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5.連続美女失踪事件

「単刀直入に言って、あなたには二つの容疑がかかっています」

「詐欺じゃありません。占いです」

「なるほど……詐欺の認識もある…と」

「チュ…(シャロン喋るな)」

「……………。」


 今日はいつもより客入りが良くて、本当なら今頃ソーセージ以外のお肉を食べているはずだった。

 容疑…とやらは昨日晴れたんじゃなかった?

 手違いだ、とか言ってなかった?


「容疑…は、何ですか。昨日の手違いとは別のものですか」

「ええ…まぁ別のものです」

「はぁっ!?昨日も言いましたけどね!こちらは善良な市民として……!」

「まぁまぁ落ち着いて。その内一つは先ほど消えましたので」

 ニッコリ笑う、その笑顔。

「…………うさんくさ」

「え?何ですか?ちょっと耳が遠いようで」

 嘘つけ!

「……何の容疑ですか」

「(シャロン、ことがことだったら転移だ。準備しといて)」

「(ラジャ)」

「あなたにかかっている容疑は……」

「((容疑は………))」  


 テリーと二人ゴクッと喉を鳴らし、青い瞳の男の次の言葉を待つ。

「……フェザント王国連続美女失踪事件…の主犯です」

「美女……」

「(……美女)」

「……シャロンさん?」

「……は…」

「大丈夫で……」


バンバンバン!!

「あーーはっはっはっはっは!!あーはっはっは!!」

「チュチュチュチュチューー!!!」

「ぶふっ!テリー…美女だって美女…!!くくくっ!」

「チュチュチュ…チュー!!」

「あの…笑いどころがわからないんですが…」

 机をひとしきり叩きながら爆笑すること数十秒、男の困惑声でとりあえず我に返る。

「だ、だって…ねぇ?ププッ、この国には…ふふ、ようじょしかいな……」

「(シャロン!気持ちはわかるけどストップ!ククッ)」


「………シャロンさん?笑っている場合ではありませんよ?」

「え…?」

 涙をふきふき目の前の男を見ると、ニコニコ顔の周りから冷たい風が吹いて来る。

 とりあえず只事では無さそうなので姿勢を正す。

「あなたにかけられているのは、人身売買の容疑です」

「じんしん…バイバイ?(じんしん、どっか行った系?)」

「ブッ!(人間の売り買いの事だよ!大馬鹿!!)」

「は?その、人間の売り買いに私が…なんですか?」

「…?ああ、売買の首謀者…犯人が、あなたでは無いかと疑われています」

「………は?」


 頭を殴られたような衝撃。

 何で私が?この国の幼女…じゃなかった、美女を?

 売り買い?薬の材料ってこと?

 

「ええと…私、どうなるんですか?」

 場合によってはいったん転移して…後で記憶消す…?

 いや、でもどこまで私の情報が行き渡ってるのかわからないし、一人ずつやってちゃキリが無い。

「そうですね……。疑いが晴れなければ、よくて拷問のち処刑。悪ければ拷問のち公開処刑ですね」

 処刑…!!

「火あぶりは嫌です!痒いので!」

「は?」

「疑いを晴らすにはどうすればいいんですか!?」

「…晴らしたい?」

 決まってるでしょ!?何言ってんのこの男!!

 私はコクコク首を縦に振る。

「そうですねぇ……」

 男がもったいぶる。

「…占い、してもらえませんか?」

 ……は?


 


「はい、それではこれでお願いします」

 意味は分からないが、お金を払ってくれるならばやってやらない事も無い。なんせ私の細腕にはテリーのお肉がかかっている。

 チャリチャリッと男から手の平に乗せられた硬貨を頭の中で数えてみる。

 1枚…2枚…3枚…

「3枚!?銀貨3枚!?きゃー!お肉に厚み♪厚みっ厚み♪イチゴ!メローーン!サクランボーー♪♪」

 銀貨なんて初めて見ちゃった〜!この家借りる時も全部銅貨で払ったもーん。ピカっとしていい色〜……

 私は回る。クルクルと。

 テリーの白けた顔なんて気にならなーい!


「初めて聞く歌ですね」

 え……?

「うわぁ!あなたいつからそこにいたんですか!?」

「…………あなた、大丈夫ですか?」

 しまった銀貨に我を忘れてた!

「…ちょっとした…儀式です」

「…儀式…。そうです…か」


 いかんいかん、仕事はちゃんとせねば。

「尋ね人は一人につき銅貨4枚なので…ええと、私は銀貨を3枚もらいました。さて、探す人は何人でしょう」

 頭の中で考える。えーと…銅貨10枚で銀貨1枚…それが3枚で……

「あーー!!頭が割れる!!テリー助けて!!」

「チュー!!(アホかー!!)」

「あ、わかった!じゅう…に、さん?」

「…7人です」

「7人!!ほうほう。7人…。え、あとは体半分ぐらい割れちゃった人の分?」

「……(お釣り渡して)」

「あ、お釣りは結構ですよ」

「ほら!」

「え?何ですか?」

 

 尋ね人7人。この数字が意味すること。

 テリーの言う通り私はお馬鹿らしい。

 あんまりよくわかっていなかった。


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