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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第676話 英雄チーム「黒金の翼」

 タウロはダンジョン『バビロン』を攻略した『黒金の翼』チームのリーダーの功績という事で、伯爵へと昇爵する事になった。


 チームメンバーには当然ながら、金品も贈与される事になったが、攻略した当人である竜人族のメンバーは全く興味がない様子だ。


 強いて言うなら、タウロが昇爵出来た事で恩を一つ返せてよかったという雰囲気である。


 そんな中、タウロは改めてフルーエ王子と面会して、報告を行っていた。


「本当にタウロはこちらの想像を常に超えてくるな!」


 フルーエ王子は興奮気味に友人であるタウロを称賛する。


 フルーエ王子はタウロの昇爵の場にも居合わせていたのだが、国王である父の手前、でしゃばるわけにもいかず、大人しく見守っていたから、色々と話したくてしょうがなかったようだ。


「いえ、あの場でも申し上げた通り、チームのメンバーが達成した事なので、僕は何もしていないのですけどね?」


 タウロは実際、『迷宮核ダンジョン・コア』の破壊以外、何もしていない。


 それに、三百三十三層という最深部まで到達する事は今の実力では不可能だろう。


 全ては竜人族のメンバーのお陰だ。


 だから、昇爵も報奨金の類も本当はいらないのだが、突然の国王との面会に始まり、多くの参列者のいる中で、昇爵を進められたら断りようがない。


「はははっ! タウロがリーダーを務めるチームの者がダンジョンを攻略したのだ。そんな偉業を成したら、代表者として陛下から褒美を受け取るのも務めだぞ。諦めよ」


 フルーエ王子は自分の事のように喜ぶとタウロを窘める。


 そして続ける。


「今回は丁度、陛下とみなが集まっている場だったから、あの程度で済んだが、本来なら大々的に叙爵式を行って国内外にアピールする式典になっていたと思うぞ」


「……それはさすがに嫌ですよ、殿下」


 タウロはそれを想像してゾッとする。


「だが、それが今回、『黒金の翼』が行った偉業だ。多分、後日、改めて式典を計画する可能性があるから、そんなに嫌なら、何か言われる前に王都を後にしておいた方がいいかもしれないな」


 フルーエ王子は、友人であるタウロが嫌がっているので、アドバイスを送る。


「! それは本当に嫌です。そんな計画が浮上する前に、王都に残るかどうかメンバーに相談しておきます」


 タウロの言うメンバーとは王都に現在残っている攻略組のサポートメンバーであった竜人族の者達だ。


 彼らは攻略組が一足先にジーロシュガー領へ休養を兼ねて向かった後の事務処理を行う為に残っていた。


 もし、式典計画が進められて、タウロ達がいないと彼らがその式典に駆り出される事になるだろうから、相談しておいた方がいいと考えたのである。


「はははっ! そうせよ。──タウロ、国の為に貢献してくれた事に感謝する」


 フルーエ王子は、笑って王族の立場として感謝を述べるのであった。



 タウロはその後、領主就任パーティーを行う事などの報告や王国南西部の各自治区の状況などを報告して、ひとしきり話が盛り上がると、あっという間に時間が過ぎる。


「──それでは、友よ。落ち着いたらまた、会おう」


 フルーエ王子は楽しい時間が終わった事が残念そうであったが、タウロと握手を交わす。


「ええ、殿下もお元気で」


 タウロもそう応じると、退室するのであった。



 その後、タウロは竜人族のメンバーと合流して、王都が騒がしくなりそうである事を告げた。


「……それは、ちょっと、困りますね。私達は攻略組のサポートメンバーですし、タウロ殿もいないのであれば、しばらく王都を離れた方がよさそうです」


「竜人族の村まで送りますよ。もしくはジーロシュガー領でみんなと同じように休暇を取りますか?」


 タウロはすでにジーロシュガー領で竜人族の攻略組メンバーが楽しんでいたから、同様の提案をする。


「もちろん、タウロ殿の治める領地を見てみたいので、行かせてください」


 仲間の言葉に、サポートメンバーは全員、賛同して頷く。


「それでは、ジーロシュガー領に向かいましょう」


 タウロはラグーネに『次元回廊』を開いてもらい、全員で手を繋ぐと『空間転移』でジーロシュガー領へと送り届けるのであった。



 そして、後日、王都では大々的に『バビロン』完全攻略した事が民衆に公表される事になるのだが、その時にはすでにタウロ達は自領に戻っており、主役不在の大騒ぎになっていた。


「何!? 今、『黒金の翼』のメンバーは王都に全員不在なのか!?」


「冒険者ギルドに問い合わせしたところ、全員ジーロシュガー領にいるようです!」


「『バビロン』攻略報告からまだ、一週間も経っていないのにか!?」


 官吏達が驚くのも仕方がない。


 王都からジーロシュガー領まで、馬車で三週間ほどはかかる距離である。


 わずか数日で移動している事が驚異的であったのだ。


 実際には秒で移動していたのだが、それはさらに想像がつかない事である。


 こうして、王都で計画されていた大々的な式典は、主役不在の為、検討の結果、行われない事になった。


 呼び戻すにしても、往復でひと月以上は優にかかるし、その時期はジーロシュガー領で領主就任パーティーが行われるという情報も入手していたので、それに配慮して断念したのである。


 ただし、『バビロン』攻略の立役者が『黒金の翼』である事、そのリーダーがタウロ・ジーロシュガーであり、その功績で伯爵への昇爵を果たした事、さらには冒険者ギルドでの『黒金の翼』のメンバーのランクを引き上げる事などが、国王自ら正式に発表し賞賛した事で、王都中の誰もがあっという間にそれを知る事になるのであった。

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