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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第662話 採掘結果

 蜥蜴人自治区での交渉を無事終えたタウロ一行は、久しぶりに領都シュガーの街に帰郷した。


「今回は、長かったぁ……」


 狼型人形(ゴーレム)であるガロの背中に跨ったまま、タウロ一行は領都の城門を潜っていく。


「数年前に来た時より、雰囲気がかなり良いでしゅ。これは領主の差でしゅね。それに良い意味での賑わい方でしゅ」


 小人族のシャルが前領主ルネスク伯爵と現在の領主タウロを比べて評価した。


 シャルが言う通り、大通りがかなり賑わっている。


 その理由は広い敷地を取って近くに交易所を作ったからではあるが、それとは別に通りの一角に行列ができていた。


「あそこって……」


 タウロ達は凄く見覚えがあった。


 それはそうだ。


 そこはタウロがこのシュガーの街に作ったカレー屋の本店だからである。


 隣にはタウロ自慢の焼き肉のたれを使用したタウロ流焼き肉屋本店も開店しており、この行列はその二店舗から繋がって伸びているものであった。


 行列には地元の人だけでなくドワーフやエルフ、獣人族、小人族と異種族も多く並んでいる。


「凄い人気になっているわね。でも、タウロの考えたお店だもの、当然ね」


 エアリスは驚く一方で、タウロのお店だからこれくらいにはなると納得している様子だ。


「戻ったら新商品を出して、お店の宣伝にしようと思っていたのだけど、まだ、必要なさそうだね」


 タウロは思わぬ大盛況ぶりに笑みがこぼれる。


「新商品!? ボク達も食べられますか?」


 シオンがタウロの言葉に食いついてきた。


「もちろんだよ。城館に戻ったら試してみようと思っていたところだから」


 タウロは応じると、ガロに城館に向かうように指示する。


「がう!」


 ガロは嬉しそうに応じると一行を乗せて、領主の館である城館に向かうのであった。



「お帰りなさいなのです!」


 城館に戻ると、すぐに領主代理を任せているガーフィッシュ商会の従業員で犬人族のロビンが出迎えてくれた。


 傍にはエルフのグラスローが立っている。


「タウロ様、お帰りをお待ちしておりました」


 グラスローは執事姿が板につき、落ち着いた感じで出迎えてくれた。


「ただいま! 僕の留守の間、何もなかった?」


 グラスローの姿を見ると自分が改めて領主である事を自覚してタウロは確認する。


「特に問題はなかったのです! あ、でも、いくつか報告があるのです! 地方に散っていた領都の住民がかなり戻ってきて賑やかになってきた事、それとローガス鉱山長から重要な報告などもあるのなのです!」


 ロビンが生き生きとして報告する。


 早く、商人に戻りたいと言っていたのが噓のようだ。


「お、ついに!? ──詳しくは中で聞くね」


 タウロはこの領地の一番の稼ぎ頭になるであろう鉱山の報告と聞いて、慎重に応じた。


 そこに、


「お、みんな戻ってきたな! お帰り!」


 とすっかり領兵隊の総長として馴染んでいるアンクが現れた。


「「「アンク、ただいま!」」」


 タウロ、エアリス、ラグーネ、シオンが久し振りの仲間に答えた。


 こうして、一堂に会した一行は、一緒に城館に入っていき、留守の間の報告をお互いする事になるのであった。



「──という事で、鉱山は早くも軌道に乗る事になると思うなのです」


 タウロはロビンから、鉱山の報告を聞いて、安堵していた。


 鉱山長のローガスが以前報告にあったオリハルコンが微量ながら採掘できた場所で掘るのを早々に諦め、他の場所を掘ってオリハルコンの大きな鉱石をいくつか見つけたのだという。


 なんでも、変更したのは、


「聞いた割にここはお宝の臭いがしない!」


 という事だったらしく、ローガスの変更した採掘場所が、当たりだったのだとか。


「さすがドワーフだね。採掘は彼らに任せるに限るよ」


 タウロは、鉱山の再開から報告がなかなか来なかったので、内心心配していたのだが、やはり、オリハルコンはあったとわかり、かなり安堵した。


 現在、ジーロシュガー領は再建の為にタウロが結構な額の資産を投入しており、そろそろリターンがないかと思っていたのである。


「鉱山の村には精錬所も建設中だよね?」


 タウロはロビンに進捗を聞く。


「それに関しては私が。──精錬所はすでに運用が始まっており、オリハルコンの精錬も行っております。──これが、その一部です」


 グラスローはロビンに代わって答えると、傍に布をかけて置いてあったものをタウロの前に出した。


 タウロがその布を取ると、そこにはオリハルコンのインゴットが一つ置いてある。


「おお! こんな塊初めて見るんだけど……。これでどのくらいの価値があるのかな?」


 タウロは過去にミスリルで一山当てた事があるから、多少は価値の予想ができた。


 ミスリルだとこのくらいで白金貨三枚(三千万円)くらいかな? オリハルコンだとその倍とか──。


 オリハルコンの価値を全く知らないタウロはミスリルと比べて、想像を膨らませた。


「──このインゴット一つだと現在の相場で、白金貨百枚くらいかと……」


 グラスローが慎重に答える。


「うん? 百枚? ……それって……、(白金貨百枚……は、前世の価値で……)じゅ、十億円!?」


「「「ジュウオクエン?」」」


 その場にいた全員はタウロを除いて、聞いた事がない言葉を復唱した。


「あ、間違えた……。仕切り直して……、白金貨百枚!? オリハルコンってそんなに価値があるの!?」


「もちろんなのです! オリハルコンは別名神鉄や神の金属と呼ばれるとても貴重なものなのです。古くは勇者の聖剣でも知られており、現在、入手困難な事からその価値は急上昇中なのです!」


 ロビンは興奮をずっと抑えていたのか、ここにきて爆発させるように説明した。


 グラスローがそんなロビンを宥め始めた。


 どうやら、発見当初にも同じような事があったのかもしれない。


 二人の関係性がとても良いように見えるのであった。


「タウロどうするの? 市場に出すなら今が絶好の機会みたいだけど?」


 エアリスが意外に冷静な様子でタウロに判断を促す。


「……これは市場には出さない」


「「「え?」」」


 タウロの思わぬ判断にその場に居合わせた全員は、ただただ驚くのであった。

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