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【完結】自力で異世界へ!~優しい仲間と一緒に異世界生活を満喫します~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第628話 人事について

 領主邸のある城館でタウロは、領主代理を務めてくれているガーフィッシュ商会の従業員である犬人族のロビンと今後について話し合いを行っていた。


 ロビンとしては、一日でも早くタウロの領主就任祝いをやって近隣や領民に知らしめ、自分はガーフィッシュ商会シュガー支部の支部長としての仕事に回りたいというのが本音である。


 ここまでロビンの手腕によって、領内の経済を立て直して来ているが、やはり彼女は商人だから、そちらで力を発揮したいという思いがあった。


 しかし、ガーフィッシュ商会本部からは、タウロに助力する事が第一優先であり、それが商会の利益に繋がるという事も当然理解していたから、一つの提案をした。


「これまで主要の人事についてはタウロ様の判断がないので控えていたのですが、領主代理を助ける執事、領内の治安を維持する領兵隊長などを任命して足場を固められてはいかがでしょうか。 私が言うのもなんですが、これを決定しておくと、多少留守にされても領地運営も滞る事はないかと思うのです」


「ロビンさんはこれまで、それをどうしていたんですか?」


 タウロはついついこの有能な領主代理に任せていたので肝心な人事について、全く考えていなかった。


「これまではガーフィッシュ商会の私の部下達に代理として受け持ってもらっていたのです。すぐにとは言いませんが、人選を進めてもらえると助かりますなのです」


 ロビンは一商会が領地経営にいつまでも携わっているのは、不健全と考えているようだ。


「……なるほど。わかりました。すぐにとはいかないですが、各責任者についてはこの人という方が見つかり次第、決定していきますね」


 タウロはそう応じると当然ながら、続けて打診する。


「ちなみに優秀なロビンさんがこのまま正式に領主代理をしてもらうというのはやっぱり不可能ですか?」


「え? 私はあくまでも会長命令でやっていた身なので、相応しくないのです! それに私はガーフィッシュ商会の一従業員なのです!」


 ロビンは改めてタウロの誘いを断る。


 やはり、この一年間領地経営を経験してみて、色々と思うところがあったようだ。


 それは黒字化する事へのやりがいの他にその重責も強く感じていたのだろう。


 ガーフィッシュの会長命令だったから、その責任もまだ、軽く感じて代理を務められていたが、正式にとなるとその重さは変わってくるというものだったから、腰が引けるのであった。


「ロビンさんくらい優秀だと、僕も任せられるというものなんだけどね……。ここまでの実績を考えても一番ふさわしいのだけど……。──でも確かにガーフィッシュさんのところの部下を引き抜くわけにはいかないか……。じゃあ、改めましてもうしばらくの間、引き続き代理を務めてもらって良いですか?」


 タウロはとても残念な顔をしてロビンに再度、要請する。


「それなら了解なのです!」


 ロビンは快く承諾してくれるのであった。


 ロビンには、鉱山の正式な再開と労働力の確保にドワーフがやって来る事、その責任者としてドワーフのローガスに任せたい事、また、交易所もドワーフ自治区との交流再開を機にまた、始めたい事を伝える。


「鉱山の専門家を連れて来てくれたのは助かりますなのです! タウロ様が信用できる方なら問題ないのです。交易所についてはそのドワーフ自治区との交流再開の為に尽力してくれた地元の老舗ブサーセン商会も呼んで話し合いの場を設けると良いと思うのです」


「ブサーセン商会と? ……そうだね。彼らは地元の老舗で過去の交易所についても詳しいはず。僕達よそ者よりは良い案があってもおかしくないか……」


「その時は、ガーフィッシュ商会シュガー支部長として私もお願いするのです」


 ロビンはこの辺は商人としての顔を覗かせた。


「はははっ。ロビンさんには領主代理と商会代表のどちらの顔でも大歓迎だから! あなたがいてくれなかったら、この領地の経営は成り立っていなかったはずだしね。ブサーセンさんもその辺り、商人として凄く評価していたよ」


 タウロはそう言ってロビンを評価して改めて感謝する。


「あまり褒めないでくださいなのです。調子に乗ってしまうのです!」


 ロビンは顔を赤らめると、照れるのであった。


「次に領兵隊長なんだけど……。この領内の治安の維持は重要課題だよね。鉱山方面の山村は魔物がまだ出るのは、シオンとセト、ロックシリーズの活躍でもわかる通りだし。そこでだけど……、アンク。領兵隊長代理として領兵の訓練と隊長クラスの育成や人材の抜擢をお願いできる?」


 この話し合いの席で静かに話を聞いていたエアリス達だったが、急にタウロがアンクに話を振ったので一同は驚いた。


「お、俺かよ!?」


「アンクは元傭兵として兵士の見る目はあるし、隊長クラスのような上司の見極めも傭兵としてシビアなものを持っていると思うんだよね。アンクがこいつなら大丈夫と思える人材を見極めて必要なら育成してくれるとありがたいのだけど……」


「……確かに、色んな隊長や指揮官クラスも見てきた俺は最適か……。でも、リーダー。俺はみんなとの冒険が最優先だからな? そこはわかってくれているよな?」


 アンクはタウロの人選が正当なものである事を理解しつつ、最優先事項について確認する。


「もちろん! 『黒金の翼』の切り込み隊長はアンクだから、当然だよ!」


 タウロは頼もしいこの赤髪黒尽くめの出で立ちである疾風の戦士を頼りにするのであった。

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