよね。ポニーテールで性別は一応判断できるけど。


「あはは!俺は確かにどっちか分かりにくいよなぁ!」


 本人も認識済みみたいだ。


「やっぱり長嶺さんは注目されているねぇ」


 あはは、河瀬さんと一緒でもやっぱり目立ってしまうんだな。それでも河瀬さんとは友達でいたい。ちょっとの時間だけしか入られてないけど、結構楽しい。青春してるって感じがする!!あとは目立たなければなぁ……


「どうしたの?長嶺さん?はやく行こう!」


「そうだぜ!心!はやくいってさっさと終わらせちまおうぜ」


 まぁ今はこの3人の時間で気持ちに安らぎを与えよう。


「うん、はやく終わらせようね」




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