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87話 チームのひと時

受付のクロエに手続きをお願いすると、薬草採取のクエストだけ受けて4人は外に出た。


クエスト先に向かいながらタウロは、今後について提案した。


「じゃあ、後衛はエアリスに任せるとして、僕は『気配察知』があるから索敵や弓矢や小剣で中距離を担う事にするね。シンさんとルメヤさんは、これまで通りで。」


「え?タウロは大丈夫なの?今まで二人の後衛してたんでしょ?」


エアリスが、タウロが役割を変わる事で大変ではないかと気を遣った。


「僕は、一応、ほとんどの武芸の立ち回りは学んでるから大丈夫だよ。非力だけど前衛をやれと言われればやるし。」


「そうそう。タウロ君は、俺達に前衛の立ち回りを教えてくれたんだぜ。何の問題も無いさ。」


「確かに、タウロ君の知識や経験量は凄いからね。」


ルメヤとシンはタウロを保証した。


「さっきから、気になってたんだけど…。もう、チームなんだし、”さん”とか”君”とか付けるの止めようよ。仲間じゃん。というか私だけ呼び捨てにされてるのもおかしくない!?」


エアリスがタウロにツッコむ。


「それは、ほら、もう、会わない人かなと思ってたから。」


「理由が酷いんだけど!」


タウロとシン、ルメヤは笑いに包まれた。

何はともあれ、4人はお互いに呼ぶ時は名前のみという事になった。


それからの薬草採取の最中は連携についての話し合いだった。

剣のシンが攻撃し、盾のルメヤが攻撃を防ぎ、そして、それを支援するエアリスの3人の息が合えば、チームとして成立するので、その間を自分が取り持つ何でも屋になれば、短時間で連携が取れてスムーズにいくはずとタウロは説明した。


「それだとタウロが大変じゃない?攻撃にも参加して支援もして全体に気を配るって事でしょ。」


エアリスが、心配してくれた。

最初の高圧的な態度はどこへやら思いやりのある子だ。


「僕はそれなりに器用な反面、みんなの様に突出したものがないから、どこか空いてる所を埋める役が、向いているんだよ。」


「ちょっと卑屈に聞こえるけど、言ってる事は理解できるわ。タウロは状況判断が的確だから、みんなの丁度間に入ってくれると安心する気がする。」


エアリスが手厳しい一言があったが、信頼してくれてるようだ。


「あとは後衛役のエアリスだよな。『神官』『魔法使い』『結界師』は具体的に何ができるんだ?俺は、基本、挑発して防いで、敵に隙があればカウンターを入れる事だ。」


ルメヤは自分の役割を、自信満々に言った、最初の頃にタウロに習った基本だ。


盾役は愚直で忍耐強い方が良い。


その点でいくとスキルの組み合わせも、性格もルメヤは向いている。


「自分はひたすら後ろを信用して攻撃する事に集中している。」


攻撃一辺倒の様な言い方をしてるが、シンは攻撃での立ち回りが上手い。

ルメヤに集中する攻撃を間引きしながら敵を倒しているし、どの敵を早めに仕留めるべきかよく見ている。

火力もあるし、ルメヤとは良いコンビだ。

その二人を才能溢れるエアリスが後衛として支援すれば凄いチームになる。


「私は『神官』のスキルで治癒魔法、光(聖)魔法、そして『杖』『メイス』が得手よ。『魔法使い』で得意なのは、風、水、雷だけど、基本は全般使えるわ。『結界師』は結界魔法、防御魔法全般が使える様になるはずだけど、私はまだ使えないものも多いかしら。」


聞けば聞くほど、エアリスがスキルに恵まれてるのかがわかる。

確かにこれは期待されるはずだ。

エアリスは間違いなく後衛のエキスパートになれる逸材だ。

そしてこの3人は、いずれ村を出て、有名冒険者チームになるのも遠くないだろう。


その時が楽しみだなと思うタウロであった。


薬草採取後は連携を考えた実践的なシミュレーションを4人で行ってみた。

『魔法使い』のあるエアリスの先制攻撃が使えるのはやはり良いのを実感する。

物理攻撃しかなかったこのメンバーにおいて、魔法はバリエーションが広がる。

エアリスも自分の役割を考えて提案したり、どう動くべきか意見を聞いてきたりと連携での可能性を模索している。

タウロはそれにアドバイスをし、自分が敵役を買って出て、実際の動きを確認したりと、充実した時間が過ぎていくのだった。

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