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88話 チームクエスト

タウロ達は薬草採取の専門集団として冒険者ギルドダンサス支部ではそれなりに有名だったが、そこに将来有望なエアリスが入った事で、変な目立ち方をする様になった。


元々子供に大人二人が引っ付いている状況も不思議な光景だったが、まだ、薬草採取が目的の低ランクだったから良かった。


そこに後衛としてマルチなスキルを持つエアリスの加入は、一部の連中からは宝の持ち腐れ、と囁かれ始めた。


「気にしない気にしない。みんなF+に昇格したし順調だから、Eランク帯になった時に驚かせよう。」


エアリスがこの囁きに反応しそうだったのでタウロが宥めた。


「そういえば、なんでタウロ…は、F+から昇格しないんだろう?」


シンが慣れない呼び方に引っ掛かりながら、疑問を口にした。


「そう言えば、そうだな。もう、上がってもおかしくないよな。追いつくとは思わなかった。」


ルメヤもシンの言葉に疑問を持った。


「タウロは私達に合わせて昇格を断ってるのよ。」


タウロはギョッとした。

誰にも気づかれない様にクロエに直接断っていたのだ。

何時、みられたのだろうか?と、内心焦った。


「…でしょ?タウロ。」


なんだ、予想だったのね、ストーキングされたのかと思った…!


タウロはホッとした、仲間にストーキングされたら今後が怖い。


「1人で上がっても、やる事は変わらないから。ほら、さっさとクエストを選んで出かけよう。」


3人はその言葉に頷くと、


「照れ隠しだな。」


「そうね。照れ隠しだわきっと。」


「二人とも、本当の事を言ったらタウロが恥ずかしいだろ。」


と、ひそひそと話す、絶対わざとだ。


「本当に止めて恥ずかしいから!シンもフォローになってないから!」


タウロは赤面するのだった。




冒険者ギルドでチームを組んでいると得な事は多い。

チーム向けのクエストを受けられるからだ。

ソロでは出来ないクエストは多い。

タウロはずっとソロだったが、チームクエストはソロが募集で集まって急造での経験がほとんどだった。


そんな自分がと思うと、ちょっと感慨深いものがあった。




チームクエストの中に、Eランク帯からFランク帯へのチームクエストがあった。


コボルトと狂犬マッドドッグ討伐だ。


そう言えば以前にもコボルト退治を受けたが、最近増えてるという話は聞いていた。

Eランク帯まで範囲になってるのは、大量発生に伴い、上位種が誕生する前に掃討しようということだろう、それに、この村のギルドでは、Fランク帯チームは現在、うちだけだ。


クエスト募集の結果、Eランク帯チームは2チーム、そして、タウロ達Fランクの計3チームだった。


早速、3チームは一緒に依頼主である隣村に向かう事になった。


「地味に狂犬がいるのは、嫌だな。」


Eチームの1人が、ぼやいた。

狂犬自体は退治するのはそう難しくないが、コボルトと一緒だと足元でちょこまかされて退治が面倒臭いのだ。

不利と思うや逃げるし、そうなるとクエストによっては、任務不達成になることもある。

今回は、狂犬も討伐対象なので、ちゃんと狩らないといけない。

逃げられたら、報酬にも影響する。


「今回、まずは狂犬を狩りつつ、コボルト討伐でいいか?」


Eチームのリーダーが他チームの自分達に提案した。


「そうだな、それが無難か。」


「わかりました、うちもそうします。」


本当ならFランクである自分達が中心になって狩るところだが、それだと報酬にも影響があるし、何より、メンバーのメンツが立たない。

特にエアリスは納得してくれないだろう。

そういう意味でEランクチームの方から提案してくれて良かった。


「じゃあ、戦闘になったら俺が狂犬どもを集めようか?」


ルメヤが提案した。


「そんな事できるのか?」


Eランクのリーダーが驚いて聞いてきた。


「前に、逃げる狂犬に『挑発』使って成功したから大丈夫じゃないかな。」


「『挑発』?それは何の能力だ?」


『盾』スキルはあんまり好まれるスキルではなかった。

当人であるルメヤもそうだったが、盾はあくまで戦闘で一時的に身を守る程度のもので、攻撃こそが重要と考え、積極的に上げるスキルではないという考えが一般的だった。

なので、盾職がいるパーティーはほとんどいない。

盾を持っている冒険者はいくらでもいるが、盾職ではないのだ。


「『盾』スキルを上げると覚えるんだ、敵の標的を集める能力だ。」


「『盾』!?珍しいスキルを上げてるんだな…。とにかく出来るなら任せる。」


馬鹿にこそしなかったが、驚きを隠せず、ルメヤの持つ大きな盾をまじまじと見ながら言った。


この後、戦闘になるとルメヤの活躍にEランクチームは驚く事になる。

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